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 インド南部の山中で発見された新種のヤモリは、かのポスト印象派の画家、フィンセント・ファン・ゴッホにちなんだ名前が付けられた。

 インドヤモリがなぜゴッホ?と思うかもしれない。このヤモリをじっと観察していた生物学者には、体の模様や色彩がゴッホの名画『星月夜』のように見えたという。

 そしてついた名前が「Cnemaspis vangoghi(クネマスピス・ヴァンゴギ)」だ。

 確かによく見ると体の斑点は、星がちりばめられた夜空のような雰囲気を醸し出している。芸術作品のような新種のヤモリに迫ってみよう。

【画像】 体に星がちりばめられた新種のヤモリ

 『ZooKeys』(2024年3月27日付)に報告された新種のヤモリのオスは、頭部と上半身が黄色っぽく、背中には水色の斑点がある。

 この新種は、2022年4月にタミル・ナードゥ州の西ガーツ山脈南部で行われた遠征中に発見されたものの一種だ。

  発見者の1人である生物学者イシャン・アガルワル氏によると、印象的な色彩が、ゴッホの代表作『星月夜』を彷彿とさせることから、オランダの画家、Vincent van Gogh(フィンセント・ファン・ゴッホ)の名にちなんで、Cnemaspis vangoghi(クネマスピス・ヴァンゴギ)と命名されたという。

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左がゴッホの名画「星月夜」右が新種のヤモリ、Cnemaspis vangoghi(クネマスピス・ヴァンゴギ) / image credit:左)public domain/wikimedia、右)Akshay Khandekar

 クネマスピス・ヴァンゴギ(以下C. ヴァンゴギ)普段は山地や森の岩陰にいるが、時々建物や木の上でも見られる。

 小型のヤモリで、体長はわずか2.5~5cmほど。何を食べるのか不明だが、ヤモリの好物はコオロギミミズ・昆虫の幼虫・蛾・ミバエ・バッタなどだ。パパイヤ・パイナップルブドウといった果物を好むヤモリもいる。

 C. ヴァンゴギが新種であることは、遺伝子の解析によって裏付けられている。

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鼻先から尾までの長さが5cmほどの新種のヤモリ / image credit:Akshay Khandekar

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オスはその体の模様がゴッホの星月夜を彷彿とさせることから「Cnemaspis vangoghi(クネマスピス・ヴァンゴギ)」と名付けられた。 / image credit:Akshay Khandekar

さらにもう1種発見された新種

  世界にはおよそ1500種のヤモリがおり、南極を除くすべての大陸に生息しているが、特に温暖な地域に多い。

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 タミル・ナードゥ州では、C. ヴァンゴギ以外にももう一種の新種のヤモリが発見された。

 こちらは同州の「サトゥラギリの丘」に生息していたことから、クネマスピス・サトゥラギリエンシス(Cnemaspis sathuragiriensis)と名付けられた。

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もう1種の新種のヤモリ、クネマスピス・サトゥラギリエンシス(Cnemaspis sathuragiriensis) / image credit:Akshay Khandekar

今後も続々と新種発見が期待されている

 両種とも250~400mの標高の低い落葉樹林に生息しており、昼行性で、主に早朝の涼しい時間帯に活動する。アガルワル氏によれば、2種は非常に限られた場所でしか見つかっておらず、その意味で興味深い固有種であるとのことだ。

 タミル・ナードゥ州スリヴィリプトゥール・メガマライ・タイガー保護区では、すでに5種の固有脊椎動物が知られていたが、2つの新種もまたこの仲間にくわわることになる。

 タミル・ナードゥ州は非常に生物多様性に富んでいる。アガルワル氏は探検の終わりまでに50種以上の新種が見つかるのではと期待している。

References:Discovering Van Gogh in the wild: a new gecko species / Discovering Van Gogh in the wild: scientists | EurekAlert! / New tiny gecko species named after Vincent van Gogh | Popular Science / written by hiroching / edited by / parumo

 
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体に星空をまとった新種のヤモリ、絵画「星月夜」を描いたゴッホにちなんだ名前がつけられる