インドを買い中国を売るという人気の株式戦略が転換点を迎えたと一部の投資家は考えている」と米ブルームバーグ通信が伝えた。中国の製造業が持ち直し、中国の政策支援が成長を復活させるのに十分だというシナリオをファンドが評価。中国株を買い始めているのが背景だ。

ブルームバーグ通信によると、ラザード・アセット・マネジメント、マニュライフ・インベストメント・マネジメントやキャンドリアム・ベルギーは、記録的な上昇の後、インド株へのエクスポージャーを縮小。政府の経済支援が中国の工業利益と製造業の回復につながる中で中国株に回帰している。

ニューヨーク・ウォール街の大手銀行は引き続き、インドを今後10年間の重要な投資先と位置付け続けているが、バリュエーションが伸びきっていることや小規模なバブルに関する規制当局の警告を受けて投資家は警戒感を強めている。

ラザード・アセットの新興市場責任者、ジェームズ・ドナルド氏は「中国株がどんどん安くなるにつれて、当社の中国投資の一部は価値が下がっているが、投資する理由は増えている」と説明。中国ポートフォリオは指数のウエートと一致している一方、インドはバリュエーションの高さが原因で「当社ポートフォリオにとってマイナス要因になっている」という。

インドの好景気見通しや19日からの選挙でモディ首相が3期目を確実にするとの期待から、戦術的な投資と見る向きが多いものの、インドから中国へのシフトは支持を集めつつあるようだ。

HSBCホールディングスによると、新興市場ファンドの90%以上がアンダーウエートだった中国本土株がポジションを戻す中、インドへのエクスポージャーを減らしている。世界の投資家は3月、2カ月連続で香港を経由して中国本土株を買い越した。

MSCIチャイナ指数は中国政府の景気刺激策に後押しされ、2月以降インドの指標の2倍以上の上昇を記録した。

キャンドリアムの25億ドル(約3800億円)の新興市場ファンドは「部分的にインドを犠牲にして中国へのエクスポージャーを高めた」とポートフォリオマネジャーのビベク・ダワン氏は語った。

マニュライフ・インベストメントのマルチアセットソリューション担当最高投資責任者(CIO)のネイサン・スフト氏は「中国の動向は今後12カ月のより堅調な経済環境とリスク資産に対する少し前向きなセンチメントを示唆している」と述べた。同氏のポートフォリオは中国を小幅なアンダーウエートにしているが、新興国株式へのエクスポージャーを高めるため、中国株を買い増しているという。(編集/日向)

「インドを買い中国を売るという人気の株式戦略が転換点を迎えた」と米メディアが報道。中国の政策支援をファンドが評価。中国株を買い始めているのが背景だ。写真はインド。