ピアニスト・教育者として国内外で活躍した野島稔(1945-2022)を忍び、その功績を称えるイベント「野島稔メモリアル・コンサート」が、野島稔の出身地、神奈川県横須賀市において開催される。

野島稔は、1994年の同劇場開館当初より数々の名演奏を遺しただけでなく、2006年から9回にわたって開催された「野島稔・よこすかピアノコンクール」の創設に寄与。自ら審査委員長を務め、優れた若手ピアニストを世に送り出してきた功績は例えようもなく大きい。今回のメモリアル・コンサートは、同コンクールのこれまでの入賞者・入選者および、審査員を含めた関係者が出演する特別な機会となりそうだ。

「第1回ピアノ協奏曲」においては、高関健指揮、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団の演奏のもと、若林顕&伊藤恵ほかによる4曲のピアノ協奏曲が披露されるのは贅沢の極み。

そして、「第2回ピアノGALA」においては、野平一郎、迫昭嘉を含む6人のピアニストが演奏を披露。この豪華な顔ぶれによる共演は、めったにない機会と言えそうだ。チラシのキャッチコピーに書かれた“野島稔の不思議な偉大さが現れる2日間”とは伊達じゃない。

偉大なるピアニストを想い、ピアノ音楽に浸る特別な2日間を堪能したい。

野島稔メモリアル・コンサート

■チケット情報
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=2342763
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=2342778

ピアノ協奏曲

5月3日(金・祝) 15:00開演

指揮 高関 健
管弦楽 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
野上真梨子 (第5回コンクール 第1位)
モーツァルト ピアノ協奏曲 第27番 変ロ長調 K.595

小井土文哉 (第6回コンクール 入選)
ラフマニノフ ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 Op.18

若林 顕 (第3回~第6回コンクール 審査委員)
プロコフィエフ ピアノ協奏曲 第2番 ト短調 Op.16

伊藤 恵 (第8回~第9回コンクール 審査委員)
ベートーヴェン ピアノ協奏曲 第5番 変ホ長調 Op.73 「皇帝」

ピアノGALA

5月18日(土) 15:00開演

本堂竣哉 (第9回コンクール 第1位)
J.S.バッハ ファンタジアフーガ イ短調 BWV904
       トッカータ ニ長調 BWV912

安並貴史 (第7回コンクール 第1位)
シューベルト 即興曲 第3番 D899 Op.90-3
ドホナーニ トッカータ Op.17-2
ブラームス 創作主題による変奏曲 ニ長調 Op.21-1
ドホナーニ アリア Op.23-1

野平一郎 (第2回~第7回コンクール 審査委員)
J.S.バッハ 平均律クラヴィーア曲集 第1巻より
      第1番 ハ長調 BWV846/第8番 変ホ短調 BWV853
武満 徹 ピアノ・ディスタンス
レノン&マッカートニー(武満 徹 編曲) ゴールデンスランバー
武満 徹 閉じた眼II

上野 真 (第6回~第9回コンクール 審査委員)
ベートーヴェン ピアノ・ソナタ 第21番 ハ長調 Op.53 「ワルトシュタイン」

東 誠三 (第6回~第9回コンクール 審査委員)
ベートーヴェン ピアノ・ソナタ 第31番 変イ長調 Op.110
迫 昭嘉 (第1回~第5回コンクール 審査委員)
ベートーヴェン ピアノ・ソナタ 第32番 ハ短調 Op.111

よこすか芸術劇場

https://www.yokosuka-arts.or.jp/performance/nojimamemorial/index.html

●野島稔(ピアノ)
1945年横須賀市に生まれ、3歳からピアノを始める。桐朋高校、桐朋学園大学、ソビエト留学まで故・井口愛子氏に師事。高校3年の1963 年に第32回日本音楽コンクール第1位大賞受賞。1966年ソビエト文化省の招きでモスクワ音楽院に留学、レフ・オボーリン氏に師事した。1968年海外派遣コンクール優勝、1969年に第3回ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで第2位に入賞し、1970年ニューヨークのカーネギー・ホールデビューリサイタルで大成功を収める。以降、世界各地でリサイタルや国内外の主要オーケストラとの共演など目覚ましい活躍を遂げた。
1986年にはモスクワ1988年レニングラードで松村禎三氏のピアノ協奏曲第2番を演奏し、いずれも最大の賛辞を集めた。1992年にはNHK交響楽団との数々の名演が評価され、有馬賞受賞。1994年サントリーホールで「野島 稔・プレイズ・ラヴェル」を行い「近来まれに見る最高級の演奏」「奇跡的な技術と磨き抜かれた音楽性の円熟の極致」など絶賛を博した。桐朋学園大学特任教授、桐朋学園大学院大学教授を歴任。2001年からは仙台国際音楽コンクールピアノ部門審査委員長、2006年からは自身の名を冠した「野島 稔・よこすかピアノコンクール」審査委員長をつとめ、2011年には東京音楽大学学長に就任、後進の育成にも尽力した。第57回神奈川文化賞、第70回日本芸術院賞受賞。