■2024.03.30『Lemino presents ANIMAX MUSIX 2024 SPRING』@武蔵野の森総合スポーツプラザ

2024年3月30日(土)に武蔵野の森総合スポーツプラザにて『Lemino presents ANIMAX MUSIX 2024 SPRING』が開催された。2009年の開催から今年で15周年を迎えたメモリアルイヤーという事もあり、西川貴教茅原実里May'nなど、総勢16組の豪華アーティストが集結し、6時間強にも渡るアツいパフォーマンスを披露した。本当に誇張抜きで、普通はこれほどまでの長時間では、どこかで少しペースダウンもしそうなものなのだが、全てのアーティストたちが全力のステージを繰り広げており、途中に挟まれた20分間の休憩時間を除いて、バチバチに盛り上がった1日となった。

まずは司会のよっぴーことニッポン放送アナウンサーの吉田尚記が登場すると、ANIMAX MUSIX 15年の歩みを振り返り、本日の出演者がフルメンバーで呼び込まれる。

「明日のことは考えず、4月から始まる新しいスタートのことだけを考えて、はしゃぎまくれ!」

彼のアツい開会宣言をもって、火蓋は切られた。

トップバッターを務めた芹澤優 feat. MOTSUは、いきなりTVアニメ『MFゴースト』の主題歌「JUNGLE FIRE feat. MOTSU」を披露するとペンライトで一面真っ赤に染まる。MOTSUによる流石の煽りで会場も一気に暖気完了だ。

ANIMAXの偉い人たちの"芹澤優ちゃんとMOTSUさんならブチ上げてくれるんじゃね?"って意思を感じるんですよ!」と語る芹澤に対し「いやでも6時間もある訳だから、次はミドルテンポな曲が良いんじゃない?」と返すも「いやいやMOTSUさん、私たちの持ち曲にそんな曲ないですから(笑)」と曲間のMCも仕上がっていたのも含め、最高のトップバッターだったが、そんな彼女の言葉通りに「EVERYBODY! EVERYBODY!」を披露し、会場をさらにブチ上げていったのだった。

続いてはフィロソフィーのダンスが「今日は皆さん踊ってってください!」と登場すると、「Brand New Dance」「熱風は流転する」「シュークリームファンク」と、踊りっぱなしのファンキーでキュートなフィロのスらしいステージで盛り上げていった。

加えてサプライズだったのが最初の企画コーナーだ。「声出せ!セレクション!」と題して、ライブでのコール&レスポンスが定番のアニソンカバーを『ANIMAX MUSIX』ならではのコラボレーションで披露。フィロソフィーのダンスに富田美憂サンドリオンが加わり「正解はひとつじゃない!」をカバーすると、続いてサンドリオンが「Q&Aリサイタル」を熱唱し、一体感が高まっていく。

続いては岬なこが登場し、デビューアルバム『day to YOU』から「Dancing! Singing! Feeling!」をトロッコに乗って一周しながら披露した。「初めましての方も多いかと思いますので~」と自己紹介ではのほほんとした一面も見せ、「スイートサイン」ではその甘い歌声を響かせた。

ANIMAXバンドによる生演奏も『ANIMAX MUSIX』の魅力のひとつだが、続く富田美憂の「Broken Sky」は、そんな彼らの技巧を存分に引き立つ楽曲だったと言えよう。「4月から放送の『デート・ア・ライブV』の主題歌を担当させて頂きまして、まだ世に1番しか出てない曲を今日は生演奏でフル初公開します!」と新曲「Paradoxes」を披露。打って変わってしっとりとしつつも彼女らしい力強い歌声のバラードで会場を包み込んだ。

こちらも『ANIMAX MUSIX』では定番の、事前に募集したリクエストからカバーを披露する「FAN SELECTION」のコーナーでは、TVアニメ『NARUTO-ナルト-疾風伝』より「ブルーバード」をJUNNAが披露、そしてTVアニメ『葬送のフリーレン』より「勇者」を岬なこがカバーした。続いてのコラボは芹澤優 feat. MOTSU × SAT from fripSideと発表されると場内がどよめく中、ALTIMAポーズで登場するMOTSUとSATだが、本来なら黒崎真音の場所である三角形の底辺部分はあえて空けていた事もそうだし、「天まで届け!」とシャウトするMOTSUの姿に胸がアツくなった。

もう既に"滾る"意味でも"感動"という意味合いでもアツいパフォーマンスが繰り広げてられているが、ANIMAX MUSIXはまだまだ序盤。続く石原夏織はポップでキュートな「Cherish」を楽しげに披露すると、4年ぶりのアルバムが4月にリリースされること、そして6月からニューアルバムのツアーも始まることをアピールし、続く「Gift」 では一瞬でバラードスイッチに切り替わり、表情豊かに情緒を込めて歌い上げる姿が印象的だった。

