牛肉を食べながらビールを飲むことほど贅沢なことはない。とはいえ、焼肉店の牛肉は高く、なによりグラスサイズのビールでも700円近くする。ただ牛丼チェーン「吉野家」でなら、“牛肉+ビール”の贅沢な時間をコスパ良く味わえるかもしれない。



吉野家 高田馬場駅前店



 まとめサイトには「牛丼屋でビールを飲む人=底辺」といったタイトルのスレッドがいくつもまとめられており、牛丼屋で飲むことは世間的には一部の人から嘲笑される行為なのかもしれない。それでも、財布に気を使いつつ、牛肉とビールを味わうために吉野家で一杯ひっかけてきた。※以下、価格は全て税込です。


◆公式サイトのメニューと何か違う……
 高田馬場駅前店に足を運ぶ。平日の15時ごろに来店したため客数は1~2人ほど。当然ビールを飲んでいる人は皆無。“多くの人が働いている中でビールを飲む”ということに高揚感と優越感を覚えつつ、ウキウキでメニュー表を開くと違和感を覚えた。



公式サイトとなんか違う……



 公式サイトのメニュー欄には「生ビール(ジョッキ)」(398円)、「生ビール(グラス)」(222円)となっていたが、今目の前にしているメニュー表には「瓶ビール」(486円)の文字が。とはいえビール自体が無いわけではなく、取り乱すことはなかった。店舗によっては「生ビール(ジョッキ)」を置いているのかもしれないが、まさかの不意打ちにしばし動揺。



初対面の「サントリー生ビール」の瓶



 気を取り直して改めて「瓶ビール」を注文すると、ますます心をかき乱された。すぐにテーブルに運ばれた瓶ビールはまさかの「サントリー生ビール」。ここ最近スーパーやコンビニで頻繁に見かけるとはいえ、アサヒやキリンが来ると思っていただけにこれまた予想外の角度からパンチをもらった。しかも「サントリー生ビール」に瓶でお目にかかったのは恐らく人生初。もちろん「サントリー生ビール」に不満はないが、ビールを飲むのにここまで心を揺さぶられるとは思わなかった。


◆鉄板に乗った熱々の牛肉とビールを堪能
 「瓶ビール」に加えて、「鉄板牛焼肉皿」(567円)と「キムチサラダ」(657円)というジャンルの異なる牛肉を楽しめそうなメニューを注文。



左から瓶ビール、鉄板牛焼肉皿、キムチサラダ。牛肉がいっぱい



 まず「鉄板牛焼肉皿」は鉄板に乗った牛丼を火の付いた五徳で温めた状態で運ばれてきた。



牛肉の焼ける香りが最高



 つまりはチビチビダラダラ飲みながら、熱々のまま牛肉を食べ進めることができる。



大体15分くらいは火がついている



 ちなみに、火は徐々に弱くなるが、大体15分くらいまでは火がついており、十分な火力だったように思う。牛肉を温かいまま食べることができ、さながら焼肉屋で飲み食いしているような気分



ネギとタマネギと一緒に食べると食感も楽しめる



 また味もしっかり“牛肉”を感じた。シャキシャキしたネギとトロトロしたタマネギと一緒に食べると食感も楽しめる。また、一緒についてきた焼肉のタレはとてもジャンクな味わい。タレをめいいっぱいつけ、口の中をしょっぱくしてビールで流し込み、何とも言えない幸福感に満たされた



焼肉のタレはとてもジャンクな味わい



マッチョな人の食生活を凝縮したようなメニュー
 もう一品の「キムチサラダ」はとてもヘルシーな見た目。



見た目からヘルシーキムチサラダ



 名前の通りの牛肉に加えて、鶏肉、ブロッコリー、半熟卵とタンパク質マシマシ。マッチョな人の食生活を凝縮したようなメニューであり、牛肉を堪能しながらも健康になっている感覚にもさせてくれる。



 注文する際にはゴマドレッシングと和風ドレッシングの2つからドレッシングを選ぶため、ゴマドレッシングを選択。



 半熟卵やキムチをしっかりかき混ぜると美味しく、やはりビールにも合う。ただ、下に敷き詰められているレタスがかなりみずみずしく、混ぜすぎるとドレッシングが大分薄味になってしまう。卓上にドレッシングは置いていないため、サラダの混ぜ方には十分な配慮が必要になる


◆優しくて温けぇ……しじみ
 またビールを飲んでいるということで、せっかくなので「しじみ汁」(195円)も追加で注文。



しじみ



 味はしょっぱすぎず優しい仕上がり。この日は瓶ビール1本しか飲んでいないが、飲みすぎた身体に寄り添ってくれるしじみ汁。とはいえ、しじみを一つ一つ箸でつまんで食べることは面倒臭かった。しじみ汁のしじみを「食べない派」がいるのも無理もない。



吉野家で飲んでみて感じた2つの課題
 総評としては、「吉野家」はメニューも美味しくコスパ良く飲めた。ただ、今回訪れた店舗では店内にカウンター席しかなく、どうしてものんびり飲むことには不向き。筆者がちんたら飲み食いしている間に、5~6人の客が入店して早々に牛丼をかきこみ店を後にしていた。「吉野家」は回転率が早いため、ついつい居心地の悪さを覚えてしまう。テーブル席のある店舗もあるため、吉野家」で飲みたい場合は事前にテーブル席の有無を確認したほうが良いかもしれない



この店舗はカウンター席のみで、飲みながらの長居はしにくかった



 また、店員さんを呼んで注文しなければいけない点もネック。「吉野家」でわざわざ店員さんを呼んで追加注文するハードルは高い。筆者は「しじみ汁」を追加注文した時もどことなくソワソワしながら注文した。こちらも店舗によってはタッチパネルを導入しており、周囲を気にせずに快適に飲むためにはタッチパネル導入の有無もチェックしたほうが良さそうだ。


 牛丼屋でビールを飲むことに後ろめたさも恥ずかしさもなかったが、若干の課題を覚えた。それでも「吉野家」で飲む人が増えれば、そういった課題も改善に向かう可能性もある。「吉野家」で飲むことがもっと定着してほしい。


<写真・文/望月悠木>


【望月悠木】フリーライター。主に政治経済社会問題に関する記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。Twitter:@mochizukiyuuki



左から瓶ビール、鉄板牛焼肉皿、キムチ牛サラダ。牛肉がいっぱい