たとえ法定速度以下でも速い後続車に譲らないと違反の可能性あり! とはいえ難しい片側1車線道路での「上手い譲り方」とは

この記事をまとめると

■走行時、後続車に追いつかれた際にずっと道を譲らないと違反になる

■前走車を追い越すときは、見通しのいい平坦な直線が続く道で行うのが最適である

交通の流れ全体が安全かつ円滑になることを意識するのが運転の基本だ

安全運転は必須だがほかの交通利用者に配慮することが重要

 片側1車線の道路をゆっくり走りたいときがありますよね。初めて走る道なので、いつも以上に慎重に運転したいとき、道沿いにある目的地を見逃さないよういつでもウインカーを出して曲がれるようにしておきたいとき、夜間であまり街灯のない暗い道、病気の人や妊婦さんを乗せているとき、子どもや愛犬などが酔いやすいなどなど、理由はさまざまだと思います。

 ただし、だからといって後ろから速いクルマが追いついてきたのを知りながら、進路を譲らずにいつまでもノロノロと前を走っているのは、後ろのドライバーをイライラさせてしまい、あおり運転危険運転を引き起こす原因となったり、車間距離を詰められた状態で走っていれば、万が一飛び出しなどで急ブレーキを踏んだ際に、追突されるリスクを高めてしまうなど、よいことはひとつもありません。

自車より速い走る後続車に安全に道を譲る方法とは

 また、制限速度を守っていたとしても、ずっと進路を譲らない行為が違反となるケースもあります。それが道路交通法第27条に定められている「他の車両に追いつかれた車両の義務」というもの。それによれば、「最高速度の高い車両に追いつかれたときは、その追いついた車両が当該車両の追越しを終わるまで速度を増してはならない。最高速度が同じであるか又は低い車両に追いつかれ、かつ、その追いついた車両の速度よりもおそい速度で引き続き進行しようとするときも、同様とする。」となっています。

自車より速い走る後続車に安全に道を譲る方法とは

 法定速度以下で走っているんだから、進路を譲る必要なんてない、という考え方は通用しないということですね。これは道路交通法第1条「目的」を読めば理解しやすいかもしれません。「この法律は、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、及び道路の交通に起因する障害の防止に資することを目的とする。」ということなので、速度の遅い車両が速い車両に進路を譲ることもまた、交通の安全と円滑を図る上で必要なことだといえるのです。

平坦で前後の見通しがいい場所が追い越しに適している

 では、安全に上手に進路を譲るには、どうすればよいのでしょうか。

 バックミラーに速いクルマが迫ってくる姿が見えると、焦ってしまい慌てて路肩に停車してしまう人もいるかもしれませんが、じつは追い越しをされる際に、禁止されている場所もあります。それが道路交通法第30条に定められている、「追越しを禁止する場所」で、道路標識等によって追越しが禁止されている場所はもちろんのこと、「道路の曲がり角付近、上り坂の頂上付近または勾配の急な下り坂」、「トンネル(車両通行帯の設けられた道路以外の道路の部分に限る。)」、「交差点、踏切、横断歩道または自転車横断帯およびこれらの手前の側端から前に30m以内の部分」です。

自車より速い走る後続車に安全に道を譲る方法とは

 これらを踏まえると、追越しをされる際に適した場所は、平坦である程度長い直線が続く道ということになりますが、やはりどこでもいいというわけではなく、注意点がいくつかあります。

 まず、前後の見通しがいいこと。とくに対向車線が隠れていたり、向こうからこちらの車線が確認できないような場所はやめましょう。さらに、道路の左に最大限寄せて停車して進路を譲る際に、住居や店舗の車両出口を塞いでしまったり、左側からくる歩行者自転車などの通行を妨げたり、左に寄せても十分に追い越しができるスペースが確保しにくいような狭い場所は避けましょう。

自車より速い走る後続車に安全に道を譲る方法とは

 そして、適切な場所を見つけたら、後ろのクルマに「もうすぐ追越しをしてもらいますよ」という意思が伝わるように、減速し始める数秒前から左にウインカーを出します。そのままゆっくりと減速し、左に寄せて徐行または一時停止をして、すみやかに後ろのクルマが追越しを終えるよう配慮しましょう。

 一方通行の道などで、「右に寄ったほうが都合がよさそうなんだけど」という場合もあるかもしれませんが、道路交通法第28条では「車両は、他の車両を追い越そうとするときは、その追い越されようとする車両の右側を通行しなければならない。」と定められておりますので、原則としては左に寄ることになります。歩行者又はほかの車両等の正常な交通を妨害するおそれがあるとき、道路工事などで障害があるときなど、左に寄せることでかえって危険が生じてしまいそうな場合は、ほかに安全な場所を探しましょう。

自車より速い走る後続車に安全に道を譲る方法とは

 ただし、追い越す車両が路面電車や乗合バスといった場合など例外もあります。たとえば右折をするために右によっているバスを追い越す場合や、軌道が左側に設けられている場合などは、安全に十分注意しながら左から追越しをしてもよいということになっています。

 運転をしているとさまざまな状況に出くわすものですが、すべての運転の基本は「安全」と「円滑」です。遅いクルマも速いクルマも、自分の都合だけを考えて走るのではなく、どうすれば交通の流れ全体が安全で円滑になるのかを考えながら運転することが大切といえそうです。

自車より速い走る後続車に安全に道を譲る方法とは

自車より速い走る後続車に安全に道を譲る方法とは

自車より速い走る後続車に安全に道を譲る方法とは

たとえ法定速度以下でも速い後続車に譲らないと違反の可能性あり! とはいえ難しい片側1車線道路での「上手い譲り方」とは