●「月曜日から1週間、元気にしていただけたら」
フジテレビ・関西テレビ共同制作の情報番組『Mr.サンデー』(毎週日曜22:00~)が好調だ。2023年度の平均視聴率は、個人全体、コア(13~49歳)、世帯で横並びトップに立った(ビデオリサーチ調べ・関東地区)。1週間のニュースを振り返るだけでなく、独自取材の特集が人気を集めている。

2010年4月の番組スタートから15年目に突入した同番組。MCの宮根誠司とフジテレビの藤本万梨乃アナウンサーに、長きにわたり支持を受ける理由や、日曜夜という時間に伝えることの意識などを聞いた――。

○入り込んで見た「“張りつきにくいギョーザ”開発物語」

「『Mr.サンデー』を始めた時、15年もやるなんて全く想像していませんでした。気づいたら15年経ってたというのが正直な感想です」という宮根。ここまで番組が続いてきた要因を、「スタッフ、出演者が、毎週『Mr.サンデー』だけの独自ネタにこだわって取材した15年かなと思います」と挙げ、「『Mr.サンデー』が視聴者の皆さんに少しでも日曜夜10時を待っていただけている番組ならうれしいです」と話す。

『Mr.サンデー』ならではの企画と言えるのが、ドキュメンタリーや再現ドラマで描く特集。宮根は「やっぱりオリジナリティにこだわっているというのが、一番大きいんじゃないかと思います」と、番組の大きな武器として捉えている。

その中でも、「日本酒『獺祭』会長72歳NY挑戦物語」「“変な商品”で絶好調! ペヤング開発舞台裏」など、経営者や企業の哲学を描く「逆転物語」は人気シリーズに。宮根は「とにかく、いざという時に頼りにされる番組を目指しています。ドラマ仕立ての逆転物語や、時に痛快、また心がほっこりするドキュメンタリーも、月曜日から1週間、皆さんに元気にしていただけたらと思い、スタッフ一同作っています」と意識を語った。

藤本アナが印象に残る特集は、「“張りつきにくいギョーザ”開発物語」。「ある1人の人間ドラマを見せていただくのが、すごく好きなんです。スタジオの皆さんと、ついつい“こうじゃない、ああじゃない”と言いながら入り込んで見てしまうので、視聴者の皆さんもきっと“これはできないよ”とか“そんなことしちゃうの!?”と思いながら見ていただけているのではないでしょうか」と想像する。
○著名人の訃報も独自取材で深く

番組で放送した特集は、TVerFODFNNプライムオンラインYouTubeで配信。中でも、「天才・三國シェフ物語“人生突破術”」は、FNNプライムオンラインYouTubeで600万回再生を突破し、「“教育虐待”医学部9浪の末…母を殺害した娘」も300万回再生と大きな反響を呼んだ。

また著名人の訃報も、独自の取材でその人生や人柄を深く伝えてきた。23年度は、「世界的音楽家坂本龍一さんの“哲学”」「歌手KANさん『愛は勝つ』国民的応援ソング誕生秘話」「ムツゴロウさんの“動物人生”」「谷村新司さんアジアが愛した『昴』物語」、そして最近では、2月25日に放送した「『ちびまる子ちゃん』主演演じ34年…TARAKOさんの“声優哲学”」「“天才漫画家”鳥山明さん 圧倒的画力と抜群の描写力の秘密」も記憶に新しい。

●藤本アナ、宮根は「お父さんみたいに思っています(笑)」

この15年を振り返って宮根が挙げるのは、コロナ禍での放送体制だ。「緊急事態宣言があって、世の中も我々も“一体何が起こっているのか?”と分からないときに、僕が関西テレビからリモートで出演して、とにかくかき集められる情報をかき集めて放送したのは、今考えるとよくやってたなと思いますよね」と印象に残っている。

一方、昨年7月に加入した藤本アナは「私自身もずっと見ていましたし、たくさんの方に見られている番組なので、“私のせいで足を引っ張る結果になってしまったらどうしよう…”と、そこに入るプレッシャーがありました」と打ち明けながら、「皆さんが私自身のことも番組のことも受け入れてくださって、引き続きたくさんの方に見ていただけるというのは、すごくうれしいです」と感謝。

宮根に対しては、「やっぱり最初は緊張していたのですが、最近はスタジオにいる時間が楽しくて(笑)。この前、コメンテーターの石戸諭さんに“宮根さんと藤本さん、たまにしょうもない会話してるよね”と言っていただけるくらい、本番前やCM中に気さくに話していただけるようになって、とても良くしてもらっています」と、その関係性を明かした。

またその年齢差から、「勝手にお父さんみたいに思っています(笑)」というが、百戦錬磨のキャスターとしての影響も強く受けている。

「『昭和99年』という討論コーナーが始まったのですが、論客の皆さんがいろんなテーマで議論を交わすその真ん中に宮根さんがいて、スタジオをさばく姿は、テレビで見ていたものをこんなに近くで見られるんだという感動と、純粋に宮根さんのすごさを感じて、アナウンサーとしてもすごく勉強させていただいています」(藤本アナ)

○宮根はフリー20周年「ちょっと奇跡なんです」

情報ライブ ミヤネ屋』(読売テレビ)、『めざましテレビ』(フジテレビ)と、それぞれ平日帯の情報番組も担当している2人。日曜夜という時間において、どのような意識で生放送に臨んでいるのか。

「月曜日の朝から皆さんに“『Mr.サンデー』を見て良かった。役立った”と思っていただけたら幸いです」(宮根)

「『めざましテレビ』は朝出かける準備をしながら見られている方もいるので、テンポよくいろんな情報をお届けしていますが、『Mr.サンデー』は今知りたい情報をとことん深くまでお伝えできたらなと思って番組に取り組ませていただいています。なので、スタジオでプレゼンしているときに、限られた時間の中で、どうやったらこの意味がちゃんと伝わるのか。実は、スタジオパートは『めざましテレビ』のほうが短いんですけど、テンポは『Mr.サンデー』のほうが速いので、そこで、いかに分かりやすく伝えられるかというのを意識していますが、まだ途上です(笑)」(藤本アナ)

ちなみに、『Mr.サンデー』放送開始15年目のタイミングで、宮根自身はフリーになって20年の節目を迎えた。「まさか自分が20年もフリーの司会者でいるということは全く想像してなかったので、僕にとってはちょっと奇跡なんです」と驚きながら、「本当にテレビをご覧の皆さんのおかげなので、感謝しかございません」と、視聴者への思いを語っている。
(中島優)

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