TSMCの米国アリゾナ工場(Fab21)が、2024年4月中に4nmプロセスによる試験生産を開始し、同年末にも量産を開始できる見通しが立ったという噂が台湾の半導体業界内からでていると台湾の経済紙「經濟日報」が報じている。

2023年7月の段階で、TSMCの劉徳音(マーク・リュウ)会長は、量産開始時期を2024年から2025年上半期に延期すると発現していたが、この見込みから早まる可能性が出てきた。

TSMCアリゾナ工場は、第1期製造棟(Fab21 Phase1)では4nmプロセスを採用し、第2期(Fab21 Phase2)で3nmプロセスの製造を行う計画である。投資総額は400億ドル(約6兆円)を予定しており、この費用の一部として、米国政府からCHIPS法に基づき50億ドルが補助金として支給される見込みだと一部の米国メディアが憶測記事を出しているが、4月2日時点で米国政府からの公式発表は出ていない。

量産開始時期が延期された背景について同社は、工場建設の熟練労働者や設備搬入の熟練エンジニアが不足しているためと2023年7月の決算説明会にて説明していたが、2024年末の量産開始となれば、それらの問題が解決しただけでなく、かなり順調に作業が進んだこととなる。TSMC子会社TSMC Arizonaとアリゾナ建築建設労働組合(AZBTC)は2023年12月6日付で、TSMCアリゾナ工場の建設に関する協力の新たな枠組みについて合意したことを明らかにしているが、これで遅れていた工場建設が順調に進むようになったものと思われる。

なおTSMCは、この件に関するコメントを公表していない。ただし、同社は4月18日に2024年第1四半期の決算説明会を開催することを予定しており、その席上で何らかの発表が行われる可能性があるものと思われる。
(服部毅)

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