笑福亭鶴瓶藤ヶ谷太輔(Kis-My-Ft2)がダブルMCを務めるトーク番組「A-Studio+」(毎週金曜夜11:00-11:30、TBS系)は今春15周年というアニバーサリーイヤーを迎えた。前身番組「A-Studio」は2009年4月にスタートし、2020年には藤ヶ谷がMCとして新加入。番組名も現在の形へと変更され、以降は事前取材も二人体制となると、それぞれの切り口やテーマで取材を行ってきた。このたび、番組収録前に鶴瓶と藤ヶ谷が囲み取材に応じ、事前取材に関する秘話や印象に残っている放送回、また再発見した互いの魅力などについて語ってくれた。

【写真】笑福亭鶴瓶がスタジオに持参した15年分の“手書き取材資料”

笑福亭鶴瓶藤ヶ谷太輔が“旬の人”とトーク!

同番組は、「Actor(男優)」「Actress(女優)」「Artist(アーティスト)」「Athlete(運動選手・アスリート)」で注目の人、旬の人の素顔に迫るトーク番組。

通常、ゲストを迎える多くの番組は番組スタッフが事前にゲストと打合せを行い、トーク内容(台本)を構成しているが、ダブルMCの鶴瓶と藤ヶ谷がそれぞれゲストについて自ら事前取材を慣行。スタジオ収録はMCの二人がゲストと事前打合せなし、トーク台本なしで行う。

■番組が愛される秘訣は、笑福亭鶴瓶が見せる“ゲストファースト”の姿勢

――15周年を迎えられたということで、今の率直なお気持ちをお聞かせください。

笑福亭鶴瓶(以下、鶴瓶): 「15年続く番組はあまりない」と言われるんですけど、自然とこうなっていったなという感覚です。僕自身、『鶴瓶の家族に乾杯』(NHK総合)も含め長い番組も多いのですが、(『A-Studio+』の)15年は通過点であってほしいなと思いますし、こうやって(囲み取材を)やらせていただけるのはありがたい。

藤ヶ谷太輔(以下、藤ヶ谷):僕は2020年から参加させていただいているので、今年で5年目になります。最初はいつまでかという期限は聞いていなかったので、これだけ長く続けさせていただけるのはすごくうれしいですし、毎回目の前でべーさん(鶴瓶)の人間力というものを学ばせていただいています。

鶴瓶:僕は怖いですね、乗っ取られるんじゃないかって(笑)。すごくお上手な方なのですし、ファンを連れてここまでずっときているわけですから。この番組もきっとKis-My-Ft2のファンの方々もずっと見てくださっていますから、ありがたいよね。

藤ヶ谷:そうですね、本当にありがたいです。

――“信頼できるな”と感じた瞬間や、この4年で再発見したお互いの魅力を教えてください。

鶴瓶:あっという間に4年が過ぎたんですけど、僕なんか取材していることを忘れてしまいますから、それをスッと自然に助けてくれるんですよね。“何か見てるんやろか”と思うんですけど、この番組は一切カンペがないですから。自分で全部進めていかないといけないんですけど、そういう意味ではもう慣れたんやなって。

藤ヶ谷:どこに行ったかを(鶴瓶から)事前に聞いてしまうこともあるし、取材は別なのに「あのー…誰やったっけ、ほら!」って、こっちにパスが来るときもありましたし(笑)。

べーさんとは一緒に取材をさせていただくことも多いのですが、「あのことを聞かなきゃ!」というよりも、他愛のない話から入って本題を自然に切り出す、という姿をよく拝見させていただいていて。べーさんのキャリアとかつながり、そして人間力を感じます。

鶴瓶:座ってすぐにゲストの方のことを聞くのはおかしいですから、まずはお会いした方自身のことを聞きたいなと。それに、ゲストの方も、(事前取材の様子を見て)自分にゆかりのある人と僕がしゃべっていることに喜んでくれるんですよ。

藤ヶ谷:だから、常に“ゲストファースト”というか、それはやっぱりべーさんを見ていて感じます。

■取材合戦にならないよう意識、大事なのは“捨てていく勇気”

――番組としての今後の目標や抱負があれば教えてください。

鶴瓶:“目標がない”ということが良いんですよ。『A-Studio+』としてやらなければならないことを着実にやっていくことが大事だと思います。忘れてしまいそうなので、先に言いますね。これ、自分で書いた15年分の資料なんですよ。

藤ヶ谷:すごい! 全部取ってあるんですね…字きれいですね!

鶴瓶:ありがとう(笑)。これ見てくれ、これ。

藤ヶ谷:どなたのですか? すごい、字がびっしり…これ僕のやつですか!?

僕はこの番組のゲストに出せていただいたことがMCに選んでいただいたきっかけですが、僕の時も家族や友人にべーさんが会って取材をしてくださって。それがすごくうれしかったですし、芸能界一、家族や友人に会っているって唯一無二じゃないですか。べーさんは2000組以上に会っているんですよね?

