HBO MaxとWOWOWの日米共同制作ドラマ『TOKYO VICE Season2』が本日4月6日(土)から放送・配信される。1990年代の東京を舞台にしたクライムサスペンスで、Season1は世界で約120の国と地域で放送・配信された。

Season1は衝撃的な展開の連続で幕を閉じたが、アンセル・エルゴートと渡辺謙によると新シーズンも「ちょっとまだ言えないですね」(エルゴート)、「演じている僕らが脚本を読んで驚いた」(渡辺)と語るほどのドラマが待っているようだ。全世界待望のSeason2開始前にふたりに話を聞いた。(なお、本インタビューではエルゴートは通訳を介さず、やりとりはすべて日本語で行われた)

すべてがデジタルで括られていない90年代の面白さがすべてのキャラクターに埋まっている

物語の舞台は90年代の東京。アメリカ人のジェイク(アンセル・エルゴート)は来日して新聞記者になり、クラブホステスが殺害された事件の裏にヤクザが関与しているのではないかと、刑事の片桐(渡辺謙)と共に取材を開始する。裏社会では組の縄張り争いがあり、そこには己の道をゆく者、富と地位を求めて暗躍する者、裏社会からも弾き飛ばされそうになっている者など、有象無象がひしめいている。

ジェイクと、刑事の片桐は行動を共にし、時には相棒として、時には親子のように、時には師弟のような関係を結ぶが、決して“一心同体”なわけではない。

エルゴートは「アメリカ人というのは日本人よりも先生のことを尊敬しないんですよ。ジェイクは日本人のようになってきましたけど、基本的にはアメリカ人ですから、片桐のことをいつも“先生”みたいに扱わないんです。でも、Season2ではこれまでよりもジェイクが片桐のことを尊敬する場面が出てきます」と言い、渡辺は「職種の違いというのが大きいと思います。ジャーナリストと刑事は近いようでいても、ある種の“一線”は引かなければいけない。また、できること/できないことがお互いにハッキリとしていますから、関係性の中でそのことがお互いに影響をしてくるんだと思います」と分析する。

Season1でもふたりはそれぞれに窮地に立たされたが、Season2では前シーズン以上の危機が彼らを襲い、両者の関係も刻一刻と変化していくのもポイントだ。

「ですから意識して演じているというよりも、脚本に沿って演じることで、そのような関係になっていく。僕たちが関係を変化させるのではなく、状況が変化していくので、僕らも変化していかざるを得ないというか、関係も変わっていくんだと思います」(渡辺)

ふたりは本作の舞台が現在ではなく、1990年代であることも重要だと考えている。渡辺は「現代のようなすべてがデジタルで括られていない時代の面白さが、すべてのキャラクターに埋まっているんだと思う」と語る。

クライムサスペンスというのは、必ずどこかに現実の社会を反映していますから、この作品では90年代の日本であり、世界が投影されている。言ってしまえば、90年代はまだアナログな時代ですよね」(渡辺)

90年代にはまだスマートフォンがないですから、どこかに出かければ地図を見ていたわけですし、ニュースが知りたければ新聞が必要になります。つまり、私が演じた新聞記者の仕事は、今よりもずっと大きなものだったと思います。テレビはありましたけど、SNSはまだなかった時代ですから、ジェイクのような新聞記者の仕事は、今以上に大事だったのではないかと思います」(エルゴート)

「記者が“足で稼ぐ”時代ですよね。それは刑事も同じで、当時から科学捜査はありましたけど、新聞記者も刑事も靴底をすり減らして泥臭く足で稼ぐ時代だったと思います」(渡辺)

キャラクターの造形が深いから
脚本を読んでいても、演じていても面白い

どの登場人物も現代よりも混沌とした90年代の東京で生き残るために行動し、時には相手を利用し、罠にかけ、ある時には危険と分かっていても黒い渦の中に身を投じる。その結果、どのキャラクターにも“表と裏”があり、単なる正義感や上昇志向だけでは動けない瞬間や、仕事と私生活の間で葛藤する場面が描かれる。

「キャラクターの造形がとにかく深い」という渡辺は「だから脚本を読んでいても、演じていても面白いんですよ」と笑顔を見せ、エルゴートは「ジェイクは(彼が追うヤクザの愛人でもある)美咲(伊藤歩)を愛しています。でも彼女はジェイクにとって取材源、“ネタ元”でもあるんです。だからすごく複雑な状況にあるし、葛藤もある。このシリーズを最初に監督したマイケル・マンの作品はいつも仕事に生きる男の人が主人公で、彼らはいつもプライベートとの間に葛藤がある。仕事をとるのか? プライベートをとるのか? ですから、ジェイクの葛藤を表現することができれば、ジェイクの演技はやりやすいんです」と説明する。

裏社会を追うジェイク、片桐も、裏社会を生きるヤクザも、その周辺にいる者たちもみな、表の顔とプライベートな顔の間に葛藤があり、常に戦っている。新シーズンは全キャラクターの葛藤がさらに複雑なものになり、物語の展開がさらに読めないものになっていく。

「この先は……ちょっとまだ言えないですね」(エルゴート)

「ここに登場するすべてのキャラクターが“この後、どうなっていくの?”と思ってもらえる作品だと思うんです。演じている僕らが脚本を読んで驚いたからね。えええええ!って(笑)。その驚きは、観ていただく方にも必ずダイレクトに反映されると思います。演じている僕らが驚いているわけですから(笑)」

よって本記事でも、あえてSeason2の第1話のあらすじも記載しなかった。最新シーズンは冒頭から驚きと観客の予想を覆す展開の連続だ。この取材の時点では報道陣に第3話までが披露されていたが、渡辺は「3話ですか、まだまだやね」とニヤリと笑う。

この先、ジェイクと片桐に何が起こるのか、まったく予想もつかない。

撮影:源賀津己
Photo:James Lisle/WOWOW

ハリウッド共同制作オリジナルドラマ『TOKYO VICE Season2』

WOWOWにて4月6日(土) スタート
毎週土曜日午後9時放送・配信(全10話) 第1話無料放送【WOWOWプライム】【WOWOW 4K】【WOWOWオンデマンド】
WOWOWオンデマンドにてSeason1全8話配信中

番組公式サイト:
https://www.wowow.co.jp/drama/original/tokyovice2/

公式Instagram:
@wowow_tokyovice

アンセル・エルゴート>ヘアメイク:金沙知
渡辺謙>ヘアメイク:倉田正樹(アンフルラージュ) スタイリスト:JB 衣装協力:BRUNELLO CUCINELLI

左から)アンセル・エルゴート、渡辺謙