金曜ロードショー」と「ジブリ」という少し意外なカップリングを実現した展覧会が、4月12日(金)から6月29日(土)まで、京都市京セラ美術館で開催される。長きにわたって名画を紹介してきたこの番組が始まったのは、実はスタジオジブリが「スタジオ開き」をしたのと同じ1985年。以来、ジブリの多くの作品が番組で紹介されてきた。同展は、この1985年を基点とし、金曜ロードショーの歩みを辿りながらジブリ作品の魅力を紹介する展覧会だ。

金曜ロードショーが初めてジブリ作品を放映したのは、1986年の『風の谷のナウシカ』だった。その後、昭和、平成、令和と続く番組は、ジブリ作品を200回以上も放映してきたというから、この番組を通じて初めてジブリと出会った人も多いに違いない。その歴史がジブリ人気を確立し、作品の評価を不動のものとする一助ともなっているのだ。同展は、その出発点の1985年がどんな時代だったかを振り返りつつ、昭和から令和に至る世相を各時代の記憶と記録から浮き上がらせる試みとなっている。

見どころのひとつは、『風の谷のナウシカ』から『アーヤと魔女』まで、ほぼ全作品の絵コンテの一部が並ぶこと。シーンの流れをコマ割りした絵コンテは、映画の「設計図」とも言えるもの。制作者の息づかいや、作品の生まれる過程を間近で見られる貴重な機会となる。

同展ではまた、作品の世界の中に飛び込めるような空間も登場する。『ジブリの大博覧会』富山展のために作られた巨大な《ジブリの幻燈楼》の再展示は、音と光に包まれながら映画の世界観を体感できるもの。一方、造形作家の竹谷隆之らが作成した造形物をもとにした展示では、『風の谷のナウシカ』に登場する「腐海」の空間を実感できる。そのほか、ジブリ映画ポスタースタジオでは、作品の主人公になった気分で撮影をしたり、ARコンテンツでは『借りぐらしのアリエッティ』の主人公と同じ視点で世界を体験したりと、アクティヴな楽しみもいっぱいだ。同会場ではまた、第96回アカデミー賞で長編アニメーション映画賞を受賞した『君たちはどう生きるか』のゾーンも設けられている。

アーカイブの記録や記憶をたどるとともに、最新技術も取り入れた多彩な展示を体験することを通じて、スタジオジブリの魅力を再確認したい。

<開催概要>
金曜ロードショージブリ展』京都展

会期:2024年4月12日(金)~6月29日(土)
会場:京都市京セラ美術館 本館 北回廊2階
時間: 10:00~18:00、土日祝は9:00~18:00(入場は17:15まで)
休館日:月曜(祝日の場合開館)
料金;日時指定一般、大学1,800円、高中1,500円、小学1,000円 ※売切次第終了、4月26日(金)まで先行早割平日チケットの販売あり
展覧会公式サイト:
https://kinro-ghibli.com/kyoto/ 

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