【元記事をASCII.jpで読む】

 はじめましてのみなさま、はじめまして。「這いつくばって猫に近づけ」の荻窪圭です。

 連載も860回を超えてる折に「はじめまして」もないもんだと思うのだけど、新年度の最初だから、はじめて訪れた人のための回をやってみようと以前から考えていたのである。ただ、毎年忘れちゃうのだよね。新年度とか関係ない日々を送ってるから。今回は、たまたま「あ、今回は4月最初やんか」と思い出した次第。

 では、はじめます。本連載は2007年から続く、猫飼いでもあり猫撮影が趣味の荻窪圭が、デジカメで猫を撮るためのコツやこぼれ話などを披露しようというコラムみたいなノウハウ記事みたいな、でも新製品紹介もあったりする、猫をネタにした写真コラムだ。猫とカメラが好きな方、ようこそ。

 何はともあれ、「這いつくばって猫に近づけ」というタイトルの意味から。

 ひとつは、猫を脅かしたり怖がらせたりしないため。猫から見れば人間はめっちゃ巨大な生物なので、不用意に近寄ったりせず、姿勢を低くして体を小さく見せましょうってことだ。猫から見た人間は、人間から見た「進撃の巨人」のようなものだから、いきなり近寄ってきたら怖いよねって話をよくするのだけど、進撃の巨人が這いつくばって近づいてきたら余計怖いわ、って突っ込んだりしないでください。

 もうひとつは、撮るときのカメラの高さ。撮影に慣れてないと自分の目の高さで撮ってしまいがちなのだけど、それでは猫を見下ろす構図ばかりになっちゃう。子供を撮るときはしゃがんで子供の目線で撮ろう、と言われるけど、猫を撮るときも同じ。できるだけ低い姿勢で猫の顔の高さに構えると、顔もしっかり撮れるし、体も猫らしいバランスで撮れるってもんだ。

 例えば、こんな感じである。

 冒頭写真もそう。とあるお寺で買われているサバトラの「うめ」。お寺で出会ったなじみの方によると、女の子だと思って「うめ」と名づけたら、実は雄だったことがわかり、「うめきち」ってことにしたそうな。急に暑くなったので、日陰でへちゃっとつぶれてたところ、ぐぐっと近づいて撮らせてもらった。美猫である。

 もちろん、実際に這いつくばる必要はない。チルト式やバリアングル式モニタを持っていれば、モニタを開くだけでいいからね。

 スマホだと必殺に「スマホ逆さ持ち」という技がある。逆さにすると、そのぶんカメラの位置が低くなるので猫目線まで下げやすい。

 こちらはiPhoneで撮った猫。「2x」にして右手でカメラを逆さに持って、腕を伸ばして撮った写真だ。猫を撮るとき、スマホ逆さ撮りはめっちゃ役立つので慣れておくべし。経験上、カメラを近づけるよりスマホのほうが猫は怖がらないので、腕を伸ばしてスマホで撮るってのはアリだ。

 うまくすれば、猫を下から見上げる写真も撮れる。カメラが端っこに付いてるスマホならではの撮り方である。

 そんなわけなので、いつもしゃがんで猫目線で撮るクセがついちゃってる。

 もちろん、いつも這いつくばる必要はない。ちょっと上から撮りたいなってときも、もちろんある。ちょっと上から撮るときは、一声かけて目線をもらうのがおすすめだ。

 下から撮るときは……猫がちょっと高い位置にいるときに限られるけど、より高低差を感じるようなアングルを狙うのがよし。地形を利用して、高低差がわかるように撮ってみた

 最後に、もう1枚。これはもう地面すれすれにカメラを置かないと撮れないヤツってことで。ガレージに止まっている車の向こうにチャトラがいるのを見つけたので、わざと車越しに撮ってみた

 猫に限らず、写真って自分の目の高さだけじゃなくて、上から撮ったり下から撮ったり、自分の体を動かして撮る高さを工夫するだけでずいぶんと変わる。カメラの高さを変えてみるって重要なのだ。

 そうして真面目に撮ってると、立ったりしゃがんだりで疲れるし、腰にもくるんだけど……そこはしょうがない。特に猫を撮るときは、まずは猫の高さを意識し、そこからあれこれと工夫してみるのが第一歩なのだ。

 カメラを持って這いつくばってたせいで、道行く人や近隣の人に不審な目で見られる……かもしれませんが、そのときは「そこに猫がいるから」と素直に答えましょう。そうすればたいていわかってもらえ……ると思います。

■Amazon.co.jpで購入

 
構える高さを工夫すると猫写真は大きく変わる! 新年度なのであらためて猫の撮り方ノウハウをご紹介