新外国人選手は宝クジみたいなものやけど、巨人のオドーアは大ハズレやった。開幕3日前にまさかの退団発表。オープン戦で打率1割7分6厘と結果を残せず、阿部監督から言い渡された開幕2軍調整を拒否してのものらしい。メジャー通算178発で年俸2億円。右翼のレギュラーとして計算していた巨人にとっては大誤算。

 でも、我慢して開幕から使うより早く退団してもらった方がよかったかもしれない。あの鈍いスイングを見ていたら、本番で突然変身するようには思えなかった。他球団は新戦力に対して、オープン戦ではエサをまいたり、探ったりするもの。だから、オープン戦ホームランを量産していても、苦手なコースをつかまれていたら、本番ではさっぱり打てなくなるケースが少なくない。でも、オドーアの場合はどこに投げられても打てる感じがしなかった。本人も日本の投手の変化球の精度、コントロールのよさに自信を喪失していた面があると思う。

 若手選手は外野の枠が一つ空いたと、チャンスに燃えなアカン。新人の佐々木や高卒2年目の浅野、昨季10本塁打の秋広らの争いが激しくなれば、チームにいい風が吹くはず。オドーアの性格はよく知らないが、きっとプライドが高かったんかな。「2軍からでも這い上がってやるぞ」というハングリー精神がないようでは、そもそも日本での活躍は難しかったと思う。

 オドーアと対照的に、新戦力として期待大なのが、DeNAドラフト1位の度会隆輝オープン戦では全試合にヒットを打ち、打率4割3分4厘で首位打者となった。ミートのうまさに加えて、長打もある。インコースもさばけそうやし、今のところ大きな穴が見つからない。性格もプロ向きに見える。取材にもハキハキと対応していて、人気が出そう。DeNAというチームカラーも合うと思う。牧ら明るい選手が多く、ノビノビとプレーできる。

 僕は何より、ハートの強さ、ガッツを買いたい。横浜高校ではプロ志望届を出しての指名漏れ。社会人のENEOSに入社して、3年後に3球団から1位指名を受けるまでの選手になった。高卒でのプロ入りはかなわなくても心を折ることなく、「何くそ」という思いで練習してきたはずや。僕も高校から社会人の松下電器を経てのプロ入りやけど、まったく違うスタート。足を買われての入団で、1年目のオープン戦は代走や守備固めでの起用ばかり。打つ方は全然期待されていなかった。度会はプロの投手のスピード、変化球の精度に臆することなく大したもの。父親も元プロ野球選手で、いろいろ教えてもらったんやと思う。

 DeNAは今永とバウアーが抜けて投手陣は戦力ダウンしたが、打ち勝つ野球ができればセ・リーグの台風の目となる。1番の度会の後ろの2番打者として、三浦監督はオースティンに期待をかける。契約最終年で奮起する可能性があり、うまくはまれば、佐野、牧、宮﨑のクリーンアップが続く打線は破壊力が抜群。それこそ、度会がオープン戦だけでなく、本番でも首位打者に輝くようなことがあれば、連覇を狙う阪神の対抗馬になれよう。

 ところで、センバツを見ていると相変わらず危険なヘッドスライディングをする選手が多かった。度会にはしょうもないケガだけはしないようにしてほしい。

福本豊(ふくもと・ゆたか):1968年に阪急に入団し、通算2543安打、1065盗塁。引退後はオリックスと阪神で打撃コチ、2軍監督などを歴任。2002年、野球殿堂入り。現在はサンテレビABCラジオスポーツ報知で解説。

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