使いこなすと節約に!?



食文化研究家のスギアカツキです。『食は人生を幸せにする』をモットーに、食トレンド、スーパーマーケットスタバ、ダイエットフード、食育などの情報を“食の専門家”として日々発信しています。


先日、あるスーパーマーケットに関するX投稿がバズっていて気になりました。それは、「成城石井が年収2000万の人をターゲットにして品揃えを行っている・・・」という2018年のオンライン記事(2018年11月28『MD NEXT』掲載)の一部を切り取って反応した「今まで行っててごめん」という自責投稿。


これを起点に「いつも割引シールを買ってごめんなさい」という自責コメントや「富裕層のスーパーに行く気分を庶民が気軽に味わえる・・・」といった評価系まで広く盛り上がる事態となりました。


◆成城石井は実際、今どうなっているの?
スーパーマーケット研究家の立場としてこの盛り上がりは非常に興味深く、実際のところ成城石井は今どうなっているの?というお話をさせていただきたくなりました。



他スーパーではなかなか出会えないグルメソーセージ「成城石井自家製 レッドチェダーチーズウインナー 180g」475円(税込)



結論から言えば、2点。コロナ禍を経て成城石井の商品戦略も大きく進化していること。競合はスーパーだけではなくなっているということ。


そして年収に関わらず、日々の食生活を設計する上で成城石井を賢く使いこなすことができれば、節約にもつながる可能性があるということです。


えっ!節約?一体どういうことなのか、その理由になる「最新・成城石井の魅力」について4つにまとめて話をしていきたいと思います。


◆① エスニック総菜やトレンドフードで中食ニーズをがっちりつかむ
→外食(レストラン)に行くよりもリーズナブル



店内の総菜コーナーには、タイやシンガポールなどの代表的な料理が並んでいます



コロナが収束した今、手軽さと気軽さでニーズが維持されているのが中食(なかしょく)。惣菜店、コンビニ、スーパーなどでお弁当や惣菜を購入したり、外食店のデリバリーなどを利用する人々が年々増えています。


その中で一定の存在感を発揮しているのが、成城石井。オールジャンルというよりは、エスニック、おしゃれデリ、イタリアンにおいて圧倒的な強みを打ち出しています。


例えば、「具だくさん海老パッタイ」、「シンガポール風ラクサ」、「ココナッツクリームガーリックシュリンプのトマトカッペリーニ」。専門店に行かないと食べられなかったような本格的な料理がレンチン調理だけで手軽に味わえるようになっています。


つまり、これまで外食での出費を、駅地下や駅前の成城石井で代替することができれば、確実な節約につながるでしょう。



オシャレなデリやレストランで出てくるようなプロクオリティのドレッシングが300円台で購入できます



また、レストランやデリで注文するようなおしゃれサラダも自宅で簡単に再現できます。人参やビーツを使った要冷蔵タイプの生ドレッシングは300円台で購入でき、カット野菜と組み合わせても、かなりのコストダウンになるでしょう。


◆② 特選食材がデパ地下よりも安い
→デパ地下での出費をセーブできる


二つめは、デパ地下で売られている特選食材をリーズナブルに提供している点にあります。



行列のできるパン屋「TRUFFLE BAKERY」との共同開発商品「トリュフベーカリートリュフバター 80g」1178



例えば、昨年11月末の発売直後から大ヒットしている「トリュフベーカリートリュフバター 80g」は、白トリュフの塩パンで行列ができるパン屋「TRUFFLE BAKERY」と共同開発した商品で、頑張れば購入できる価格(1178円)に設定されています。これ、デパートで同類商品を探すとなると大変な価格になるでしょう。


