会心の一振りでドジャース移籍後初ホームランを放った大谷。その一発は大きな反響を呼んでいる。(C)Getty Images

 ロサンゼルスを熱狂させた一発は大きな反響を呼んだ。現地時間4月3日に本拠地で行なわれたジャイアンツ戦で大谷翔平ドジャース)は、移籍後第1号となるソロホームランを放った。

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 開幕から9試合、実に40打席ノーアーチという自己ワーストの苦境に陥っていた。周囲からはスランプを不安視する懸念の声も聞こえ始めていたなかで、「焦る気持ちを我慢しながら」(試合後の本人談)試合に臨んでいた大谷は、7回裏にようやく“その時”を迎えた。

 7回裏に2死無塁の局面で打席に立った大谷は、相手左腕テイラー・ロジャーズと対峙すると、カウント3-1から外角高めに投じられた93.2マイル(約150.3キロ)のシンカーを強振。弾丸のように打ち出された打球は、瞬く間に右中間方向へ消えていき、スタンドの中段に突き刺さった。

 試合後に大谷は地元スポーツ専門局『Sports Net LA』などの取材で「メンタルを言い訳にしたくはない。そこも技術」と吐露。ホームランが出なかった理由を自己分析した。ただ、先月20日には韓国・ソウルでの開幕シリーズ直後に明らかになった専属通訳だった水原一平氏による違法賭博関与というスキャンダルなど、野球に集中できない状況がプレーに少なからず影響を与えていたのは想像に難くない。

 苦しみ抜いた末に生まれた一発を、地元の識者たちも感慨深げに振り返っている。『Sports Net LA』の中継解説を務めていた元ドジャースの投手であるドントレル・ウィリス氏は「あのスイングは80%ぐらいの力で打てていた。だからこそ、ショウヘイがいかにパワフルなのかが分かる。本当に凄かった」と脱帽。続けざまに「これが転機になる。これでショウヘイは肩の力が抜けて、活躍するようになる」と断言した。

 また、2003年にマーリンズの一員としてワールドシリーズ制覇を果たした経験を持つウィリス氏は「彼のようなアスリートには、時々自分を抱きしめて、こう言ってくれる人が必要なんだ」と強調。そして、スーパースターの胸中を慮るように持論を続けている。

「時に『君は君のままでいい。自然体で試合に挑みなさい』『君を信じている』『大切なのは野球を楽しむことだ』と言ってくれる人が傍に必要になるんだ。それが今回はロバーツだったんだ。このチームはワールドシリーズを勝たなければいけないという重圧がかかっている。でも、まずは目の前のプレーをするだけだ。目の前の一試合を勝ちながら、それを積み重ねていくだけなんだ。繰り返すが、ショウヘイは他とは違うんだ。これからも活躍し続けるよ」

 果たして、ウィリス氏の断言通りに大谷の快進撃は続くのか。“覚醒の兆し”を見せている偉才のバットから目が離せない。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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