2024年4月クールに放送開始となるテレビアニメ『魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい?』。手島史詞氏が原作を手掛ける本作は、作りこまれた世界観やキャラクター、進展を見守りたくなるような共感性の高いラブコメ要素が読者に支持され、シリーズ累計発行部数200万部を突破した“異世界ファンタジー×王道ラブコメ作品”だ。魔王の遺品としてオークションに出品された白い髪のエルフの少女ネフィに一目ぼれしてしまった魔術師ザガン。全財産を投じて彼女を競り落とし、素直に好意を伝えられないまま、世界に絶望したネフィと共同生活を送っていく。この度、ネフィ役を務める声優・市ノ瀬加那と、本作のED主題歌を担当するアーティスト・山本彩にインタビュー。別ジャンルで活躍する2人が、お互いに聞いてみたいこととは?

【動画】声優・市ノ瀬加那とアーティスト・山本彩がクロストーク! 『魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい?』の魅力を語る

■ED曲「ブルースター」はネフィ目線の楽曲に

――まず市ノ瀬さんに、本作に初めて触れた際の印象を聞かせてほしいです。

市ノ瀬:オーディションのお話をいただいてから原作を読んだのですが、まず最初に思ったのは、ラブコメの部分にムズムズするような初々しい甘酸っぱさがギューッと濃縮された作品だなと。ネフィとザガンのやり取りはそんな感じなのですが、一方でザガンの魔術師として動くシーンには少年漫画のようなバトル感も溢れていて、ラブコメとバトルの要素が上手く組み合わさったファンタジーだなという印象を持ちました。登場するキャラクターたちの個性も立っていて、話が進むごとに新しいキャラクターも増えて、そうすることでネフィとザガンの関係性の形が少しずつ変わっていくのも見ていて微笑ましかったです。

――演じるネフィについては、どのような印象を持ちましたか?

市ノ瀬:序盤にザガンから「鈴を転がすような声」と言われるシーンがあるので、演じる上でのプレッシャーはありました(笑)。ネフィは重い過去を背負ったキャラクター。しかし、ザガンと出会うことで等身大の女の子らしさが徐々に出てきます。ネフィが自身の過去を語るシーンもあるのですが、普段はふわふわしたかわいらしいネフィが、実はドロドロした裏の感情を抱えていることも分かってきます。そこでエルフである彼女の“人間味”も感じて、ネフィのことがすごく好きになりました。

――山本さんは、本作のEDテーマを担当することが決まってどのようなお気持ちに?

山本:私はアニメが大好きで、昔からたくさんのアニメや漫画に触れて来ていたので「いつか主題歌を歌えたら」という思いがありました。なので「ついに叶った!」と嬉しさでいっぱいです。スタッフさんからこのお話を聞いた時は、みんなで万歳をして喜びました(笑)。

――ED主題歌「ブルースター」はどのような楽曲ですか?

山本:タイトル「ブルースター」は、信じあう心・幸福な愛といった意味を持つ花の名前から付けました。原作を読んだ時に、ネフィとザガンの関係性がラブだけではない、もっと深いところで繋がっている感じがしたんです。それが作品においてキーとなる部分だと思ったので、そこを大切にした上で、ネフィの目線になって作りました。

――ネフィの目線で楽曲を書いたのですね。では、物語もネフィ目線で読んだのですか?

山本:そうですね。どのキャラクターもしっかりバックボーンを持っていて、感情移入できるシーンがたくさんあったのですが、その中でもやはり楽曲を書かせていただいたこともあって、ネフィ目線になってしまいましたね。

ですが、私とネフィには重なる部分が多くて、楽曲がなかったとしても彼女の目線で読んでいたかもしれません。トラウマを抱えながら一歩進むのは勇気がいることだけど、なんとか周りに助けられながら進んでいく姿を自分に置き換えると、とてもポジティブな気持ちになりました。

――市ノ瀬さんは「ブルースター」を聴いた感想は?

