テレビアニメ『魔法科高校の劣等生』(TOKYO MXBS11ほか)第3シーズンが、4月5日23時30分より放送がスタートした。2021年7月にシリーズ10周年を迎え、今年4月にはアニメ放送開始から10年を迎えた。司波達也役の中村悠一司波深雪役の早見沙織、桜井水波役の安野希世乃にシリーズの思い出やアフレコの様子、見どころなどを聞いた。(取材・文:遠藤政樹/編集:櫻井偉明)

【画像】最強の兄妹が登場!『魔法科高校の劣等生』3期の名場面カット

■ここ数年は「魔法科と共にいる」 シリーズの思い出も

 『魔法科高校の劣等生』は、著・佐島勤、イラスト・石田可奈によるシリーズ累計2500万部突破(原作小説シリーズ累計1400万部)を突破している作品。魔法が技術として確立された世界を舞台に、通称“魔法科高校”に通う1組の兄妹と仲間たちの波乱の日々を描いている。

 テレビアニメ第1シーズンが2014年より放送され、2020年に来訪者編、2022年に追憶編が放送。2021年にはスピンオフアニメ『魔法科高校の優等生』も放送された。第3シーズンは、ダブルセブン編、スティープルチェース編、古都内乱編の3部で構成される。

――今年4月でアニメ放送から10周年を迎え、10th anniversary yearに突入した中での第3シーズンの放送となります。制作が決まったときの心境を聞かせてください。

【中村】 第1シーズンから第2シーズンの間に『劇場版 魔法科高校の劣等生 星を呼ぶ少女』がありましたが、テレビシリーズとしては少し期間が空いたので、演者の中にも第2シーズンが始まるとき「これ第3シーズンですか?」なんていう人もいたぐらいでした(笑)。その点、第2シーズンから第3シーズンの制作はより早さを感じましたし、『魔法科高校の優等生』もあったのでここ数年は『魔法科』が続いている印象がありました。

【早見】 ここ数年は定期的に『魔法科高校』シリーズの作品に関わらせていただけてありがたいですし、常に『魔法科』と共にいるような気持ちです。今シーズンでは達也と深雪の学年が上がっているので、アフレコでは新しい気持ちになったような気もしました。

【安野】 第2シーズン終盤で登場させていただいたときは、「アニメでも水波が動くところを見られる」とうれしかったのを覚えていますが、そこから4年も経ったことに驚きました。今回のエピソードも盛りだくさんの内容です。

――第3シーズンでは達也と深雪2年生になりましたが、濃厚な1年生の物語を振り返って、思い出深いエピソードを教えてください。

【中村】 いろんな見方や面白さがある中で、個人的にこういう楽しみ方が一つあるという気づきを得られたのは、第1シーズンのみんなで温泉に入った話です。男子も参加しているはずですけど、九校戦で華々しく戦っている最中なのに男子がほぼ映らなくて…。あのとき、小野学監督の本領を見た気がしました(笑)。

――なるほど(笑)。具体的にはどういうことでしょうか。

【中村】 それまでにも魅力的な演出や見せ方はもちろんありましたが、温泉シーンは特にキャラクターの魅力の見せ方が巧い!この作品はスタートからキャラクターが多く、ドラマだけでもハマっていけますが、それぞれの棲み分けというか見せ方が上手な方がよりハマりやすいと思います。オンエアで見たとき、見せ方の巧さをすごく感じました。

――キャストさんならではの視点の楽しみ方と言えますね。

【中村】 そうかもしれないですね。ということで温泉の回です。

――早見さん、安野さんは?

【早見】 今回2年生に上がったところからやることを加味して、改めて第1シーズンの1話です。スタートの頃のアフレコをいまだに覚えているほど印象的です。特に序盤はお兄様のセリフが難解だし、学園生活にとどまらない壮大なスケールの作品が始まるドキドキ感がありました。

【安野】 水波の初めてのお務めだった、オフショアタワーでの深雪様の護衛のところです。超高層ビルの内部構造を達也兄様が一瞬で把握して一瞬で組み替えてみたいなことを間の当たりにして、水波的にもお兄様のすごさを見せられたエピソードですね。それに頂上付近からワーッっと飛び降りるシーンは、ハリウッド映画もびっくりなアクションシーンで印象に残っています。その後、正式にいとことしてお世話になるという一連の流れはジェットコースター並みの急展開ですが、水波的にもうれしい運びでした。

■達也&深雪が2年生に!影響と意識の変化

――達也と深雪の進級など物語の中で変化もありますが、何か意識したことはありますか。

【中村】 達也本人にそのつもりはないけど、しゃべり口調とか性格、落ち着いている雰囲気もあって、少し偉そうに見えがち。今まではそれでも一番下の関わり方をしていましたが、今回は自分よりも年下が出てきたことで上級生的な対応のような部分もあります。そういう変化は演じている中で感じましたし、「どのぐらいの言い方がいいのか。あまり上になりすぎても良くない。でも達也だから」みたいな意識はしました。

