調査サマリ

本調査結果では、グローバルスタンダードなジェンダースコアカード「WEPs」を元に作成した「サステナブル職場診断」の結果から、企業のジェンダーダイバーシティ推進環境の傾向を調査しました。グローバル水準にはまだ届かない企業は多いですが、フェーズが早い段階から、組織の課題を認識し、ダイバーシティ推進や取組みを実施しようとしている企業も増えてきていることがわかリマした。また、指標6項目のうちワークライフバランスなどが整っている企業は多く、IT企業の多くは働きやすい環境が整っているということがわ借りました。


サステナブル職場診断について

Waveleap」では企業が採用活動を通して、ジェンダーダイバーシティの推進を行えるように56項目の「サステナブル職場診断」をWaveleap導入時に全ての企業に実施いただいています。サステナブル職場診断を実施いただくと、以下の画像のように自社の職場環境の可視化と分析が可能となっています。指標は5点満点です。


この「サステナブル職場診断」はグローバルスタンダードなジェンダースコアカード「WEPs」をベースとして作った診断です。診断を実施すると、6項目「ジェンダーバランス」「ワークライフバランス」「キャリアアップとトレーニング」「安全な職場」「サステナブル取組み姿勢」「エンジニア組織のジェンダーバランス」で指標を図ることができ、自社にとってどのポイントが強みで、どのポイントに取り組んでいくべきなのかが一目でわかるようになっています。



WEPsについて:https://japan.unwomen.org/ja/weps
Equileapについて: https://equileap.com/
GPIFでの採用について:https://www.gpif.go.jp/esg-stw/20230414_esg_adopt_1.pdf

サステナブル職場診断の詳細は以下をご確認ください
https://sisterwith.notion.site/66801cdb145b4be0a0c8d8f5d0e2bb83

サステナブル職場診断の4象限分析について

診断結果をもとにした企業環境の可視化のみならず、現状分析とネクストステップまでわかるようになっております。現状分析は、4象限のうちどのタイプかを見ることで、企業環境の傾向とそれに伴うアクションを提示しています。



それぞれのタイプについての詳細は以下

タイプ1:働きすさ・活躍のしやすさともに伸びしろがある。(女性比率、制度ともに課題がある)
タイプ2:働きやすさはある程度整っており、活躍のしやすさに伸びしろがある(女性比率は高いが、マネージャー以上の女性比率が低い)
タイプ3:活躍のしやすさはある程度整っており、働きやすさに伸びしろがある(女性が活躍する環境は整っているが、働く制度の柔軟性に課題あり)
タイプ4:働きやすさ・活躍のしやすさともに基盤はできている(DEIの取り組みを積極的に実施し、制度も整っている)


今回の調査方法

サステナブル職場診断結果の6項目「ジェンダーバランス」「ワークライフバランス」「キャリアアップとトレーニング」「安全な職場」「サステナブル取組み姿勢」「エンジニア組織のジェンダーバランス」の指標別調査と企業タイプを分析することで、企業傾向を調査する。

調査詳細

指標の設計思想について

はじめに、現在の日本企業だと、ほとんどの企業が指標が低くなってしまう傾向にある。冒頭でも伝えた通り、「サステナブル職場診断」はグローバルスタンダードなジェンダースコアカード「WEPs」を元にしているためである。指標は0~5で結果が出るようになっており、現在の日本だと、2以上の指標があれば、取り組みを実際に行っていたり、これから実施する意欲のある企業であり、現状に課題を持ち実際にアクションを起こしている企業だと認識していただきたい。今後、徐々に日本やIT業界自体が変わり、数年かけて5に近づいていくことを信じて、指標を設計している。

※それぞれの指標に対する設問項目は以下のリンクに全て公開しています。

https://sisterwith.notion.site/66801cdb145b4be0a0c8d8f5d0e2bb83

1. 企業の総合指標について調査

■総合指標1以上~3未満の企業が最も多く、3以上の企業はまだまだ少ない傾向にある。
企業の総合平均の割合は1以上2未満が42.3%、2以上3未満も同様に42.3%と大きく割合を占めており、ジェンダーダイバーシティの取り組みはグローバル水準からは低い企業が多い傾向にある。一方で3以上4未満の企業は7.7%ではあるが、取り組みに積極的な企業も見られる





2. 企業の6項目別の指標について調査

■ワークライフバランスの指標が3以上4未満の企業が最も多く、IT企業は柔軟に働きやすい制度が整っていることがわかる

指標が3以上4未満の項目を持つ企業は20%以下となっているが、ワークライフバランスは他の項目と比べても高い指標が出ており、57.7%の企業が3以上4未満の指標となっている。IT企業はリモートワーク制度やフレックスタイムを導入している企業が多く、働き方を柔軟に選べる制度が整っている傾向にあることがわかる。

※ワークライフバランスの指標について
柔軟に働き方を選べる環境を用意し、性別によらず家庭と仕事の両立を支援しているか?を指標として表しています。





■組織のジェンダーバランスの指標は2以上が50%以上となっているが、エンジニア組織のジェンダーバランスは課題がある

組織のジェンダーバランスは管理職の女性比率に課題はあるが、従業員の女性比率が高い企業もあり、指標2以上の企業は50%以上となっている。一方でエンジニア組織のジェンダーギャップの指標は1未満が最も多く、IT業界のジェンダーギャップの課題が可視化されている。しかし、指標が4以上の企業も11.5%いるため、しっかり取り組みを実施できている企業は女性エンジニア比率も高いことがわかる。

