Microsoftは現地時間2024年4月2日Windows 10用ESU(拡張セキュリティ更新プログラム)の詳細を公式ブログで発表した。

ESUとはサポート終了を迎えた製品に対して、同社が有料で一部のセキュリティ更新プログラムを提供するというもの。端的に述べれば、Windows 10を最長で2028年10月14日まで継続利用できる。Windows 10 ESUの詳細については公式ドキュメントも併読してほしい。

2024年10月からMicrosoftのパートナー企業から購入可能になる予定だが、ポイントは利用料金である。デバイスあたり年61ドルで翌年以上は倍額となり、2年目は年122ドル、3年目は年244ドルの費用が発生。Windows 365に代表されるクラウドソリューションの場合、初年度は25%の割り引きが適用される。

IT予算に余裕がある中小企業であれば、エンドポイントはWindows 11 PCを購入もしくはリースし、Windows 11で正常動作しない内製アプリをWindows 365Windows 10で実行。ESU提供期間の3年以内にアプリをリファクタリングすれば良い。

一方で困るのがWindows 11のアップグレード要件を満たさないPCを所有する消費者だ。

詳細は省くが、Windows 11は以前よりも厳しいシステム要件を科している。必然的にWindows 11にアップグレードできないPCが手元にある方も少なくないだろう。

かく言う筆者もWindows 10インストールしたデスクトップPCが手元にあり、ミニPCに置き換えたいのだが、PCIバスのTVチューナー利用が主目的のため、ミドルタワーケースから移行できる選択肢を探している最中だ。各所で利用するPCの行き先が新たな行き止まりを迎えているのである。Linuxという選択肢もあるが、デスクトップ環境はこなれていないので、"PC好き"の方以外にお薦めするのは難しい。

Windows 10 PCを利用する個人は、PC買い換え以外の選択肢はない。どこかの自治体でWindows 10どころかWindows XPをシングルアローンで利用していると報じられていたが、予算うんぬんを考慮しなければ愚の骨頂である。

その理由は、MicrosoftがOSバージョンを重ねるごとにセキュリティ強化を付与してきたからだ。24時間365日PCに触れている我々と比較してITリテラシーの低い自治体職員こそ、Windows 11を使うべきだろう。

今年はAI PCが出始める年だが、筆者は前述した諸事情と為替動向も相まって静観中だ。

ただ、昔は高性能GPU至上主義だった筆者ながらも、この数年を振り返るとGPU性能を必要とするPCゲームをプレイする機会は減っている。40年以上使い続けてきたPCの利用スタイルも変化したようだ。もう、PCはテキストエディターと好みのIMEがスムーズに動き、オンライン発表会に問題なく参加できれば、それ以外の作業はタブレットで十分である。

このように利用内容や機会に応じたPCの必要性は百者百様。Windows 10ユーザーは、これから着々と登場するAI PCの性能と価格を考慮しながら、適切なPCをお選びいただきたい。

なお、Microsoftが先日発表したSurface Pro 10 for Business/Surface Laptop 6 for Businessも、公式ブログでAI PCの条件を満たしたPCだと強調している。

著者 : 阿久津良和 あくつよしかず 1972年生まれのITライター。PC総合誌やDOS/V専門誌、Windows専門誌など、各PC雑誌の編集部員を経たのちに独立。WindowsとLinuxをこよなく愛しつつ、PC関連の著書を多数手がける。近年はBtoCにとどまらず、BtoBソリューションの取材やインタビューが主戦場。休肝日を設けず日々飲み続けてきたが、γ-GTP値が急激に増加し、早急な対応を求められている。 この著者の記事一覧はこちら
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