難所で奪三振ショーを披露した山本。その快投に称賛の声も集まった。(C)Getty Images

 剛腕はまたも異彩を放った。

 現地時間4月6日に敵地で行われたカブス戦に、ドジャース山本由伸が先発登板。5回(80球)を投げて、被安打3、無失点、8奪三振を記録。味方打線の援護もあり、嬉しいメジャー初勝利を飾った。

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 難所で崩れない地力を発揮した。この日の山本は序盤の1回と2回にそれぞれ満塁のピンチを招いた。とりわけ初回は先頭打者から2本のヒットと四球で無死満塁という一気に崩れてもおかしくない窮地に立たされる。

 だが、背番号18は「(初回は)少しコーナー狙い過ぎた」(試合後のフラッシュインタビューより)とクレバーだった。4番のクリストファー・モレルを三球三振に切って取って勢いに乗った山本は、5番のダンスビー・スワンソンには3-0から追い込むと、最後はインローへの96.7マイル(約155.6キロ)の4シームで見逃し三振に仕留める。

 そして、ラストバッターのマイケルブッシュには、縦に大きく割れる80マイル(約128.7キロ)のカーブを投げて見逃し三振。苦しい局面で直球と変化球を巧みに操舵し、カブス打線を翻弄した。

 終わってみれば、メジャー移籍後自己最多の8奪三振をマークした山本。だが、ここまでの復調ぶりを約2週間前には想像できなかった。

 去る3月21日に韓国・ソウルで行われたパドレスとの開幕シリーズでのマウンドで山本は初回から大乱調。被安打4、2四死球、5失点と精彩を欠き、無念の1イニングでの降板を余儀なくされた。

 韓国への移動で生じた時差などによる調整の難しさなど、致し方ない面は少なからずあった。ただ、43球中ストライクがわずか23球と内容の悪さが目につき、周囲が山本を不安視したのも事実だった。

 そんな「悪夢」とも言われたデビュー登板から山本は見事に修正をしたと言えよう。カブス戦を含めた直近2登板の内容は10回を投げ、被安打5、無失点で、与四球もゼロ。全投球数における見逃しと空振りのストライクの割合を示す指標CSWも36%と改善傾向にある。奪三振率(13個)も11.70と圧巻の数字となっている。

 このカブス戦の内容は、鵜の目鷹の目の米記者たちも唸らせる。ドジャースの地元紙『Los Angeles Times』のジャック・ハリス氏は「ヤマモトは多くの疑念を払拭した」と強調。そして「日本からやってきた若きスターは冷静沈着に仕事をこなし、そして自信を持って屈することを拒否した」とパフォーマンス内容を称えている。

 無論、まだシーズンは始まったばかりだ。ただ、地元記者たちがこぞって「最高」と評した投球を見せつけた山本には、さらなる進化を期待せずにはいられない。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

“悪夢”だった衝撃KOから一転…山本由伸が完全復調を感じさせる2戦13K&無失点「多くの疑念を払拭した」