南海本線高師浜線高石市)連続立体交差事業において、予定していた全区間の高架化工事が完了しました。鉄道による運行再開は、2024年4月6日始発からとなります。

これに先立ち、2024年3月30日高師浜線伽羅橋駅~羽衣駅間を歩く高架ウォークイベントが開催されました。再開前の路線を歩く貴重な機会ということで、筆者もイベントに参加。その様子をレポートします。

※2021年5月からの高架化工事ならびに代行バス運行に関しては、それぞれ鉄道チャンネルサイト「【写真で見る】南海本線高師浜線羽衣駅、高架切り替え直前の様子」「南海高師浜線代行バスに乗ってみた【乗車体験レポート】」にて報告しています。あわせてお読みいただけますと幸いです。

出発前、伽羅橋駅前の様子は?

参加者の集合場所は伽羅橋駅前。最初に南海電鉄の担当者から、高師浜線の高架工事の説明とイベントの注意事項についてアナウンスがありました。

地元の画家による天女の壁画
ウォークイベントが開催された日は、羽衣駅西側工事ヤード内の特設会場で写真が展示されていました

さっそく駅構内に入ってみると、目に入るのが青のコーンポスト。将来的には、鉄道事業再開にあわせて改札機を設置する場所に目印として置いているようです。高架化にあわせてトイレ工事も行っており、運行再開後は男女別のトイレとなります。

階段を上がって駅のホームに入ると、ここにも変化が。

羽衣駅の高師浜線ホーム

高架化工事にあわせ、駅のホームがかさ上げされ、ホーム長も延長されています。

高師浜線では、これまで17メートルの短い2両編成・ワンマン対応の車両が使用されていましたが、将来的には高師浜線の自動運転を視野に入れているそうです。参考までに、南海電鉄では和歌山港線和歌山市駅和歌山港駅)で自動運転の実験をしています。

それでは線路に降りてみましょう。

ホームから仮設の階段で線路に降りました

伽羅橋駅から羽衣駅まで歩きます

伽羅橋駅から線路上を歩きます。歩き始めるとすぐカーブに差し掛かります。

写真をご覧いただくと、傾いているのが分かりやすいでしょう。カーブの傾きは電車に乗っているとなかなか感じにくいものですが、実際に線路を歩いてみると「傾いている感覚」をはっきりと体験できます。

ゴールの羽衣駅までは1キロ弱ほどの短い道のりです。途中で上り勾配の標識を見つけました。標識の右側は伽羅橋駅方面で、Lは水平を表す「レベル(Level)」の意味。実際、伽羅橋駅からこの標識まで坂はありませんでした。左側は羽衣駅方面で、ここから12パーミル(※)上ります。

※鉄道では勾配を千分率で表します。12パーミルは「列車が1000メートル12メートル上る」勾配になります。

12パーミルの坂を徒歩で上っていきますが、上っているという感覚はありませんでした。カーブを曲がり終えたところで振り返ると、ようやく坂を上っていたことを実感できました。

羽衣駅に近づいてくると、線路上から南海本線を通過する車両を撮影できるポイントも。

ゴール手前に記念撮影できる場所が設けられており、通過する列車に向かって手を振っている参加者の姿もありました。

羽衣駅ではこんな一場面も。

写真はホーム下から撮影したものです。列車を避けるための避難用のスペースとなっており、南海電鉄の担当者からは「万が一ホームから線路上に転落した際は、ホーム下の隙間に隠れてください」と説明していました。

南海高師浜線の鉄道による運行再開前に、徒歩で歩くことができたので貴重な経験になりました。将来的には高師浜線の自動運転を視野に入れているということで、今後の高師浜線に注目したいと思います。

記事:樋口也寸志
※写真は全て筆者撮影