サンドリオンは「Angel Ladder」と「Sunny Canvas」を披露し、先ほどの白から漆黒のドレスに着替え富田美憂が「残酷な天使のテーゼ」をカバーすると、大橋彩香は「ETERNAL BLAZE」で続く。「みんなで行くよー!」と落ちサビ前のいわゆる"飛びポ"で全員が一斉に宙を舞い、これぞアニソン現場だ!という醍醐味を味わった。

「閃きハートビート」で登場した伊藤美来は「春といえば、春アニメですよね!4月から放送のTVアニメ『声優ラジオのウラオモテ』で担当するOP主題歌を、初披露したいんですけどいいですか?」と「Now On Air」を披露すると、いよいよ前半戦ラストのアーティストへ。

今年デビュー20周年を迎えた茅原実里が15th anniversary special guestとして呼び込まれると、会場からは温かくも大きな声援で迎えられる。1曲目はまさかのTVアニメ『境界線上のホライゾン』のキャラクターソング「通し道歌」にビックリしたが、続いて「TERMINATED」でスイッチが入ると、まさかまさかでMay'nとのコラボで「Paradise Lost」を披露。ちゃんといつものマイクスタンドも2つ分用意されており、2人の歌姫の歌声に酔いしれる。
MCでは初出演だった2011年の『ANIMAX MUSIX』の思い出を振り返り、彼女のお付きの茅原実里バンドこと略してCMBのメンバーは、実はこの『ANIMAX MUSIX』でのステージが楽しすぎて、ANIMAXバンドからギタリストを引き抜いたことや、ライブ翌々日の4月1日にデビュー20周年を迎える事など、この日に向けた並々ならぬ想いを語ってくれた。最後にそんな伝えきれない溢れる想いを込めて「みちしるべ」を披露すると、前半を見事に締め括った。

西川貴教が後半戦のトップバッターに配置されていたのにも驚かされたが、そんな場内のどよめきも楽しむように悠々と登場し、7000人の歓声を一身に浴びる姿に、彼がアニソンという枠には収まりきらないトップアーティストであることを再認識させられる。
まずは『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』主題歌の「FREEDOM」を歌うと、持っていたマイクスタンドを投げ捨て「Bright Burning Shout」では「会いたかったよ!ここに来るまで15年かかったよ!」と叫んだ。初年度にAbingdon boys schoolで出演以来、丸15年ぶりの出演となったわけだが「15年もこのイベントを続けてくれてありがとう。おかげで戻って来れました!」と感謝を述べ、また「明日のことは気にしない、ってことは次のアーティストのことも気にしなくていいよな?お前らの全身全霊、この曲でぶつけてくれ!」と「Eden through the rough」で本気と本気のぶつかり合いを楽しんでいた。

再び「FAN COLLECTION」のコーナーではi ☆RisがTVアニメ『推しの子』より「アイドル」を、石原夏織岬なこによる「貞貞アイデンティティ」を披露した。自身の出演した作品のアニソンをカバーする姿が見られるのも『ANIMAX MUSIX』の見どころだろう。続いてはGRANRODEO×JUNNAの組み合わせで『北斗の拳』から「TOUGH BOY」を披露。e-ZUKAのギターサウンドに乗せて、KISHOWとJUNNA背中合わせに歌い上げる姿は最高にロックだ。

続くやなぎなぎは「ラテラリティ」で登場すると「『ANIMAX MUSIX』が15周年という事ですが、私が関わらせてもらった作品もかれこれで10年とか長く携わらせて頂くものも多くて、その中から『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』の10周年記念に作らせてもらった曲を歌いたいと思います」と「ユキハルアメ」を披露。最後に「ビードロ模様」のイントロが聞こえてくると、歓喜とも悲痛とも捉えられるような声が会場を包む。

大橋彩香です!みんなの近くに行っちゃうぞ!」と「NOISY LOVE POWER☆」で元気いっぱいに登場した大橋は今回で11回目と『ANIMAX MUSIX』常連だ。最後は今週リリースしたばかりの4thアルバム「reflection」からUNISON SQUARE GARDENの田淵より提供を受けた新曲「Flash Summit!!」を披露。

再び「FAN SELECTION」では、伊藤美来が「たゆたえ、七色」を、フィロソフィーのダンスが「最Ψ最好調!」を披露した。

続いては第3期を迎えたfripSideが登場し、八木沼の「行くぞ!!」を合図に「black bullet -version2023-」「infinite Resonance」「Red Liberation」を披露した。「新しいfripSideを皆さんにお見せしに『ANIMAX MUSIX』へ戻ってきました!」と語っていたように"みんなと共鳴していく"という、彼らの3期のテーマを体現するステージだったと思う。

