2024年1月の「新NISA」の開始、3月8日の金融商品取引業等に関する内閣府令改正を受け、クレジットカード決済による投資信託の積み立て購入サービス(クレカ積立)を提供しているオンライン証券会社は一斉に、これまでの「月5万円」から「月10万円」に毎月の積立上限額を引き上げた。ただし、これまでほぼ横並びだった、約定金額に応じて付与するポイント進呈率は、上限の10万円を積み立てる場合に限ると、差がついている。そこで今回は、主要オンライン証券会社(SBI証券・auカブコム証券・楽天証券・マネックス証券)の「クレカ積立によるポイント獲得」に限ったお得度を比較しよう。

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●つみたて投資枠をクレジットカード決済で使い切りたいというニーズにあわせて



 新NISAは、対象の投資信託のみ取引可能な「つみたて投資枠(年間120万円)」と、「成長投資枠(年間240万円)」の二本立て。「つみたて投資枠」の上限120万円を12カ月で均等に分割すると毎月10万円となるため、手間のかからないクレジットカード決済だけで「つみたて投資枠」をカバーできるよう、上限額が見直された。

 三井住友カードとともに「クレカ積立」という呼称を最初に用いたSBI証券によると、4大オンライン証券のクレカ積立の最大ポイント付与率は、最大5.0%のSBI証券が最も高く、他はほぼ横並びとなる。

 とはいえ、最大5.0%は、年会費3万3000円の「三井住友カード プラチナリファード」での決済時に限り、無料カードまたは年会費5500/1万1000円(「三井住友カード ゴールド(NL)」は条件達成で永年無料)のゴールドカードでの決済時は0.5%または1.0%となる。また、24年10月買付分までの期間限定の適用であり、11月買付分からは入会年数と年間カード利用額と連動する新たなポイント付与ルール(0~3.0%)となるため、5月から10月までは、新NISA開始にあわせたボーナス期間だと割り切ったほうがよいだろう。

 証券会社とクレジットカード・共通ポイントの組み合わせは、SBI証券-三井住友カード(Vポイント)、auカブコム証券-au PAY カード(Pontaポイント)、楽天証券-楽天カード楽天ポイント)、マネックス証券-マネックスカード(共通ポイントやギフト券などと交換可能なマネックスポイント)となり、今回のクレカ積立の上限額引き上げは、クレジットカードの新規入会・利用促進キャンペーンの側面もある。

 楽天証券は、以前から「投信積立 楽天キャッシュ決済」と「投信積立 楽天カード決済」の併用で月10万円までカード決済で投資信託の積み立て購入が可能となっており、楽天カード決済の上限引き上げによって、4月買付分以降、合計最大月15万円までの積み立てが可能となった。ポイント進呈率は、楽天キャッシュ決済の一律0.5%に対し、楽天カード決済はカード種別・投資信託の銘柄(代行手数料)によって変わり、年会費1万1000円の「楽天プレミアムカード」なら一律1.0%、年会費2200円の「楽天ゴールドカード」は0.75%または1.0%、無料の楽天カードでは0.5%または1.0%となる。

 スマートフォン決済サービス「au PAY」にチャージ可能な「au PAY カード/au PAY ゴールドカード」の保有者や新規入会検討者は、ポイント進呈率が月10万円まで1.0%、つまり毎月10万円の積み立てで1000ポイント・1年間で1万2000ポイントを獲得できるauカブコム証券が分かりやすいだろう。さらに、年会費1万1000円のau PAY ゴールドカードを保有する「auマネ活プラン」契約者は、毎月5万円まで12カ月間、ポイント進呈率は3.0%(2年目以降は2.0%)にアップする。

 一方、マネックス証券は、月5万円を超えた分のポイント進呈率が下がり、毎月10万円を積み立てても毎月730ポイントしか獲得できないため、今回取り上げた4社のうち、もっともお得度は低い。とはいえ、月5万円までは、業界最高水準の1.1%ポイント還元なので、もともと月5万円以下の積み立てを想定している人なら問題ないだろう。また、9月末までのポイントアップ適用期間中は、23年10月以降にマネックス証券のNISA口座を新規開設した人は10万円まで2.2%、23年9月までにNISA口座開設済みの人でも1.5%と他社を上回る水準なので十分に選ぶメリットはあるだろう。

 資産運用・投資にはリスクがつきもの。新NISA制度を活用するかどうかは個人の判断に委ねられるが、日常生活のなかでポイントを最大限獲得する活動「ポイ活」にトライしているなら、その一つとして始めてみてはいかがだろうか。(BCN・嵯峨野 芙美)
新「NISA」がスタート。NISA口座未開設の人はまずは情報収集を始めよう