乃木坂46・清宮レイが舞台『鴨川ホルモー、ワンスモア』に出演する。万城目学の原作小説を舞台化する本作。演じるのは無口で無愛想な京大生という役柄で、笑顔がトレードマークの本人とは正反対。「難しいです」と明かしつつも、本番に向けて稽古に励んでいる。明るい表情からは充実の日々が伺えるが、近況を尋ねると「肩の力を抜いて活動できています」といつもの笑顔で答えてくれた。

【写真】笑顔がトレードマークの清宮レイ インタビューでもニッコリ

■もし大学生だったらやってみたいことは?

――『乃木談』聴いてます。(※TOKYO FM乃木坂46乃木坂に相談だ!』)

清宮:えー! ありがとうございます(笑)。

――清宮さんと松尾美佑さんの素の感じが面白くて。

清宮:いやー、自分の素が出まくっている番組なので、恥ずかしいです(笑)。

――後ほどラジオのお話などもお聞きできたら。さて、今回演じる楠木ふみは京都大学の学生で、無口で無愛想な性格というキャラクター。いつも笑顔の清宮さんのイメージとは正反対ですね。

清宮:そうなんです。無口でエネルギーを発しない人を舞台上で演じるのが本当に難しくて。動きや声を小さくするだけでは、観ている方に伝わらないですし。稽古でいろいろと試しているところです。

――ただ、楠木は好きな数学のことになると饒舌(じょうぜつ)になる人でもあり。清宮さんも好きな飛行機の話になると…。

清宮:いっぱいしゃべりますね(笑)。

――そこは重なるのかと。

清宮:好きなことに対して、ワーッとしゃべるところは同じかな。ただ、テンションを上げる中でも、ベースとなる無口で無愛想な楠木をどこまで出すのか、そのあんばいが難しくて。

それに、楠木は京大理系の学生で頭もいいんですけど、私の知力が追いつかない(笑)。ちゃんと理解してせりふを言いたいので、分からないことは(脚本・演出の)上田(誠)さんに質問しています。上田さんは理系で、先生みたいに丁寧に教えてくれるんです。

――出演が決まってからは京都にも行かれたそうですね。

清宮:京都でお仕事があった翌日に、お願いして私だけ1日そのまま残らせていただいたんです。本物の京大生はどんな感じなのか、お芝居に出てくる場所はどんなところなのか、リアルな感じを知りたくて。丸1日京都を散策しました。

――現地を訪れたことで稽古に生かせたことはありますか?

清宮:岩倉とか先斗町とか地名がたくさん出てくるんですけど、実際に訪れたことで想像しながら演じられるのはすごく良かったと思います。

――清宮さんは高校卒業後、乃木坂46の活動に専念されていますが、楠木のようにもし大学生だったらやってみたいことはありますか?

清宮:実は中学生のとき、京都の大学生になりたかったんです。京都の町並みも好きだったし、建築が好きだったので、その勉強をしたくて。

私はいま20歳で、大学生だったら2年生の歳なんですけど、周りの友達が、カフェでパソコン開いてレポート書いてる姿を見るだけでも、かっこいいなって憧れちゃいます。あと何でしたっけ? アルバイトじゃなくて実際に企業に…。

――インターン?

清宮:インターン! 実際に職場を体験できるのってうらやましいって思います。

■肩の力を抜いて活動できるようになった


――それこそ、『乃木談』を一緒にされている松尾さんは現役大学生ですが、同い年のお2人がのびのびおしゃべりしていて。いい意味でアイドル番組っぽくないですよね。

清宮:『乃木談』は「このコーナーなら、あの話したいな」ってアイデアがいっぱい出てくるんです。で、打ち合わせで松尾となんとなく「あの話する?」ってしゃべって。でも収録では、流れで全然違う話になることもありますし、思ってもみないことを言っちゃうこともあります。本当にそのとき話したいことを柔軟に。その場の空気感を楽しんでいます。

――番組で話題になった“タコ焼き論争”では、意見が対立する2人がバチバチにバトルをしていました。

清宮:“タコ焼きにタコは必要か”っていう(笑)。

――“タコ焼きにタコは絶対に必要”という清宮さんと“別になくてもいい”という松尾さんが本気で言い合っていて。

清宮:負けず嫌いが出ちゃった(笑)。私も松尾もお互いにカチンと来ているのが分かりました(笑)。

――全く引かない清宮さんに、松尾さんが不満の声を漏らすと、「松尾にそんな不満な顔されたことない」と清宮さんがショックを受けていて。

清宮:ハハハハハ(爆笑)。

――お互いにリラックスして話しているのが伝わってきますが、清宮さんにとって松尾さんはどんな存在ですか?

清宮:高校が同じだったっていうのもあって、“メンバーの延長線上の友達”っていう感じです。学校にいるときの私と、お仕事のときの私は少し違う気がして。例えば松尾の前では“学校にいるときの私”で、(筒井)あやめちゃんなら“仕事のときの私”、(柴田)柚菜なら“地の私”。同じ仲のいいメンバーでも、無意識に空気感が違うと思います。

――番組を聞いていても感じますが、清宮さんは2022年に仕事をセーブした期間があって以降、以前より軽やかながらも、よりたくましくなった印象を受けます。

清宮:肩の力が抜けたというか、吹っ切れたんだと思います。あまり「自分はこうだ」と考えすぎずに活動できるようになったのが、その辺りくらいからだと思っていて。すごくやりやすくなりました。

――以前はもっと気を張っていた。

清宮:そうだったと思います。自分が思うイメージ像があって、どうしても崩したくなかったんです。でももっとフワッとしててもいいかなって。それからはいい感じに力が抜けました。

――肩の力が抜けた感じ、すごく分かります。改めて本作についてですが、出演が決まったとき、「二年半前に初めて一人で外の劇団の皆様と舞台をさせていただいてから、お芝居をすることが大好きになりました」とブログに書いていました。(※2021年に舞台『3年B組皆川先生~2.5時幻目~』に出演)

清宮:舞台のお仕事では本当に学びが多くて。乃木坂46に加入して6年近く経って、グループとしての1年の大まかな流れは分かってくるんですけど、舞台はもう「異世界に来ちゃった」という感じで。稽古ではできないことの連続で、後悔することも多いんですけど、それさえも刺激的な毎日です。

――お芝居とアイドル活動、違うところは何でしょう。

清宮:メンバーは共感してくれると思うんですけど、1人で戦うところです。もちろん共演者の皆さんもいらっしゃいますけど、正解を自分で見つけなければいけないので。

それに乃木坂46のお仕事だと、朝が早かったり、夜が遅かったりと不規則ですけど、舞台は何時から何時まで稽古で、その後お家に帰ってゆっくりご飯食べるみたいなルーティンができるんです。「稽古の前にちょっと公園寄って行こうかな」という日もあって、体が慣れていくので過ごしやすくて。新鮮で楽しい毎日を送っています!

(取材・文:堀タツヤ 写真:松林満美)

 舞台『鴨川ホルモー、ワンスモア』は4月12日〜29日に東京・サンシャイン劇場にて、5月3日、4日に大阪・サンケイホールブリーゼにて上演。

乃木坂46・清宮レイ  クランクイン! 写真:松林満美