今日のにゃんこタイム~○○さん家の猫がかわいすぎる Vol.139


「体調不良の時や心が疲れている時、そぼろは、いつも寄り添ってくれる。私のナイチンゲールなので、我が家では“ナイチン”と呼んでいます」



そぼろくん



 愛猫そぼろくんの大切さを、そう語るのは飼い主のsoraさん(@sorakurumi97)。立ち耳のスコティッシュフォールドそぼろくんは8ヶ月もペットショップで過ごし、“ずっとのおうち”を待ち続けていました。


◆娘さんの猫アレルギーが改善したことで、愛猫探しを開始
 娘さんが猫アレルギーであったため、動物を迎えることは難しいと思っていたsoraさん。しかし2014年、猫と同じ空間にいても体調が悪くならないほど娘さんの猫アレルギーが落ち着いたことから、猫を迎えたいと思うようになりました。


「でも、命を預かり育てることへのハードルが高く、勇気もなかなか湧かなくて……。この子だと思える子になかなか出会えなかったこともあり、2年ほど過ぎてしまいました」


 そんな時、自身のお姉さんが一緒に暮らしていたスコティッシュフォールドと関わる中で、その愛くるしさに惹かれるように。



お姉さんの愛猫ちゃん



「もし、娘さんの体調が悪くなったら、引き取る」という気遣いにも背中を押され、お姉さんが愛猫を迎えたペットショップを訪れました。


 そのペットショップは、個人経営。地域密着型で、卒業していったワンちゃんや猫ちゃんたちを連れた飼い主さんが何年経っても遊びに来ているようなお店でした。


「紹介やリピーターさんが多く、希望の子をあらかじめ聞いて探す形で経営されており、売れ残りの子はあまりいませんでした」


◆威嚇にびっくり!想像とは少し違った猫ライフがスタート



 そこで出会ったのが、そぼろくん。店長さんに勧められたものの、子猫を迎えたいと考えていたsoraさんは少し残念な気持ちになり、その日は帰宅。しかし帰宅後、心境に変化が。


「小さな白いケースに8ヶ月もいて可哀想だなと思うと同時に、ひょっとしたら、私を待っていてくれたのだろうかとも思い始めたんです」


 そんな気持ちを感じ取ったのか、家族はsoraさんの誕生日に、そぼろくんをお迎え。当時、精神的に苦しかったsoraさんは、夢見ていた生活が送れることに感動しました。


 ところが、お迎え後は予期せぬ壁にぶつかることも。そぼろくんは警戒心が強く、手を触っただけで威嚇。なんなく抱っこができるものだと思っていたsoraさんは、接し方に悩みました。


◆徐々に家族に馴染んでいった



おうちに来た頃



「今から思えば、どうってことないのに(笑)。大粒の涙を、そぼろの頭に落として泣きました」


 悩みながらも、soraさんは猫じゃらしで遊んだり、一緒に隠れんぼをしたりと、たくさんスキンシップ。優しく話しかけもし、そぼろくんとの距離を縮めました。



 すると、関係性に変化が。おやつの時間にお手とおかわりを教えていたところ、そぼろくんは2日でマスター。その得意技を通して、一瞬触れるようになったのです。


 そんなふうに、ゆっくり家族に馴染んでいったそぼろくんは、やがて、一緒に眠ってくれるように。


「腕に頭を乗せてくれるので、私は両腕で身体を包み込み、頭をにおって寝ます。その時間が、とても幸せ。ニヤニヤしてしまいます」


◆自己主張に大きな喜びを感じる



 手を触ると怒るところや膝に乗らないところ、抱っことブラッシングが嫌いなところ、神経質な性格など、変わらない“らしい部分”がある一方で見られるようになった、変わった部分。


「遊んで!」と自己主張したり、注意を引きたい時に頭で押してアピールしてきたりと、心を許してくれたからこそ見られた行動があることにsoraさんは、大きな喜びを感じています。



 また、そぼろくんはsoraさんの旦那さんとも信頼関係が築けてきたよう。実は、そぼろくん、旦那さんが苦手で目の前を通ると、足を叩いていたのだとか。


「最近になってやっと、撫でてもシャーって言わなくなって、パパの横にある席で寝ています。長い時間がかかりましたが、パパはとても喜んでいます」


◆弟分から猫との遊び方や人への甘え方を学習中!



右:実のお兄ちゃん/左:わんわんくん



 現在、そぼろくんは「わんわん」くんという弟分と共に家猫ライフを満喫中。わんわんくんは2021年に譲渡会で出会い、お迎えした子です。



 迎えた初日から人間のベッドで眠るほど人馴れしていた、わんわんくんはそぼろくんと真逆な性格。わんわんくんと関わる中で、そぼろくんは少しずつ猫との遊び方を学び、最近では追いかけっこをして遊ぶ姿が見られるようになりました。


◆甘え上手なわんわんくんを見習った(?)行動も



特別なおやつを貰える時も仲良く待機



「おやつの時や水を飲む時、そばにわんわんがいると、そぼろはにおいを嗅ぎます。わんわんに、ご飯を横取りされても怒りません」


 また、甘え上手なわんわんくんを見て、そぼろくんは人間への甘え方も学習。小さく鳴きながら、テレビを見ているsoraさんの前をウロウロするなど、愛くるしい行動も多く見せてくれるようになりました。


「寝転んでいると、手で頭をちょいちょいされ、リビング横の猫部屋へ呼ばれます。こういう時は『撫でて』か、遊びのおねだり。リビングではなく、2人きりじゃないとダメ(笑)もふもふの困ったちゃんですが、そんなそぼろが、かわいくて仕方ありません」



 なお、soraさん自身もわんわんくんという保護猫を迎えたことで考えさせられたことが多々あったよう。


ペットショップに行かなかったら、そぼろには出会えませんでしたが、そぼろを“買った”という形を、とても複雑に思うことがあります」


 soraさんいわく、お店の店長さんは、そぼろくんが売れ残った時には自身が引き取ろうとしており、営業時間後にはワンちゃんを少しの間、店内に出すなどのケアも行っていたそう。


ペットショップで端に追いやられている子が気になるように



 しかし、高所に登ってしまうという理由から、猫たちは自由になれる時間がなかったため、体が大きくなっていた当時のそぼろくんの心境を思うと、何とも言えない気持ちになることがあります。


「今はペットショップに行くと、大きくなって端っこに追いやられている子のほうが気になって仕方ありません」


 救える命を助けたいと思うと、自分や他人が選んだ命の迎え方に悩むこともあるもの。


 しかし、この世界に生まれた猫たち自身には何の責任もなく、どんな状況下にいる子も愛され、大切にされるために生まれてきています。そのことを改めて理解し、私たちは自分や他人を責めるだけ終わらせない猫の守り方や、すべての猫が幸せになれる方法を考えていきたいものです。


 そぼろくんも、幸せを掴むために生まれた子。やっと出会えたsoraさん宅で、これからもたっぷり愛でられて素敵なニャン生を謳歌してね。


<取材・文/愛玩動物飼養管理士・古川諭香>


【古川諭香】愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:@yunc24291