Intelのファウンドリ事業が2023年に1兆円を超す営業損失を計上したことが、同社が4月2日付で米国証券取引委員会(SEC)に提出した報告書より明らかとなった。

それによると、2023年における同社のファウンドリ事業(Intel Foundry Services:IFS)の売上高は189億1000万ドル(1ドル150円換算で約2兆8365億円)で、営業損失が69億5500万ドル(役1兆433億円)となったとしている。

ちなみに2022年の同事業の売上高は274億9100万ドル、営業損失は51億6900万ドルであったことを踏まえると、2023年は売り上げを減らし、それとともに利益も減らしたこととなる。

,A@Intelの2021-2023年の事業部門別年間売上高および営業損益の概要|

Intelのパット・ゲルシンガーCEOは、4月2日に開催した投資家向け説明会にて、「2024年はチップ製造事業にとって最悪の営業損失を計上した。損益分岐点に達するのは2027年ごろになる」との見通しを示した。また同氏は、EUV露光装置が高額であり、その買い替えを渋ったことは判断の誤りで、それがファウンドリ事業に影響を及ぼしたことを認めている。

この結果、Intelは先端プロセスが必要な製品を中心に、シリコンウェハの約3割をTSMCなどの外部ファウンドリに委託する必要が生じ、それが利益を圧迫することにもつながった。そのため将来的には外部ファウンドリへの依存率を約20%にまで下げることを目指すとしている。

IFSはファウンドリとして、他社の半導体を製造することが事業の柱の1つとなることから、Intelのほかの部門からある程度切り離すことが、その戦略を遂行するうえで必要不可欠となっている。そのため、今後はIFSを「Intel Foundry」と改め、独立した事業体として決算結果を発表する予定としている。これにより、今後、Intel Foundryは、Intelは各製品部門からも(従来の社内価格ではなく)適正な市場価格で製造を受託することになり、収益の改善が進むことが期待されるという。

なお、パット・ゲルシンガーCEOのIFSの黒字化が数年先になるとの見方を受けて、米国株式市場では売りが先行する結果となり、同社の株価は年初来の下げ幅を記録した。
(服部毅)

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