信頼関係にあった水原氏の起こした騒動に巻き込まれている大谷。そのハレーションは広まり続けている。(C)Getty Images

 世間を騒然とさせた騒動の“渦中”にいる二人を良く知るからこそ、思うところがある。

 いまだ不明な点が多いとされる大谷翔平の元専属通訳であった水原一平氏が起こした違法賭博問題。この球界を揺るがせた一大スキャンダルに、元エンゼルス指揮官であるジョー・マッドンが見解を示した。

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 依然として沈静化の兆しが見えない騒動にあって、現時点で最大の焦点となっているのは、違法賭博の胴元へと渡された巨額資金をめぐる流れだ。

 この一件では、大谷翔平名義の口座から違法賭博の胴元に向け、少なくとも450万ドル(約6億8000万円)もの巨額の資金が送金されていると判明。これに対して、水原氏は当初、大谷本人が口座にアクセスし、自身の借金を肩代わりしたと米スポーツ専門局『ESPN』のインタビューで告白するも、後に発言を撤回。大谷も「僕自身、何かに賭けたり、スポーツイベントに賭けたり、頼んだこともないですし、送金を依頼したこともありません」と釈明した。

 しかし、米メディアや球界内では、水原氏の証言は一体なんだったのかという意見が噴出。資金流出に対する不透明な点を疑問視する声は上がり続けている。

 そうしたなかで、「私はただ何も信じたくはなかった。イッペイがショウヘイに不誠実だったという事実は、私が見抜くことさえできず、決して想像のできないものだった。憤慨している」と怒りを交えて切り込んだのが、マッドン氏だ。

 エンゼルス時代に密なコミュニケーションを図り、大谷と水原氏の関係をよく知る名将は、米スポーツ専門サイト『The Athletic』のポッドキャスト番組「The Windup」に出演した70歳の元指揮官は「彼らは親友であり、切っても切れない間柄だったんだ」と騒動に対する複雑な胸中を指摘している。

 また、水原氏が大谷から「完全な信頼を置かれる立場」と論じるマッドン監督は、「イッペイは私とショウヘイのつながりとなる連絡係だった」と回想。そして、大谷が所属する米大手代理人会社『CAA』の対応に疑問を呈している。

「ショウヘイは日々の請求書の支払いのような処理もイッペイに頼っていたのだと思う。ただ私がまったく理解ができないのは、この(約6億8000万円という)金額が正確なものであるなら、代理人事務所がなぜ知らなかったのかという部分だ。私から聞きたい質問は、ショウヘイはこのことについて何か知っていて、彼(水原氏)のギャンブル狂いを知っていたのかどうか、だ。もしそうであれば、なぜ止めようとしなかったのか」

 さらに「本当にどれだけのことを知っていたのか?(水原氏が積み上げた)借金について知っていたのか?そして何らかの形で、それを支払う手助けをしたのか? そして、もちろん直接的に、自分自身、もしくは何らかで賭けたことはあるのか?」と疑問を投げかけた百戦錬磨の指揮官は、「それが問題のすべてだ。こういう疑問の答えが出るまでは、この問題は何も解決にはいたらないと思う」とキッパリを言ってのけている。

 現在MLBや、内国歳入庁、国土安全保障省は共同でこの問題の捜査に乗り出している。そうしたなかで、水原氏の新たな供述が待たれるところだが、その消息はいまだ不明なまま……。問題が完全に解決する道筋は見えてきていない。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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