――後輩ができたことによるニュアンスの変化があるのですね。

【中村】 第1シーズンから10年経ち、私も年齢を重ねているので偉そうに聞こえてしまいがちというか(笑)。年下に対して話す感覚が昔と違い、意識していない年齢感とか、『そういうものが出ないようにしないと!』と考えることはあります。今回の1年生のキャスティングも実際に若手の子が多く難しいと感じる部分もありました。

【早見】 私は個人的に後輩に翻弄される深雪はちょっといいなって思います。司波兄妹は技術も才能も人間性も完成されているところがあって、特にお兄様は揺るぎないものを持っています。深雪も同様に見られている面もあって、あまりパーソナルスペースに対してグッと入り込んで来てくれる人が多くない中、深雪が後輩に対してどう言ったらいいか。どう関わったらいいか。ちょっとあたふたしている姿は新鮮だなと思います。

――水波は1年生として入ってきますが、2年生になった達也と深雪を見てどう思いますか?

【安野】 水波にとってお二人は双璧をなす偉大なる存在で、学園生活を一緒にするようになって、みんなから一目置かれていてさすがという想いは絶対にあると思います。家で家事をしつつ2人のそばにいる水波と、学園の中で対外的にはいとこであり後輩として扱ってもらえる水波では、彼女の中でも居心地が違うと思います。はわわとなりつつも、お二人の世界にはそっと触れないように少し距離を置いて見守っている感じがします。第1話で七草姉妹の泉美ちゃんが深雪様のファンで熱烈な感じで来たときに、はがしにいくシーンでは、初めて水波の凛々しい一面も見られ、ほかにもいろんな表情が見られそうと思いました。

中村悠一商業科を熱望?PowerPointでプレゼンへ 高校時代に戻って学び直すなら

――達也は新設された魔法工学科(魔工科)に転科します。現実世界でも多くの学科がありますが、高校生に戻って学び直すとしたらどの科がいいですか?

【中村】 学びたくないんですけど(笑)。

【早見&安野】 あはは。

――その回答は予想していませんでした(笑)。皆さんは普通科でしたか?

【中村】 そうですね。自分が進学した学校以外の想像はつかないので難しいですね。

――例えば商業科ならマーケティングや簿記、情報処理など、工業科は工業の各分野の専門知識や技術、農業科では生産技術や経営、動植物の資源活用といったことを学べます。

【中村】 なるほど。これを聞くと商業科ですね。ExcelとかPower Pointを使えないと今、ビジネスにおいて資料を作れないですよね。

【早見】 Power Pointでプレゼンしている中村さんが見られるんですか!?(笑)

【中村】 我々も使えると便利な場面もあるんです。今をベースに考えるとですが、自分から資料提出ができるようになるから仕事がしやすい場面もあるので、やっぱり商業科かな。

【安野】 私は国際学科に通っていて、帰国子女が多く、いろんな習慣とか考え方に触れられたのはよかったです。ただ、英語が好きというだけで進学すると、英語に対する心を折られてしまう場合もあり…(苦笑)。英語のクラス分けテストが入学後にあったのですが、春休みに少しサボってしまい、英語ではまさに“劣等生”でした(笑)。

――なかなか大変ですね。ちなみに、また行きたいですか?

【安野】 楽しかったので、ちょっと心構えを新たにしてやり直したい気持ちはあります。

【早見】 国際科、楽しそう。いろんな文化や考え方、視点に早くから触れてみたかった気持ちもあるので、ちょっと行ってみたいかも。私はアーティスト活動もしているので音楽科に興味があります。

――ありがとうございます。最後に第3シーズンの見どころをお願いします。

【中村】 アフレコ時の素材から受けるイメージも「こういう風にしていきたいのだろうな」という想いを強く感じたので、楽しんでもらえる第3シーズンになっていると思います。ずっと見てくださっている方たちも新規で入ってくださる方たちも全員、楽しんでもらいたいです。

【早見】 学年が変わったことで司波兄妹がまた違う歩み方をしていくのではと思いますが、この2人はそれでもぶれません。新しいキャラクターもたくさん出てきますし、大きな物語をまた楽しんでもらえたらと思います。

【安野】 第2シーズンの終盤が水波の“助走”だったとすると、今回は魔法科高校1年生として入学でき、しっかり物語に関わっていける土俵に立たせていただいたシーズンだなとうれしく思います。学園の外で行われるバトルシーン、九校戦など見どころ盛りだくさんで楽しめるシーズンになっています。水波としては緊迫するシーンだけでなく、深雪様とホッと和める瞬間も楽しみで、揺れる深雪様の心を追いかけていくシーズンにもなると思います。皆さんにはいろんな楽しみを見つけていただき、見届けていただけたらと思います。

『魔法科高校の劣等生』3期が4月放送スタート