米国大統領府は4月2日NASA(米航空宇宙局)に対し、月の標準時「Lunar Time」(LTC)の策定を指示した。NASAは、国防省や国務省などと連携し、遅くとも2026年末までに標準化するための計画を提案することになる。

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 LTCは、月面やその周辺で活動する際の基準になる時間。文書では「今後10年で米国は同盟国などと協力し、人類を月に“帰還”させる」としており、アポロ計画以来、およそ半世紀ぶりに実施する有人月探査計画「アルテミス計画」を念頭に置いていることを示唆した。

 アルテミス計画は、米国を中心として、日本を含む世界34カ国が参加する国際探査プロジェクト。2026年以降に複数回の有人月面着陸を行い、月やその周回軌道上に拠点(Gateway)を建設する。さらに、これを足がかりとして、2030年代後半には火星の有人探査を行う計画だ。

 NASAのビル・ネルソン長官は3日、自身のXアカウントでホワイトハウスの文書を引用し、「宇宙では1秒1秒が重要だ。月やその先(の天体)で統一された標準時を確立することは、宇宙探査の将来にとって不可欠」と投稿している。