「ヤングマガジン」で連載され、累計発行部数2400万部におよぶ『ザ・ファブル』(原作:南勝久)がテレビアニメ化。日本テレビ系にて4月6日より放送がスタートする。本作の主人公・ファブルは、幼少期から殺し屋としての英才教育を受け、どんな敵も6秒以内に鮮やかに葬り去る、無敵の殺しの天才。ある日、組織のボスから「1年間誰も殺してはならない」という突然の指令を受けたファブルは、佐藤明と名乗って一般人として過ごすことに。果たして、この最大にして至難のミッションを遂行することはできるのか? 今回は、ファブル=佐藤明役・興津和幸、明のパートナーであり妹(仮)佐藤洋子役の沢城みゆきにインタビュー。本作の印象のほか、作品にちなんで「1年間仕事を禁止されたらやりたいこと」も聞いた。

【動画】興津和幸&沢城みゆきがアニメ版『ザ・ファブル』の魅力を語りつくす!

沢城みゆき興津和幸の“変顔演技”に爆笑 ジャッカル役・福島潤に期待も

――先に岡田准一さん主演で実写映像化され、人気を博した本作。原作や映画は観たことありましたか?

興津:もちろん実写映画は観たことがありましたし、それより先に原作を読んでいました。

沢城:私はオーディションのお話をいただいてから原作を読んで、その後に映画も観ました。

――原作・実写映画を観て、この作品がアニメ化することについてどんなお気持ちに?

興津:もともと原作や実写映画を知っていただけに、「この作品をアニメ化するとどんな表現になるんだろう!?」ととても楽しみになりましたね。

沢城:漫画の時点で、キャラクターが本当に息をしているような。紙面に針を刺すと血が出そうなキャラクターたちばかりで、これがアニメになると…邦画に日本語吹き替えをするような違和感になってしまうのではと思いました。これは声を当てるのは大変だろうなと思っていたので、いざ(洋子役に)決まったと聞いた時は「どうしよう!」となってしまいました。

興津:本当に? アフレコではそんな素振りを一切見せず、生き生き演技をしていらっしゃいますけど。

沢城:生き生きしてますかね(笑)? 演じている時はプレッシャーを忘れてしまっているんだと思います。

――沢城さんはプレッシャーを感じたとのことですが、興津さんは主人公・ファブルを演じることに対して何か気負うものはありましたか?

興津:プレッシャーはなかったかもしれません。作品のファンとして、「ファブルは誰が演じるんだろう!?」「ジャッカルは!?」「ボスは!?」とずっとワクワクして発表を待っていたので、いざ蓋を開けてみても、素晴らしいキャストばかり。そんな豪華な面々が顔をそろえる中に僕を混ぜていただいて、光栄に思いました。

沢城:私も誰が演じるんだろうとワクワクしていました。特にジャッカル(笑)。

興津:ジャッカルね(笑)! 他の役者たちの中でもジャッカルの期待値が非常に高いんですよ。現場に(ジャッカル富岡役の)福島潤さんが入られると、「わ~! ジャッカル先生~!」って(笑)。

沢城:「先生! 今日も1つよろしくお願いします!」と言いながらみんなでお迎えしています(笑)。

――(笑)。ご自身が演じる役について、役作りする上で何か苦労などはありましたか?

興津:変顔をするシーンですね。僕はいたって真面目に演じているし、明も真面目にあの表情・ポーズを取っているんですけど……いつも隣で沢城さんが笑うんですよ。

沢城:テストで聞いて一度笑ってはいるのですが、本番でもやっぱり面白くて(笑)。声を出してはいけないんですけどね。ただ変な顔をして変な声を出しているだけなのに、何回聞いても笑ってしまうんです。視聴者の皆さんもぜひ楽しみにしていてください(笑)。

――洋子についてはいかがでしょうか。彼女について、魅力に感じた部分などはありますか?

