「相手が急きょ決まって、スーパーバンタムから1階級上げてきた選手なんで、ガッツリ倒してほしかったなって…」

 5回終了TKO勝ちした亀田和毅に対し、自身のYouTubeチャンネル〈内山高志のKOチャンネル〉でこんな苦言を呈するのは、ボクシング元WBA世界スーパーフェザー級王者・内山高志氏だった。

 亀田三兄弟の三男がケビンビジャヌエバ(メキシコ)とのフェザー級10回戦に挑んだのは、3月31日。当初はレラト・ドラミニ(南アフリカ)との再戦が予定されていたのだが、急きょ対戦相手が変更になっていた。

 2023年10月の、ドラミニとのIBF世界フェザー級2位決定戦に1-2で判定負けした亀田は「再度、負ければ引退」と明言して、リベンジマッチに臨むはずだった。ところがIBFは、同級3位アーノルド・ケガイとの試合をドラミニに指示。これを受諾したことで、代役ビジャヌエバの登場となったのである。

 内山氏はさらに踏み込んで言う。

「あんだけ当ててたんで、ガツンと倒すようなボクシングじゃないと、今度フェザー級でタイトルマッチってなった時に、数少ないチャンスで(パンチを)効かすことができないと、12ラウンド続けるってことは大変だと思うんですよ。行く時は行く、行かない時は行かないとか、どこかで誘い込むパンチを…」

 記憶に新しいのは、井上尚弥がスーパーバンタム級への転級初戦にしてWBC・WBOのベルトを獲得した、スティーブン・フルトン戦(2023年7月25日)。ガードを固めるフルトンに対し、井上はややペースを落として引いたところ、攻めてきたフルトンにカウンターを合わせる形で鮮やかなKO劇に。これを例に内山氏は、

「そういったものも併せていくと、すごくいいと思います」

「モンスター」と同じ高等テクニックを要求する内山氏は、こうも言う。

「センスはボクなんかよりもぜんぜんあるんで、ボクなんかがどうのこうの言うアレはないんですけど、今後の亀田選手に期待したいと思います」

 元スーパー王者の内山氏が認めるそのセンスで、亀田のボクシングに飛躍のあらんことを。

(所ひで/ユーチューブライター)

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