※「ジェンダーバランス」の指標について
会社の男女比率及び管理職の女性比率、公表度合いを指標として表しています。

※「エンジニア組織のジェンダーバランス」の指標について
エンジニア組織単体で見た時の男女比率を指標として表しています。





■「キャリアアップとトレーニング」、「安全な職場」の指標は1以上2未満が大きく割合を占めており、ほとんどの企業が何かしらの制度や研修を設けている

Waveleap」掲載企業はスタートアップが多いため、研修やキャリアアップ支援を十分に整えづらい環境が多い傾向にはあるが、何かしらの研修やキャリアアップ支援を実施している企業が多い。安全な職場に関わる「アンコンシャスバイアス研修」などを組織フェーズの早い段階から実施している企業もある。


※「キャリアアップとトレーニング」の指標について
専門性を高める環境が整っているか?ポジティブアクションとしての、女性のキャリア支援を実施しているか?を指標として表しています。


※「安全な職場」の指標について
安心安全な職場を作るための制度や研修が実施されているか?を指標として表しています。DEIの浸透やジェンダーダイバーシティの理解、アンコンシャスバイアス研修の実施、などを意識的にできているかをみています。




サステナブル取り組み姿勢の指標は1未満の企業も多いが指標が4以上の企業も19.2%おり、経営レベルから取り組みを実施している企業も増えている

サステナブル取り組み姿勢は1未満の企業が38.5%と割合を占めているが、指標が4以上の企業も19.2%となっており、経営レベルから取り組みを実施している企業も増えている傾向にある印象。スタートアップでもDEIポリシーを作成したり、ダイバーシティ推進へのメッセージを発信している企業もあり、できるところから取り組みを始めている。また、管理職の女性比率や育休取得率も公開している企業も増えている。


※「サステナブル取り組み姿勢」の指標について
会社としてサステナブルな職場づくりにどのくらい力を入れて実施しているか?を指標として表しています。


■6項目の中央値と比較


3. 企業のタイプ別の傾向について調査

■タイプ3が最も少なく、タイプ1、2、4は同じ割合となっている。

ワークライフバランスの指標が高い企業が多いため、活躍のしやすさはあるが働きやすさに伸び代がある企業タイプ3は少ない傾向にあるのではないかと考えられる。タイプ2は組織全体の女性比率は高いが管理職の女性比率は低い傾向にあり、女性が働きやすい環境は十分に整えられているが、女性の昇進昇格が難しい環境となっている。両立支援制度が女性のためだけの制度になっていないか、見直すことができそうだ。


タイプ1:働きすさ・活躍のしやすさともに伸びしろがある。(女性比率、制度ともに課題がある)
タイプ2:働きやすさはある程度整っており、活躍のしやすさに伸びしろがある(女性比率は高いが、マネージャー以上の女性比率が低い)
タイプ3:活躍のしやすさはある程度整っており、働きやすさに伸びしろがある(女性が活躍する環境は整っているが、働く制度の柔軟性に課題あり)
タイプ4:働きやすさ・活躍のしやすさともに基盤はできている(DEIの取り組みを積極的に実施し、制度も整っている)




タイプ別の傾向については、採用過程との関連性が現段階で一部見えてきているが、データがまだ足りないので、データが集まり次第再度レポートを出したいと考えている。

総括

今回、改めて調査を実施し、企業環境の状況を見える化することには大きな意味があると感じました。特にIT企業はワークライフバランスについて、ほとんどの企業が働きやすい環境を整えており、リモートワーク制度の導入や住む場所を制限していない企業もありました。さらに、指標の高さではジェンダーバランスが2番目に高くなっており、管理職比率に課題はあるものの、公表という部分で指標が高くなったのではないかと考えています。これはとても良い傾向だと考えています。なぜなら、人的資本開示において、数字として結果が出ていない項目は見せたくないと思うのですが、それでも開示することで、企業が現状に課題を感じ、アクションを起こしていこうとしている意思が垣間見えるためです。Waveleapに掲載いただいている企業は総じて、ジェンダーダイバーシティに課題を感じ何かアクションを実施している、しようとしている企業です。本気で組織を変えていこうとしている企業のみを掲載しています。

今後、求人や応募、選考データを元に企業のタイプによって、ジェンダーバイアスやジェンダーギャップの傾向が見えるような調査もしていく予定です。それによって、それぞれの企業がその組織に合うアクションが実施できるように、私たちもアプローチしていきたいと考えています。

改めて、こういったDEIの課題をデータにし、ファクトの情報を集めて、それを元にどうアクションしていくか、というロジックを組むことがDEI推進、女性活躍推進を大きく進める一歩だと感じています。

bgrass株式会社代表取締役CEO兼CTO

咸 多栄

調査概要

調査対象:Waveleap』内の求人データ、応募データ、サステナブル職場診断結果データ、企業数30社前後
調査期間:2023年7月~2024年3月

bgrass株式会社の概要

■bgrass株式会社( https://bgrass.co.jp/)について
設立: 2022年7月
代表取締役:咸 多栄
本社所在地:東京都渋谷区神宮前6丁目23番地4号桑野ビル2階

事業内容:
・女性エンジニアとIT企業のマッチングサービス「Waveleap(ウェイブリープ)」開発中
・ジェンダーギャップに関するイベント登壇や企業研修・自治体ワークショップ開催


■「Waveleap」(ウェイブリープ)について
Waveleap」は、女性ITエンジニアのためのハイスキル転職サービスです。サステナブル職場診断で企業の働きやすさ・活躍のしやすさを可視化し、女性エンジニアがIT業界でスキルもキャリアもライフも諦めず、活躍し働ける環境を見つけられるサービスを目指しています。

企業登録はこちら:https://lp.waveleap.jp/recruiting
ユーザー登録はこちら:https://lp.waveleap.jp/

配信元企業:bgrass株式会社

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