沢城:「ムカつく」など暴言を吐いても、険がないんですよね。先ほど高橋良輔監督と話した時にもおっしゃっていたのですが、『ザ・ファブル』に出てくる女性たちって、みんな境遇や現状が大変なキャラクターが多いんです。でも、自分の不幸に浸っている人がいない。それぞれの向き合い方がとてもパワフルで、「陽」な感じなんです。洋子の魅力も正にそこにあるなと感じています。

興津和幸沢城みゆきが1年間仕事を禁止されたら……?

――実写の後にアニメ化は、かなり珍しいパターンかと思います。役作りにおいて、映像から受けたものを活かした場面はありましたか?

興津:僕は、原作や台本から感じたものを表現しました。実写映画を観て岡田准一さんのお芝居やアクションを「かっこいい!」と思いましたが、そのかっこよさは手塚プロダクションさん(※本作を制作するスタジオ)が作ってくださっているので。少し意識した息遣いをアクションシーンに入れてみたものの、「不要だったらカットしてください」とお伝えしました。

沢城:この作品に限らず、原作という「0」があって、そこからアニメや映画へメディアミックスされていく。なので、私は原作の先生が表現したいものを取りこぼさないように、まずしっかり「0」に集中します。その後に他にメディアミックスされたものにもヒントがあるならと、手を伸ばすことはあります。今回も原作を読んで自分なりに洋子像を掴んでから、実写では木村文乃さんはどう表現したんだろう!? と映画も拝見しました。

どこからどう見ても完璧な美人である木村さんが、洋子のような闊達な内面のキャラクターを演じるという掛け算。興津さん同様、アニメでは美人の部分は手塚プロさんに担っていただいて(笑)、私は良い女ということはあまり意識せずに、伸びやかにお酒を飲めたらいいのかなと。

興津:洋子は好意を持った男性を酔い潰したり、他にもひどいことをしたりするのですが、沢城さんが声を当てると何故か上品に見えるんですよね。そこが「すごいな~」といつも思っています。

――興津さんと沢城さんは、1年間仕事を禁止されたらどうしますか?

興津:好きな時間に寝て、好きな時間に起きる……3日くらいで飽きちゃいそうですね。

沢城:それはお正月休みで十分じゃない?

興津:いや、お正月休みは自分の時間は取れないので……。今年も実家に帰って家族と過ごしたので、1人の時間が欲しい。海でも見に行こうかな。自分で小屋を建てたり、自分の作ったものだけで過ごしてみたいです。この感覚、わかってもらえますか?

沢城:まだわかんないかもなぁ……。

興津:そんな沢城さんは?

沢城:世界一周に決まってるじゃないですか! まずはこの島を出るわ! 世界を見てみたいです。

興津:その目線いいですね。

沢城:でしょ? じゃあ、2人とも世界一周ということで。

興津:2人で旅に出ましょう!

沢城:あれ? 1人の時間が欲しいんじゃなかったの(笑)?

――ありがとうございます(笑)。最後に、アニメの放送を待ち侘びている方へ注目ポイントを教えてください。

沢城:この作品をアニメにするのは、本当に至難の業だと思うんです。でも、したいと思った人がいて、すると決めた人がいます。その覚悟が分かるからこそ、皆さんに喜んでもらえる形になったら良いなと私達も懸命に毎週アフレコしています。声の入った『ファブル』も楽しんでいただけますように。アニメにもぜひご声援のほど、よろしくお願いします。

興津:主人公・ファブルはプロの殺し屋ですが、それを演じる僕や他のキャスト陣、制作陣もプロの意識を持って作品作りに取り組んでいます。視聴者の皆さんもぜひ“プロの視聴者”として、盛り上げていただけますと。

沢城:プロとしてどうしたらいいの(笑)? リアタイ?

興津:そう。リアタイしてもらって、たくさん感想をSNSに書き込んでください。「面白い」と言ってもらえることが、何よりも嬉しいので。ぜひともよろしくお願いします!

(取材・文:米田果織 撮影:吉野庫之介)

 テレビアニメ『ザ・ファブル』は、日本テレビ系にて4月6日より毎週土曜24時55分放送。

高橋良輔監督の「高」の正式表記は「はしごだか」

テレビアニメ『ザ・ファブル』インタビューより(左から)沢城みゆき、興津和幸  クランクイン! 写真:吉野庫之介