キムチも同様で、キムチも得意分野。デパ地下、駅地下の韓国惣菜店としておなじみの東亜トレーディンググループに製造を委託することで、ヒット商品を生み出しています。


最近では「沈菜館 イイダコの海鮮キムチ 230g(971円)」が大ヒット。デパ地下価格より少々抑える価格戦略が功を奏していると言えるでしょう。



SNSでも大人気、店頭でもオンラインでも“おひとり様1点限り”になっている「沈菜館 イイダコの海鮮キムチ 230g」971円



ヨーロッパ食材としてはもう一つ、オリーブ加工品も見逃せません。


ギリシャイタリアから直輸入した大粒サイズの塩漬けオリーブを自社セントラルキッチンで塩抜き・味付け。日本人好みのフレッシュな風味に仕上げています。こちらも高コスパを実感できる名品です。



「成城石井 トリュフ香るオリーブ&ゴーダ 150g」 647円



◆③お菓子もデパ地下菓子より安い
もう一つ、デパ地下と比較した場合に勝ち目があるのが、お菓子。特に焼き菓子のクオリティは非常に高く、有名菓子に似た商品が価格抑えめで続々登場しています。


例えば、新商品の「成城石井 スティックラングドシャ バター(820円)」はヨックモックのシガールを想起させますし、「成城石井自家製 発酵バターのフィナンシェ(755円)」もデパ地下で行列を作る焼き菓子の代表です。



ヨックモックのシガールに似ている!?4月2日新発売の「成城石井 スティックラングドシャ バター」は、40円ほど安い820円の価格設定にそして最近大ヒットを呼んだのが、「成城石井自家製 エクアドル産フレッシュバナナとココナッツパウンドケーキ(田辺農園バナナ使用) 1本(1070円)」。


今年のお弁当・お惣菜大賞の優秀賞を受賞した商品で、ずっしり濃密な食感と華やかな風味が心に残るほどのおいしさに感動することでしょう。デパートパウンドケーキを探すとなると、どんな銘柄でも3000円はくだらないので、コスパも合わせると喜び倍増です。



「成城石井自家製 エクアドル産フレッシュバナナとココナッツパウンドケーキ(田辺農園バナナ使用)」は 1070円



◆④ 実は業務用、大容量商品が充実
→スーパーよりコスパが高い場合も


最後に強調したいのは、コロナ禍での巣ごもり需要にこたえるような大容量タイプの食品が充実していることです。


これは必ずしもプレミアム商品に限らず、例えば他スーパーでのPB商品でも登場している乾燥いちごをチョココーティングした「フリーズドライストロベリーホワイトチョコ」はお買い得感を実感できる業務用サイズが販売されています。



ちょっとこだわりのお菓子には大容量パックが。価格を見ていくと、一般的なスーパーと比較すると割安な場合もあります



他にも「有機大粒むき甘栗」や「トワイニング ベストファイブ 50P」など身近な食材から、乾麺パスタやチーズなどの業務用規格の商品がオンラインショップでも販売されています。


これを見れば、成城石井は高いというイメージがかなり薄まるはずです。



イオンなどでも人気の甘栗大容量パック。成城石井だと大粒感が強みになっています



◆スーパーだけの戦いが終わった今、成城石井をシビアにチェック
以上いかがでしたか?成城石井の強みあふれる商品を把握するだけで、食関連の消費にメリハリがつけられるのではないでしょうか。


スーパーだけの戦いはすでに終わり、競合相手は広がっています。成城石井が自分の食生活の中でどのような存在になりうるかは、シビアにチェックしてみても損はなさそうです。



「成城石井desica 北海道産小麦のバターミルクパンケーキミックス200g×2袋」486円。バターミルクパンケーキミックスをPBで作っているのはスーパーでは他になく、ディーンアンドデルーカでは1512円



<文・撮影/食文化研究家 スギアカツキ>


【スギアカツキ】食文化研究家、長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。基礎医学、栄養学、発酵学、微生物学などを学ぶ。現在、世界中の食文化を研究しながら、各メディアで活躍している。女子SPA!連載から生まれた海外向け電子書籍『Healthy Japanese Home Cooking』(英語版)好評発売中。著書『やせるパスタ31皿』(日本実業出版社)が発売中。Instagram:@sugiakatsuki/Twitter:@sugiakatsuki12