家を通して見えてくる人間模様を描いた佐久間薫(@sasakumako)さんの漫画「お家、見せてもらっていいですか?」が話題だ。小学3年生の家村道生が毎回気になったお宅を訪問し、その家の住人から話を聞いていく本作。中でも特に反響が大きかったのが、第4話として描かれた「おばあちゃんの屋敷」。いわゆる「ゴミ屋敷」で暮らす老人宅で巻き起こる物語は、読者が何らかの気づきを得られるエピソードとなっている。本作について、作者の佐久間薫さんに話を聞いた。

【漫画の本編を読む】頑固おばあちゃんのゴミ屋敷…解決の糸口は?

■「中はどうなっているんだろう、住んでいる人はどんな人だろうという思いを漫画で疑似体験できたら楽しいだろうなと」

部屋中が物であふれ返ってしまい、家主も物を捨てたがらないことから生まれる「ゴミ屋敷」。ご近所トラブルにも発展することがあるが、周囲から見たら「ゴミ」と思うようなものでも、家主にとっては大事なものというケースも少なくない。今回のエピソードでは、そんな家主の思いに触れた娘や役所の職員が、違うアプローチで問題の解決を図ろうとする様子も描かれる。

「家」がテーマの本作を描いた経緯について、佐久間さんは「散歩をしながら家を見るのって楽しいですよね。『中はどうなっているんだろう、住んでいる人はどんな人だろう…』と考えるけど、現実ではなかなか訪問して見せてもらうことはできないですよね(笑)。ですので、漫画で擬似体験できたら楽しいだろうな〜と思って。また、家を訪問すると住人たちとも接触するからドラマも生まれやすい。そこもポイントでした」と、着想のきっかけを告白。

本作で取り上げる家と住人の決め方を尋ねると、「私が実際に散歩していて気になった建物がベースになっています。さらに『こういう家主が住んでいるとしたらどんな家だろう…』と、ひたすら想像して捻り出しました。実際に取材させてもらって作ったお話もあります」とのこと。どのエピソードが実際に取材したものなのか予想しながら読んでみるのも面白そうだ。

本作の主人公・道生の愛すべきキャラクターも魅力的だが、「もじもじしてると話が進まないので、好きなことにはずんずん進んでいくキャラにしました。あとは私の憧れも入ってるかも…。何かに夢中になっている人は魅力的なので!」とコメント。子どもの視点を通すことでプライベートに立ち入ったことを聞いている感も薄くなり、読者もストレスなく読めるのかもしれない。

各話の最後に訪問した家の間取りが描かれるのも見どころの一つ。佐久間さんは「ラストの間取りは、担当編集者さんのアイデアなんです!素晴らしいですよね〜。これがあるのとないのでは満足度が違ってくる。しかし監修の松谷さんからご協力いただきましたが、描くのが大変でした…」と、実は描くのに苦労していたことを明かした。

取材協力:佐久間薫(@sasakumako)

子どもにとって「ゴミ屋敷」は宝の山?/画像提供:(C)佐久間薫/KADOKAWA