シス・カンパニー公演『カラカラ天気と五人の紳士』(作:別役実 演出:加藤拓也)東京公演が2024年4月6日(土)、三軒茶屋シアタートラムにて開幕した。

本作は、日本の不条理劇を確立させた第一人者、劇作家・別役実が1992年に初めて上演した作品。「不条理劇」と聞けば「難解」なイメージで後ずさりする向きもあるかもしれない。が、そんな迷いを吹き飛ばして鑑賞できるのが、別役実作品の魅力だ。

別役実

別役実

今回の上演では、演劇・映像の両分野で快進撃を続ける加藤拓也が演出。

出演には、堤真一溝端淳平、野間口徹、小手伸也、高田聖子、中谷さとみ藤井隆という、百戦錬磨の演劇巧者たちが集結。徳高真奈美が奏でるヴィオラの音色と共に、2024年の今、この鉄壁の顔ぶれで一体どのような景色が舞台上に描かれるのか、期待が高まる注目の開幕となった。

シス・カンパニー公演『カラカラ天気と五人の紳士』  (撮影:宮川舞子)

シス・カンパニー公演『カラカラ天気と五人の紳士』 (撮影:宮川舞子)

 
~INTRODUCTION~
ある日ある所に「棺桶」を担いでやって来た五人の紳士たち。(堤真一溝端淳平・野間口徹・小手伸也藤井隆)。どうやら、この「棺桶」は、五人のうちのひとりが懸賞のハズレくじでもらった景品らしい。せっかくの「もらい物」を役立てるためには、仲間の誰かが死んで、この棺桶の中に入らねば……と、あぁでもない、こうでもない、、、と五人の議論が始まった。いかにして死ねるのかと真剣に模索する五人。そこへショッピングバッグを抱えた不思議な女性二人組(高田聖子・中谷さとみ)が現れた。彼女たちこそ、同じ懸賞の当たりくじ=一等賞の当選者たちだったのだ。そして、その一等賞の景品とは……?

 

堤真一 コメント (紳士5)】

不条理劇の経験は過去にもありましたが、別役実作品は初めて。実は、最初に台本を読んだ時、途中でワケがわからなくなってしまって、思わずパタンと台本を閉じてしまったんです(笑)。でも、最後まで読むと、別役さんの死生観が浮かび上がってくるのを感じました。それに今回、稽古の初期段階でじっくりと本読みに時間をかけて皆で話し合えたことが大きくて、これは決して「不条理」ではなく、「普通の会話」なんだという共通認識をもてるようになりました。その会話を皆で成立させていけば、自ずと世界観が見えてくると思っています。ご期待ください。

シス・カンパニー公演『カラカラ天気と五人の紳士』  (撮影:宮川舞子)

シス・カンパニー公演『カラカラ天気と五人の紳士』 (撮影:宮川舞子)

溝端淳平 コメント (紳士2)】

いつかご一緒したかった加藤拓也さん演出で、いよいよ別役作品をやらせていただけることに、身が引き締まるような感覚と嬉しさがありました。稽古場では、百戦錬磨の先輩方のお芝居へのアプローチを間近で感じられ、本当に贅沢な時間を過ごしていました。そんな中で、自分もしっかりと役の個性や存在感を作らなければ、と色々と考えていたのですが、削ぎ落としていく加藤演出では、「何もしないこと」を求められ模索の日々。ただ、その作業は同時にとても楽しく刺激的で、今は自分でも予想もしていなかった世界に行けるような気がしています。

シス・カンパニー公演『カラカラ天気と五人の紳士』  (撮影:宮川舞子)

シス・カンパニー公演『カラカラ天気と五人の紳士』 (撮影:宮川舞子)

 

シス・カンパニー公演『カラカラ天気と五人の紳士』