【家電コンサルのお得な話・178】今また、再エネ賦課金に大きな疑問が生じている。この賦課金は、太陽光発電など再生可能エネルギーによる電力を固定価格で買い取る制度(FIT=固定価格買取制度)を支えるために、電気利用者の電気代に上乗せされているもの。2024年度には1kWh(キロワット時)あたり3.49円への引き上げが発表され、23年度より年額1万0032円負担増の1万6752円になる見通し(1カ月の電力使用量が400kWh)。これは過去最高の数値である。

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●賦課金の追加費用を強制的に徴収



 再エネ賦課金の大幅な増加は、様々な問題を浮き彫りにしている。まず、電気利用者には賦課金の追加費用が税金のように強制的に徴収される形で課せられており、多くの人がこの賦課金の存在やその目的を知らずに支払っている。

 賦課金の目的は「再生可能エネルギーの普及」とされているが、この制度が特定の業者への贈与となっている点は透明性と公平性に疑問を投げかけている。

 また、家計への経済的負担も無視できない。再エネ賦課金の増加は、消費税社会保険料の増額と相まって、国民の可処分所得を圧迫。特に、給与が30年間ほぼ停滞している現状では、このような追加負担は家計に大きな影響を与える。


●大規模な自然破壊を伴うメガソーラーの建設



 さらに、この賦課金システムは、再生可能エネルギーの効率的な普及を妨げる可能性がある。例えば、太陽光発電は天候に大きく左右され、安定した発電にはバックアップとして火力発電が必要になることが多い。これは再生可能エネルギーのコストと効率性に関する本質的な問題を指摘しており、賦課金が上がり続ける原因ともなっている。

 加えて、メガソーラーの建設は、大規模な自然破壊を伴うため、これが再エネ賦課金を通じた資金調達の正当性にさらなる疑問を投じている。

 また、再エネ関連の資金の大部分が中国に流出しているとの報道は、国民に大きな不信感を与えており、その報道が事実なら、再エネ賦課金廃止の議論も必要になるだろう。

 このような状況を鑑みると、政策立案者には再エネ賦課金の仕組みをより透明化し、より公正で効率的な制度への改革とその使途や効果について国民にわかりやすく説明する責任が求められている。

 再生可能エネルギーの導入促進という本来の目的に対し、賦課金が適切に使用されているか、定期的に見直しを行うことも重要である。(堀田経営コンサルタント事務所・堀田泰希)

■Profile

堀田泰希

1962年生まれ。大手家電量販企業に幹部職として勤務。2007年11月、堀田経営コンサルティング事務所を個人創業。大手家電メーカー、専門メーカー、家電量販企業で実施している社内研修はその実戦的内容から評価が高い。
2024年度の再エネ賦課金単価(出典:経産省ホームページ)