市ノ瀬:楽曲全体が憂いを帯びていて、でもしっかり前を向くという歌詞がとても好きです。悲しげな中にちゃんと芯が通っている山本さんの歌い方がネフィの感情にシンクロしていて、本当に何度も聞きたくなる曲だなと思いました。さらに、オシャレな楽曲だけど、ちゃんとアニメにも溶け込んでいる。絶妙なバランスの曲に仕上がっていると感じましたね。

山本:光栄です! 今までファンの方から楽曲の感想をいただいてはいたのですが、まさか声優さんからもコメントをいただけるなんて。アニメタイアップは今回が初めてですし、キャラクターに息を吹き込む方から実際に感想を聞くのは緊張するし恥ずかしいのですが(笑)。そう言っていただけて、とても嬉しいです。

■声優・市ノ瀬加那×アーティスト・山本彩、お互いに聞いてみたいこと

――先ほど「アニメが大好き」と言っていた山本さん。アニメを好きになったきっかけや、普段どのような作品をご覧になっているか教えてください。

山本:本当に色んなジャンルの作品を見ているので、作品名を挙げるのが難しい……! ですが、自分の中でトレンド入り作品を1つ挙げるとすると『コードギアス 反逆のルルーシュ』です。アニメを何度見返したことか。「ロボットアニメ」というジャンルでは括れない、一言では語り尽くせない魅力があると思っています。

――声優さんもお好きとのことで、この機会に市ノ瀬さんに質問してみたいことはありますか?

山本:今の声優さんは特に、声のお芝居に限らず、歌もお上手な方が多い印象があります。そのためにやられていることはありますか?

市ノ瀬:ボイトレには週1で通っています。新しく通い始めたところでは、今まで習ったことのない呼吸法を教えてもらっていて。歌に限らず、声のお芝居でもまず呼吸が大事になってくるんですよね。

――山本さんも歌う上で、呼吸は大事だと思う瞬間はありますか?

山本:はい。ライブ前にはある程度の緊張はあった方が良いなと思うのですが、程度を超えると呼吸が浅くなってしまいます。そうすると声も出なくなるので、自律神経を整えるストレッチやマッサージをしていますね。

――逆に、市ノ瀬さんから山本さんに質問してみたいことはありますか?

市ノ瀬:ネフィの目線で楽曲を作ったと言っていましたが、歌っている時はどういう目線で歌っているのですか?

山本:やはり1番はネフィの心というか、ネフィ自身を宿らせる感覚で歌っています。その一方で、作品を見ていただく方に楽しんでもらうのはもちろんなのですが、そうじゃない方にも自分に置き換えて聴ける楽曲でもあってほしいので、半分ネフィ、半分自分の目線で歌っています。

――作品、楽曲で注目してほしいポイントを含め、メッセージをお願いします。

市ノ瀬:かわいらしい描写とコミカルな描写のギャップが本当に面白くて、思わずクスっとなっちゃうシーンがたくさん出てきます。真面目なシーンではザガンのかっこいい立ち振る舞いも見れたりして、いろんな視点で楽しむことができる作品になっているのではないでしょうか。あとは、キャラクターたちが本当に魅力的! 見ていて、気持ちが温かくなるんですよね。「なぜこんな温かい気持ちになるんだろう?」と考えた結果、私は保護者目線でみんなを見ているんだなとついさっき気づきました(笑)。皆さんも保護者目線で見て……いや、好きな目線で良いのですが(笑)。是非、温かい気持ちになってもらえたら嬉しいです。

山本:ネフィとザガンの2人はもちろん、それ以外のキャラクターもすごく魅力的です。オタク的目線でいうと、いろんな“カップリング”があるので(笑)、それを探してもらえると、より作品を楽しめるのではないかと思います。そして話を追うごとに、私の書いた楽曲に対して「ここはこういう意味だったのか!」と分かってもらえるところも増えてくると思いますので、あわせて楽しんでいただけたら。

(取材・文:米田果織 撮影:吉野庫之介)

 テレビアニメ『魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい?』は、TOKYO MXにて4月4日より毎週木曜24時30分、BS朝日にて4月5日より毎週金曜23時30分、MBSにて4月6日より毎週土曜27時8分放送。

テレビアニメ『魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい?』インタビューより(左から)山本彩、市ノ瀬加那  クランクイン! 写真:吉野庫之介