コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、「涙が止まらない」と話題の人気作品「私を育む、恋と雨」(スクウェア・エニックス)をピックアップ。

【漫画】いじめられたらどうするんですか?…“ピンク”が好きな息子を心配する母親の姿に「考えさせられる」「大切なテーマ」と反響

作者の甘井さんが2月23日にX(旧Twitter)で同作を投稿。そのツイートには合わせて5万以上のいいねと共に、多くの反響コメントが寄せられた。この記事では甘井さんにインタビューを行い、創作のきっかけやこだわりについてを語ってもらった。

■みんなと一緒の価値観に生まれたかった…

夏葵は自分の性別が分からないまま25歳になり、保育園の先生をしている。ある日、夏葵の保育園で「こいのぼり」を作ることになり、園児たちは好きな色を選んでこいのぼりを作った。園児の一人であるたくみくんは大好きな「ピンク」色を選んだ。

みんなが好きな色で「こいのぼり」を作ることができ、夏葵は嬉しかったのだが、たくみくんのお母さんは怒っている様子。「なんでピンクなんですか?」「いじめられたらどうするんですか?」と言われた夏葵は、何も言い返すことができなかった…。

「性別わからないの?」「女の人と付き合ってるの?」「変に男っぽい」

夏葵は、そんな世間の言葉に苦しめられていた。「普通に生まれたかった」と思ってしまうこともある。そんな時、恋人の雫花が「みんな夏葵ちゃんみたいな人がいるって知らないの」と伝えてくれた。

この言葉を聞いた夏葵は、たくみくんのお母さんともう一度話してみようと決意する…。

“ピンク“が好きな息子を心配する母親と、”個性“を大切にしてあげたいと思う保育園の先生の葛藤を描いた本作。読者からは、「心に刺さった素敵な作品」「泣いてしまいました」「自分も救われた」「個性を大切にしたい」など多くの反響コメントが寄せられている。

■「マイノリティーの方にもマジョリティーの方にも…」作者・甘井さんが語る創作秘話

――「私を育む、恋と雨」を創作したきっかけや理由があればお教えください。

イノリティーの方にも色んな考えの方がいます。社会って生きづらいなと小さな棘に耐えている人もいます。でもそういう人ほど黙っていて口に出されないんじゃないかなと思いましたし、思春期の子の中には「曖昧」が不安に思う子もいると考えました。そういう人に、「自分だけじゃないんだ」と思ってもらえる漫画が描きたいと思ったのがきっかけです。

――本作の中で特に思い入れのあるシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。

「世間の言葉が雨みたい」です。マイノリティーの主人公の中にある、誰でも感じたことのある感覚を、わかりやすく伝えるセリフになっていたらいいなと思います。

――「素敵な作品」「心に刺さった」「感動して泣きました」など大きな反響がありましたが、コメントを読んだ時のお気持ちをお教えください。

最初に感じたのは安堵でした。マイノリティーの方にもマジョリティーの方にも漫画を読んで傷ついてほしくなかったので、両方の立場の方から共感や理解の感想をいただけて肩の力が抜けました。それからはこんなに読んでいただけると思っていなかったので、本当に嬉しくてたまらず、どの感想も大切に拝読させていただきました

――本作を通じて伝えたいメッセージがあればお教えください。

悩んでいるときは、ぐーっと視野が狭くなります。けれど社会は自分が考えているよりずっと温かいのではないかなと私は思っています。「自分だけかも」と思わず、誰かに雨が冷たいと声を出してみてほしいです。きっと誰かが傘やタオルを持って走ってきてくれます。そんな世界だといいなと思います。

――今後の展望や目標をお教えください。

目標はずっと漫画を描いていることです!皆さんに読んで良かったなと思っていただける漫画をこれからもたくさん描きたいです。その為に、目の前の事をひとつひとつしっかり大切に歩いていきたいと思います。

――最後に、作品を楽しみにしている読者の皆様へメッセージをお願いいたします。

いつも拙作をお読みいただきありがとうございます。皆様が読んでくださることが私のエネルギーです!これからも悩んだり笑ったりしながら生きる主人公達を丁寧に大切に描いてまいりますので、主人公達を見守り、一緒に悩み、幸せを感じ、笑っていただけたら嬉しいです。私がこうしてマンガを楽しく描けるのは皆様のお陰です。本当にありがとうございます。これからもよろしくお願いいたします。

「男子の色」って決まってるの…?/(C)Amai/SQUARE ENIX