第96回アカデミー賞にて作品賞、監督賞を含む最多7部門を受賞したクリストファー・ノーラン監督最新作『オッペンハイマー』(公開中)より、IMAX特別映像解禁が到着した。

【写真を見る】IMAX撮影によって描かれる、天才科学者の栄光と没落の人生

第二次世界大戦下、世界の運命を握った天才科学者J・ロバートオッペンハイマー(キリアンマーフィー)の栄光と没落の生涯を実話にもとづいて描く本作。2023年7月の全米公開を皮切りに、世界興収10億ドルに迫る大ヒットを記録し、実在の人物を描く伝記映画としては歴代1位に輝いた。

今回公開されたのは、最高品質の映像で“没入体験“を追求し、自身初となる監督賞受賞、英国王室から名誉あるナイトの爵位を授与されることが発表されたノーラン監督、撮影章を獲得したホイテ・ヴァン・ホイテマ、主演男優賞のマーフィー、助演男優賞のロバートダウニー・Jr.らが登場する特別映像“Shooting For IMAX“。本映像は、国家的プロジェクト「マンハッタン計画」を率いたオッペンハイマーが「人々は恐れない、理解するまでは。世界は理解しない、それを使うまでは」と、独白する場面で幕をあける。ノーラン監督は「オッペンハイマーの物語は壮大だ。本作を見た人々がそれを追体験し、より感情移入できるようIMAXで撮影した」と語り、天才物理学者の頭脳と心への没入へと誘う。撮影監督のホイテマは、「IMAXは雄大な景色を撮るのに適した規格だが、アップショットにも使ってみたかった。人の顔は風景のように入り組んでいて奥深い。どうしたらIMAXカメラで人物のアップを撮れるか考えた」と話し、オッペンハイマーの複雑な心中を表現するマーフィーの撮影シーンが映しだされていく。

ノーラン監督による脚本をもとに、主人公オッペンハイマーの主観パートをカラーで撮影、ダウニー・Jr.が演じるルイス・ストローズを軸とした場面はモノクロで描かれた本作。製作総指揮のトーマス・ヘイスリップは、2つの視点で描く試みについて「クリス(クリストファー)は毎回限界に挑んでいる。この作品の鍵はカラーとモノクロの併用だ」とし、「マンハッタン計画」の最高責任者レズリー・グローヴス役のマット・デイモンが、「クリスは普通じゃ満足できない。IMAX長編映画の先駆者であり、常に最先端を行く人だ」と、監督は映画界を牽引するイノベーターであると指摘。「白黒の65ミリ規格なんて存在しないから技術を駆使して作るしかない」と決めたホイテマは、IMAXカメラに適した本作専用のモノクロ・フィルムを開発したことを明かし、「巨大スクリーンに映したら魔法のような映像が広がった」とノーラン監督が続けます。

そして、オッペンハイマーとの対立を深めていく米原子力委員会の委員長、海軍少将のルイス・ストローズを演じたダウニー・Jr.が登場し、「47年型のパッカードの後部座席に座ってIMAX(カメラ)をひざにのせ走行シーンを撮った。映画撮影の原点を思い出しましたよ。レンズが迫ってくると身が引き締まるんです」と、狭い車内での撮影が俳優の原点に立ち返る体験であったと振り返る。ノーラン監督、スタッフ、キャストが力を合わせて完成した本作について、製作のエマ・トーマスは「IMAX映画は初めてじゃない。でもこの作品は別格です。大画面で見ると迫力と臨場感がすごい」と断言。

オッペンハイマーのかつての恋人ジーン・タトロックを演じたフローレンス・ピューは、「人間味を感じられるし物語に引き込まれる」、続いて妻キティ役のエミリー・ブラントは「神話のように重厚、劇場で見たら記憶に残る体験になる」、そして主演のマーフィーが「劇場で見る観客の没入感を最大限に高めるためにIMAXで撮影している」と語りかける。映像は、「巨大スクリーンで見るとクオリティの高さがさらに際立つ」という撮影監督の言葉に続き、ノーラン監督の「15パーフォレーションの70ミリフィルムは最高画質だ。観客は物語に入り込める。巨大IMAXスクリーンで歴史的瞬間を体感してほしい」というメッセージで締めくくられる。

また本作の日本公開を受け、4月6日(土)13時の回上映後に丸ノ内ピカデリー Dolby Cinemaにてトークイベントの開催が決定。スペシャルゲストとして、「ノーランの緻密な映画力学に圧倒される」と語る『日本のいちばん長い日』(15)の原田眞人監督、「間違いなくノーランの最高傑作だ」とコメントを寄せた『福田村事件』(23)の森達也監督が登壇する予定だ。

“没入体験“を追求するノーラン監督、そしてキャスト陣とスタッフによって実現した『オッペンハイマー』。壮大なスケールで映しだされる天才科学者の生涯をぜひスクリーンで目撃してほしい。

文/サンクレイオ翼

クリストファー・ノーランやスタッフ、キャストが『オッペンハイマー』IMAX撮影を振り返る「巨大IMAXスクリーンで歴史的瞬間を体感してほしい」/[c] Universal Pictures. All Rights Reserved.