それぞれに「自分を変えたい」という思いを抱えた子どもたちが、家出して森で生活する様子を描いた大家(@ksyjkysk)さんの創作漫画「僕らの夏と灰」。森に棲みつく化け物“灰入道”と対峙する中で子どもたちは大きく成長を遂げるが、彼らを待ち受ける思わぬ展開に読者からはさまざまなコメントが寄せられた。本作について、作者の大家さんに話を伺った。

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■「灰入道はカズの妄想を具現化して、あたかもみんな生きているよう見せていました」

灰入道に追われ森の中で逃げ回っていた主人公・カズ。とうとう捕まってしまうが、彼を追っていたのは地元の消防団員だった。この展開について、大家さんは「もともとこの話は最初から消防団に発見されるまで、カズの妄想です」と、驚きの設定を明かす。

さらに、「『崖から落ちたけど、かすり傷で済んだ』といっていますが、この出来事でかすり傷どころかカズ以外の全員死んでしまいました。この時点で生き残ったカズだけ何らかの影響により、幻聴幻覚を患ってしまいました。灰入道の仕業です」と解説。つまりは、物語が始まった時点で生きていたのはカズだけということが判明した。

では、カズの仲間との日々は一体なんだったのだろうか。大家さんによると、「カズの妄想を具現化して、あたかもみんな生きているよう見せていました。作中に出ていた灰入道の姿をしたものは、実際に灰入道が見せた幻覚で、正体は捜索に出ていた消防団員でした。灰入道は、カズに人殺しをさせるように仕向けたんですね。遊ばれていたわけです」とのこと。

そして、「瓦礫に傷だらけの足が映ったコマがありますが、これはひよりの足で、包帯が巻かれています。この包帯は一度家から戻ってきたカズによって巻かれたもの、つまりひよりが崖から落ちた後でカズによって巻かれたものです」と教えてくれた。果たしてその時、カズは自分の意志で手当てをしたのだろうか。謎は深まるばかりだ。

取材協力:大家(@ksyjkysk)

1人だけ助かったのに、このセリフの意味とは?/画像提供:大家(@ksyjkysk)