鶴瓶:ゲストの方を知ることは当然だけれど、その人の家族も知っているから、そっちと仲良くなったりするんですよ。この間も堤真一のお母さんから電話掛かってきたりして(笑)。

そういうことってすごく大事で。なんでこれを持っているかというと、『A-Studio+』に出てくださるゲストもさることながら、ガヤ(藤ヶ谷)と一緒にやっているので、ガヤがどんな感じだったかってもう一回調べてみることもあるんですよ。

藤ヶ谷:僕は今までMCの経験が全くなかったので、最初の頃は“ゲストの方の友人から聞いた話をできるだけたくさん言わないと!”と考えていたのですが、捨てていく勇気が必要だなと思いました。

取材こんなにしました合戦になっちゃうと、また違うじゃないですか。だから捨てていくということに対して、最初は勇気が必要だったんです。

鶴瓶:僕がこれを持ってきたのも「こんなにやったんです」という意味じゃなくて、自分の記憶の中にこれだけ入っているということがすごく大事だし、今日のゲストの方にもそれをやって来ているので。何年か経ったから辞めようとかないですし、これが永遠に続くんですよ…はよこんなの辞めたいですよ(笑)。

藤ヶ谷:周年の時にそんな言葉出ることあるんですか(笑)?

鶴瓶:番組を辞めたいということじゃなくて、こういう作業を1回目からやってしまったから、ずっとやっているんですよ!

藤ヶ谷:僕もライブとか、舞台や映画で頭がワッてなっちゃいそうになって、でも“明日(『A-Studio+』の)収録だ”ってなった時に、ここでサボって早く寝ることもできるけれど、自分がゲストで出演した時に取材していただいて、親孝行や友達孝行がすごくできたし、べーさんこれをずっとやってきたんだなと考えると、ここで負けちゃいけないなと思います。

――事前取材はさることがなら、それ以外にもゲストの方を調べたりされていると思いますが、準備にはどのくらいの時間をかけられているのでしょうか?

鶴瓶:ぶっちゃけて言うと、一人あたり7時間くらいかかるんですよ。朝から晩まで一日準備をする日があるんですけど、それでも満足いくことは少なくて。だから淡々と続けています。

藤ヶ谷:たしかに、映画に出演されていたら見ますし、アルバムだったら一曲ずつ聞いて、本を出された方がいらっしゃったら本を読む。でも、「全部読んだんですよ」というアピールじゃないんですよね。

鶴瓶:そう、だけど会う勇気みたいなものはあります。“これだけ知ってるんだから!”じゃないですけど、例えばミュージシャンの方だったら、新しく出したアルバムだけじゃなくて、前のアルバムも調べて、ずっとメモを書いてるんですよ。きっと頭がおかしくなってるんです(笑)。

藤ヶ谷:頭おかしくなってるとか、もう辞めたいとか、ネガティブなワードあんまり書かないでくださいね! 要は“長く続けたい”ってことです(笑)!

■築き上げた“あうんの呼吸”「年々分かるようになってきている」

――これまでの事前取材や番組収録で印象に残っていることを教えてください。

藤ヶ谷:僕はドラマの撮影現場に潜入したり、緊張感のある場面も多くて。たしか多部未華子さんが出演されているドラマのセットに潜入して、僕の置いた小道具がオンエアに乗ったり…自分は体験型の緊張なんですけど、べーさんってコスプレ系多くないですか?

鶴瓶:コスプレ多いよね(笑)。

藤ヶ谷:あと覚えているのが、道枝(駿佑)くんの時にドローンにハマっているということで、べーさんの頭にみっちーがドローンを飛ばす姿を、僕が真ん中で見ているっていう…不思議な回がありました(笑)。

鶴瓶:それに、シム・ウンギョンさん(がゲスト)の時は韓国まで行ってますから、マイナス17度ですよ。韓国まで行って、帰ってくるんですよ、サムゲタンを食べに(笑)。

藤ヶ谷:僕が入る前にもっと遠くに事前取材をしに行ったことはあるんですか?

鶴瓶:渡辺謙さんの取材でロスに行って、謙さん行きつけの食堂に入ったな。取材に行って、すぐ帰ってきてだから、飛行時間の方が長いし、合間時間はずっとメモを書いてんねん。

藤ヶ谷:すごいですね、まだまだ見習うことがたくさんあります。

――藤ヶ谷さんはこの4年間でどんなところが鍛えられたなと感じていますか?

藤ヶ谷:MCになったばかりの頃は、よくべーさんから収録終わりに電話をいただいていて。僕は「もう少しこうした方がいいとかありますか?」とアドバイスを求めていたんですが、べーさんは「お前には何もない、自然体なところがええんや」と言ってくださって…そこを自分の良いところだと、より認識するようになりました。

鶴瓶:ほんまにそうよ! この番組を自然な空気で進めていくのは非常に難しいんですよね。それを最初からできていたので「言うことないわ」と伝えました。

藤ヶ谷:しゃべるのがうまい方にはいろんなパターンがありますが、自分はしゃべるというよりも“聞く力”を身につけたいなと思って。なので、聞く力を意識するようにはなりました。

――鶴瓶さんは藤ヶ谷さんのMCはどういった部分が魅力的だと感じていますか?

鶴瓶:“ここ聞きたいな”とか“あれなんやったっけ”と思ったときに、スッと振ってくれるんですよ。言っていないことがあれば、それをすぐに引き出してくれて。緊張していたり、型にハマっていたら絶対に出てこないと思いますし、自然な感じだからこそ出てくるだろうなと。

藤ヶ谷:よく夫婦間で「アレ」で分かるって言うじゃないですか、たしかに収録の時にべーさんが「あのー…ほら、何や」って言っている時に「あのー」で“ご家族のことだな”って年々分かるようになってきているんですよ(笑)。

鶴瓶:動物飼っているみたいに言うなや(笑)。「あのーあれやんか!」ってだけじゃ何も絞り切れていないのに、ピンポイントで当ててくれるっていうのは本当にすごいなと思います。

囲み取材に応じた(左から)笑福亭鶴瓶、藤ヶ谷太輔/ (C)TBS