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2022年、バッキンガム宮殿でチャールズ国王と固い握手を交わす天皇陛下(写真提供:英外務省時事通信

「日本と異なり、英国では6月は天候に恵まれる時季です。6月の第2土曜日に国王の誕生日行事が開催されます。第3月曜日には、国王の権限で叙するガーター騎士団のセレモニーが行われ、その翌日から英王室主催の競馬が開催されます。

そうした一連の英王室の行事が終わるタイミングで、天皇皇后両陛下が訪英されるようです」

そう語るのは、世界の王室事情に詳しい関東学院大学教授の君塚直隆さん。いま天皇皇后両陛下は、訪英に向けての準備を進められているという。

皇室担当記者はこう語る。

6月22日から1週間程度のご滞在になる予定です。天皇陛下と雅子さまはロンドンのバッキンガム宮殿で国賓として歓迎式典などに臨まれるほか、エリザベス女王の墓参をされたり、留学していたオックスフォード大学を訪問されたりすることなども検討されています」

両陛下のご訪英は、日英両国の懸案となっていた。

「もともと両陛下はエリザベス女王からのご招待で、’20年5月初旬に国賓としてイギリスを訪問される予定でした。

ご即位後初の外国公式ご訪問となったはずですが、世界を覆ったコロナ禍や、さらに’22年にエリザベス女王が逝去したことで、延期され続けてきたのです。ようやく今年は実現する兆しが見えていたのですが……」(前出・皇室担当記者)

今年2月、英王室はチャールズ国王ががんを患っていることを公表。さらにキャサリン皇太子妃の体調不良も報じられたのだ。

3月22日キャサリン皇太子妃が自ら、がんであることを告白して、世界中を驚かせました。宮内庁内でも“チャールズ国王とキャサリン皇太子妃のお2人が、がん闘病中とあっては、両陛下のご訪英がより難しくなってしまうのではないか”という意見が噴出したのです。それにもかかわらず、ご訪英計画が再び動きだすことになり、驚きが広がりました」(宮内庁関係者)

ご訪英計画の奇跡的復活を支えたのは、天皇陛下チャールズ国王の強い絆だという。英王室事情に詳しいジャーナリストの多賀幹子さんによれば、

「国王とキャサリン皇太子妃が同時期に公務を離脱し、ウィリアム皇太子も公務を制限していた時期は、“英王室の危機”も叫ばれましたが、現在、国王はできるだけ国民の前に姿を見せるように心がけています。

免疫力が落ちている可能性もあるため、国民とのふれあいは制限していますが、外出を伴う公務も行っています。

週に1回のがん治療を続けているにもかかわらず、天皇皇后両陛下をお招きになっているのは、それだけ歓迎する気持ちが強いということだと思います。

特に天皇陛下は、オックスフォード大学ご留学中の’84年、おもに王室のメンバーだけが利用しているスコットランドのバルモラル城に招かれ、家族同然の歓迎を受けていらっしゃるのです」

■英王室から家族同然の待遇を受けられた天皇陛下

’85年、天皇陛下は記者会見で、英王室からの厚遇について次のように語られている。

「(バルモラル城滞在中)英国王室ご一家に非常に温かく迎えていただきました。自分でいうのもなんですが、家族の一員に加えてもらったような印象を受けたほどでした」

陛下はバーベキューパーティに招かれたり、11歳ほど年上のチャールズ国王に連れられて釣りを楽しまれたりしたという。

“家族の一員”というのは陛下だけの印象ではなかった。’84年、エリザベス女王の夫・エジンバラ公は、訪英中の中曽根康弘首相(当時)に、「浩宮殿下(天皇陛下)は完全にロイヤルファミリーの一員となっています」と語ったのだ。

天皇陛下は、チャールズ国王を“兄のような存在”として敬愛し続けていたのです。エリザベス女王逝去後、両陛下はロンドンでの国葬に参列されました。外国の国王や元首の葬儀に天皇陛下が参列されるのは異例のことです。哀悼の意を示す陛下と国王が、しっかりと見つめ合い、固く握手を交わす様子から、強い絆が感じられました」(前出・宮内庁関係者)

がん闘病中のチャールズ国王は、最愛の義理の娘であるキャサリン皇太子妃までがんにかかってしまったことに、大きな衝撃を受けていると言われている。

「そんな危機的な状況だからこそ、チャールズ国王は、救いを求めるような気持ちで、自分と同じく国を担う宿命を背負われている“弟”、天皇陛下との再会を強く望んだのでしょう。“あなたも家族の一員なのだから、遠慮せずに英国に来てほしい”という気持ちを、招請の実現というかたちで陛下に伝えたのだと思います。

今回のご訪英が実現すれば、次の世代、たとえば愛子さまが英国を訪問し、ウィリアム皇太子ご一家と面会されるというような将来も期待できます」(前出・宮内庁関係者)

英国民も両陛下のご訪問を心待ちにしているようだ。

「英国では雅子さまが長期のご療養をなさっていたことも報じられていました。また日本の皇室ニュースも日常的に報じられており、英国民たちも両陛下のご来訪を歓迎することでしょう」(多賀さん)

天皇陛下チャールズ国王の“兄弟の絆”は、日英両国の未来を照らし続ける。