アニメソングの祭典である『ANIMAX MUSIX』だが、ここからは初の試みとなるゲームソングだけを集めた「GAME MUSIC SELECTION」を繰り広げていった。
GRANRODEO茅原実里による「Rumbling hearts」や、石原夏織×やなぎなぎの「鳥の詩」など名曲の数々に大いに湧き上がっていた会場だったが、ここでシークレットゲストのKOTOKOが登場し、「Face of Fact」を披露したことで、その熱気がグンと高まる。

「私もデビュー20周年で、全国47都道府県ツアーの真っ最中なんですけど、府中でANIMAXさんがすごいお祭りをやってると聞き付けて、駆けつけちゃましたー! せっかくなのでもう一曲歌いたいんですが、皆さんキュンキュンしたくないですかー?」と「さくらんぼキッス ~爆発だも~ん~[2022mix]」を披露すると、文字通り爆発でも起こったのか?というぐらいの反応でアリーナが揺れた。

「改めましてみなさん、もう"こんばんはー!"ですね?」と、登場したJUNNAは「Unite」「風の音さえ聞こえない」を披露。「初出演は高校生だった私も、先日大学を卒業して…今日は大学生ってギリギリ言えるラストのライブなんです!なので皆さん声出して力を貸してください~!」と語りかけると、広いステージを端から端まで使った全力疾走のパフォーマンスで、興奮冷めやまぬオーディエンスに応える。

i☆Risも「アルティメット☆MAGIC」でその勢いに続くと、新曲「愛 for you!」を披露。彼女たちの10周年プロジェクトの劇場版の主題歌である同曲だが「今回来ているこの衣装も初お披露目の劇場版の衣装なんですよ!」と、衣装だけでなく劇場版の映像も交えての集大成なパフォーマンスを見せてくれた。

様々なコラボやカバーで盛り上がった『ANIMAX MUSIX』も続く「デュオソング SELECTION」が最後の企画となった。上杉真央×阿部寿世 from fripSide による「逆光のフリューゲル」、大橋彩香×伊藤美来によるTVアニメ『リコリス・リコイル』の「ALIVE」と『ANIMAX MUSIX』は終盤でもその手を休めようとはしない。

ここでGRANRODEOが登場すると「鉄の檻」「情熱は覚えている」「Can Do」を披露。「スタッフ並びにWikipediaを総動員して調査した結果、2010年から13回目の参加です」とKISHOW。「コラボなりで1時間ぐらいの間隔で出てるけど、段々アツくなってます!!」と場内のボルテージをe-ZUKAもヒシヒシと感じ取っていたようだ。

15周年の『ANIMAX MUSIX』のトリを見事に勤め上げたのはMay’nだった。まずは「graphite/diamond」「LIES GOES ON」を披露し、「8年ぶりでーす! ただいまー!」と投げかけると「おかえりー!」と大きな声で返ってくる。「私の曲もたくさんリクエスト頂いたと聴いてます。特に自分の中でもとっても大切なこの曲を歌わせてください……」と「ライオン」のイントロが聞こえてくる。「えっ、ソロで歌うの!?」と頭によぎったその刹那、中島愛が登場し、そこからはすべてのアニソン好きにとって夢のような時間が流れた。即座に緑とピンクのサイリウムで埋め尽くされるお客さんたちにもウルッと来たが、やっぱり一番はステージ上でデュエットしている2人の姿だ。それぞれのパートを歌うお互いの顔を慈しむように見つめあう姿は、それだけでこの瞬間がかけがえのない大切な時間であることを示していた。

そして最後には第1回の2009年の最後に歌った曲「CHA-LA HEAD-CHA-LA」をキャスト全員で歌い上げる、というのも今年のフィナーレを飾るに相応しい。きっと15年前とはフィナーレを飾る意味合いも違っているのだけれども、それもこれも15年という歴史の重みがそうさせている。西川が語っていたように、15年もこの場所を守ってきたのはスタッフだけじゃなく、この場所を求め続けたオーディエンスのおかげでもある。我々が紡いできた歴史なのだ。

やはりこのイベントの魅力は6時間強にも渡る大ボリュームに、半数にも及ぶコラボとカバー歌唱だろう。古今東西の新旧アニソンが楽しめる上に、歴戦のアニソン戦士たちも思わず唸ってしまうコラボレーションやカバーのチョイスもニクい。しかも無料で配信もしているのは太っ腹すぎる。

そんな『ANIMAX MUSIX』だが、いつも通り秋の11月23日(土・祝)横浜アリーナにて開催される。久々に「やっぱアニソンって最高!」と思えるライブだった『ANIMAX MUSIX』。若い人も玄人も、誰もが親しみをもってそう思える全方位型アニソンイベントがさらに20周年へ向けて続いていくことを期待したい。

取材・文:前田勇介