幼少期から熱血ドラマオタクというエッセイスト、編集者の小林久乃が、テレビドラマキラッと光る"脇役=バイプレイヤー"にフィーチャーしていく連載『バイプレイヤーの泉』。

第128回はタレントのファーストサマーウイカさんについて。彼女が大河ドラマ『光る君へ』(NHK総合ほか)に出演するという一報が出回った時は、SNSが揺れたことを覚えている。しかも否定的な意見は見られず「おお……! 清少納言!!」という感嘆の声だった。それだけ世間に対してインパクト、周知のある人なのだろうと思う。私も大好きだ。どこに彼女の魅力があるのかを突いてみたい。
清少納言のイメージと完全一致

まずはウイカさんが出演している『光る君へ』のあらすじを。

平安時代中期が物語の舞台の『光る君へ』。源氏物語の作者として知られる、のちの紫式部こと、藤原まひろ(吉高由里子)の生涯を追う。幼い頃の偶然の出会いから愛した藤原道長(柄本佑)の兄は、母親を殺害した人物。数奇な偶然を背負いながら、道長をあきらめることができないまひろ。道長には子どもも誕生、藤原家では後継争いが始まろうとしていた。

私も含めて、今年の大河ドラマに夢中になっている人が周囲に多い。女性であれば漫画や書籍で幾度となく触れている世界観の映像化……となると、やはり盛り上がりが違うのだろうか。もしくは恋愛ドラマの名士と言われる、脚本家・大石静氏の巧みなど。まひろの「いけない気持ちだと分かっているのに、どうしても止められない」という背徳感のある想いを抱く様子は、年代問わず乙女心を突き刺すものがある。

と、様々なことを連想させてくれる『光る君へ』。ウイカさんが演じているのは歌人・清原元輔の娘、ききょう役だ。将来はあの『枕草子』の作者・清少納言となる人でもある。それだけに今回の大河ドラマが発表されたときには「清少納言は誰が演じるのか」とキャスティングに注目が集まった。が、なかなかその名前が発表されず、ヤキモキするファンたち。

そこへ現れたのは、勝ち気で現代でいう陽キャのききょうだった。演じるご本人のパブリックイメージとの合致に、さらにファンの視聴欲は掻き立てられた。
○白肌、明るいヘアカラー、派手な衣装

関西人には「よくしゃべる」「よく聞くと意味があることを言っている」「キャラクターが強い」「情に熱い」といった勝手な想見がある。

さらに勝手なことを続けると、関西のご意見番としてシニア層の代表が上沼恵美子で、アラカンにはハイヒールモモコ。東京在住ではあるけれど、関西弁の押しの強さといえばアラフィフ層にアンミカアラフォー層にはいまひとつピンとくる対象がいないけれど、アラサー層にはファーストサマーウイカがぴったりとくる。

アイドル時代(があったらしい)のウイカさんはまったく知らないし、気づいた頃には地上波のひな壇で見るタレントになっていた。そして次に気づいた頃には『恋です! ~ヤンキー君と白杖ガール~』(2021年)、『ファーストペンギン!』(2022年)と立て続けに連続ドラマで見る、女優になっていた。さらによーく彼女を見ると、異常に肌がきれいな人であることにも気づいた。これはご本人のYouTubeでも披露している。

要はタレント中心に活躍を見せていた初手から、大河出演に至るまでインパクトを切らさない人なのである。例えば見た目にしても「白肌、明るいヘアカラー、派手な衣装」の三本柱を一切崩していない。ご本人のブランディング力も強いと思うけれど、それが彼女の魅力だ。

前述の"関西のご意見番女性"の中でも、大河ドラマに出演した姐さんはいない。かつて上沼さんが紅白歌合戦の司会を務めたことはあるらしいけれど、NHKにおいて、演技で勝負に出たのはウイカさんだけだ。今回の出演が異例として終わらず、あっと驚かせる八面六臂の活躍を見続けたい。

小林久乃 こばやしひさの エッセイ、コラム、企画、編集、ライター、プロモーション業など。出版社勤務後に独立、現在は数多くのインターネットサイトや男性誌などでコラム連載しながら、単行本、書籍を数多く制作。自他ともに認める鋭く、常に斜め30度から見つめる観察力で、狙った獲物は逃がさず仕事につなげてきた。30代の怒涛の婚活模様を綴った「結婚してもしなくてもうるわしきかな人生」(KKベストセラーズ)を上梓後、「45センチの距離感」(WAVE出版)など著作増量中。静岡県浜松市出身。Twitter:@hisano_k この著者の記事一覧はこちら
(小林久乃)

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