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 アメリカ、フロリダ州の民家に正体不明の物体が突如落下した。その正体はもしかしたら国際宇宙ステーション(ISS)から投棄された使用済みバッテリーの可能性があるという。いわゆる宇宙ゴミというやつだ。

 この物体は屋根はおろか、2階の床まで突き抜けていったという。幸いにも怪我人は出なかった。

 これが本当に国際宇宙ステーションの廃棄物だった場合、、家主のオテロさんはNASAに修理代を請求すればいいのだろうか?

 ところが事態はちょっと複雑であるようだ。もしかしたら日本のJAXAや、ロシアも関与する可能性があるという。

【画像】 突如民家に落下した物体の正体

 事件は3月8日午後2時34分(現地時間)に突然起きた。フロリダ州ネープルズで暮らすアレハンドロ・オテロさんの自宅に突然何かが落下してきた。

 その物体は屋根に墜落した後、2階の床まで突き抜けていったという。幸い怪我人はいなかったが、家には穴が開き、ひどい状態となった。

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国際宇宙ステーションの廃棄物である可能性

 落下物は長さ数cm、重さ0.9kgほどの円筒形の物体で、はっきりした正体は不明だという。

 だがこれは、国際宇宙ステーションから投棄された使用済みバッテリーではないかと推測されている。

 ホームセキュリティカメラに記録されていた衝突音の時刻が、バッテリーが大気圏に突入した時刻とほぼ一致するのだ。

 そのバッテリーは、メキシコ湾上空を通り、フロリダ南西部に落下していった。

19時29分(UTC)、メキシコ湾上空、カンクンとキューバの間でEP-9機材パレットが再突入。従来の予測範囲内だが、”最も可能性の高い”範囲より少々北東にズレていた。あと数分再突入が遅ければ、フォートマイヤーズに到達していただろう。

こんにちは。その破片の1つがフォートマイヤーズを外れ、ネープルズの私の家に落ちたようです。

屋根を突き破り2階を貫通しました。危うく息子が死ぬところでした。NASAと連絡を取るのを手伝ってもらえないでしょうか? 問い合わせているのですが音沙汰なしです

バッテリーは地球に返却予定だったが宇宙に捨てることに

 このバッテリー、もともとは新しいものと交換された後、貨物パレットに乗せられ、JAXAの補給機「こうのとりHTV)」で地球に返却されるはずだった。

 だが諸々のスケジュールの遅延によって国際宇宙ステーション内に取り残され、2021年、NASAはそれを乗せたパレットごと宇宙に捨てる決断を下した。

 そう決断したのは、地球の大気圏に突入すれば、バッテリーパレットも跡形もなく燃え尽きるだろうと予測されていたからだ。

 2021年に捨てられてから3年ほど宇宙を漂った末、いざ大気圏に突入してみると、燃え尽きなかったようなのだ。

 なおこの落下物はオテロさん宅からNASAが回収しており、今後その正体の特定が行われるという。

 ASAの広報担当者ジョシュア・フィンチ氏は「NASAは家主の協力のもと、物体は回収済みです。フロリダのNASAケネディ宇宙センターでできるだけ早く分析し、その出所を特定する予定です」と発表した。

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2021年にISSから切り離された直後のパレットバッテリー / image credit:NASA/Mike Hopkins

民家を修理する義務は誰にあるのか?

 落下物の出所がNASAであると判明すれば、オテロさんは米国政府に対して家の修理費を請求することになる。

 だが、もしかしたら状況は彼にとって少し面倒な、そして法律家にとっては興味深いものかも知れない。

 ミシシッピ大学の航空宇宙法の専門家ミシェル・ハンロン氏がによると、ある国によって宇宙に打ち上げられた人工物が地上に損害を与えた場合、それを打ち上げた国が損害賠償の責任を負うことになる。

 だが今回の場合、バッテリー自体はNASAの所有物だが、それを乗せたパレットは日本のJAXAのものなのだ。

 しかも、そもそもバッテリーが投棄されたのは、5年以上前のロシアに端を発しているのだという。

 当時、NASAの宇宙飛行士ニック・ヘイグ氏はロシアの宇宙飛行士とソユーズ宇宙船で打ち上げられることになっていたが、このミッションは宇宙船の故障によって中止になってしまった。

 こうしてヘイグ氏は計画されていた通り、国際宇宙ステーションに到着できなくなる。

 じつはヘイグ氏の国際宇宙ステーションでの任務は、ステーション外部にある古いバッテリーJAXAの補給機「こうのとりHTV)」が届ける新しいバッテリーと交換することだった。

 ところが、ヘイグ氏がいないために交換計画は大幅に狂い、本来こうのとりに乗せて地球に返却されるはずだった古いバッテリーが、パレットごと宇宙ステーション内に保管されることになった。

 こうのとりはその後も繰り返し宇宙ステーションに物資を届けているのだが、その都度別の機材を持ち帰るので、どうしても古いバッテリーが残ってしまう。

 ほかの補給機で持ち帰ろうにも、こうのとりパレットこうのとりにしか搭載できない。

JAXAこうのとり」のあゆみ

 こうして2021年3月、NASA国際宇宙ステーションのロボットアームでバッテリーが乗せられたパレットごと宇宙に投棄することにした。

 さて、この場合、責任の所在はどこにあるのか? オテロさんには気の毒だが、しばらく落ち着かない日々が続くのかもしれない。

References:Trash from the International Space Station may have hit a house in Florida | Ars Technica / Mysterious object that crashed through Florida home was likely space junk from the International Space Station | Live Science / written by hiroching / edited by / parumo

 
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民家の屋根を突き破って落下してきた謎物体、国際宇宙ステーションの廃棄物である可能性