●単独ライブはファンを実感できる場「すごくうれしい」
お笑いコンビ・ニューヨーク(屋敷裕政、嶋佐和也)が今夏、史上最大規模の単独ライブ「そろそろ、」を全国5都市13公演開催する。多くのレギュラー番組を抱える売れっ子になっても、毎年単独ライブを開催している2人にインタビューし、単独ライブへの思いや今年の意気込みなど話を聞いた。

M-1グランプリ』『キングオブコント』あわせて4度決勝に進出した実力を持つニューヨーク。昨年1万人を動員した単独ライブ「虫の息」に続き、今年は延べ1万2000人を動員する単独ライブとなる。

――単独ライブ「そろそろ、」への意気込みをお願いします。

屋敷:毎年単独させていただいていて、僕らが一年で一番本気を出す場というか、力を入れている場です。去年、一昨年来てくれた人にももちろん見てほしいですが、まだ来たことない人に見てもらえたらなと。見たことないという人を減らしたいので、ぜひ1回来てほしいなと思います。

嶋佐:デビュー15年目に突入しますが、10年以上毎年単独ライブをやっていて、3~4年前ぐらいから全国を回る規模でやらせてもらうようになって、今年は過去最大の延べ1万2000人の動員を目指しています。ありがたいことに最近はテレビとかメディアにちょこちょこ出させていたただいていますが、単独ライブを見たことがないという人がまだまだたくさんいるので、もっともっとたくさんの人に見てもらいたいなと思っています。

――一番力を入れている場とのことですが、単独ライブはお二人にとってどういうものになっているか改めてお聞かせください。

屋敷:昔はずっと2人でネタを作ってライブでネタをやるというのが基本でしたが、ありがたいことにいろんな大人の人が力を貸してくれるようになって、テレビもYouTubeもそうで。単独ライブもそうですが、一番2人が脳みそと体を使っている感じがします。作家さんと一緒に作っていますが、一番ニューヨークというコンビの純度が高いものが単独になってきたなという意識があるので、見てもらいたいなと思います。

嶋佐:単独ライブに来てくださる方は、しっかり僕らのことを好きな方々。ステージに立ったときに、僕らのことを好きな人がこんなにいてくれているんだなというのを体感できて、すごくうれしい場です。YouTubeやテレビは実感が湧きづらいですが、単独ライブでこれだけ見に来てくださる方がいるというは、やりがいをすごく感じるものの一個です。

――テレビなど活躍の幅が広がっている中で、単独ライブの大切さをより感じるように?

屋敷:そうですね。ファンの方とコミュニケーションをとれる場なので。昔はしょっちゅう劇場に出ていて出待ちとかいろんなコミュニケーションがありましたが、今はSNSで面白いと言ってもらうとかYouTubeでコメントしてもらうとかが多い中、実際に僕らのネタを見て笑ってもらうというのがない。それが単独ライブではすごく感じるので、ないと寂しいというか、ハリがないんじゃないかなという気がします。

嶋佐:昔はとにかくネタを作って、その上で賞レースの決勝に行くというのが単独ライブの先の目標としてあった気がしますが、今は単純に単独ライブ自体をいろんな人に見てほしいというか、純粋にネタを見てほしいなと。
○賞レース卒業で純粋にやりたいネタができるように

――2021年を最後に賞レースに出場されず、もう出ないと発言されていましたが、変わらず今後出るつもりはないですか?

屋敷:今のところないですね。

――先ほど、以前は単独ライブの先の目標として賞レースの決勝があったという話がありましたが、賞レースを卒業されてから単独ライブの意味合いなど変わりましたか?

屋敷:そうかもしれないですね。単独をする上であまり意識しないようにしていましたが、結局どこかで賞レースがちらついていて、これ賞レースでできんかなとか思いながら単独をやっていたと思うんですよね。今は、去年もめっちゃ大がかりな、嶋佐が宙に浮くマジックをやったんですけど、そんなの絶対単独でしかできない。賞レースを意識していたらそういうのはやらんかったかもしれません。

嶋佐:尺とか気にせず全部のネタがけっこう長めというか、10分ぐらいあるコントもあったり、単独ライブでは基本4~5分に収まっているネタが1本もない。テレビだと中身や尺の問題でやれてないネタもいっぱいあり、単独ライブでしか見られないネタもいっぱいあるので見てほしいなという思いがあります。

――今は純粋に自分たちがやりたいネタができるようになり楽しさが増していますか?

2人:そうですね。

●ネタ作りはひねり出すしかない「毎回怖い」

――新ネタを披露するとのことですが、コントと漫才はどのようなバランスで考えていますか?

屋敷:だいたい半分半分のイメージです。去年は漫才3本コント4本の7本で、4本4本の年もあったり。

――ネタ作りの進み具合は?

屋敷:ネタ作りはしていますがまだ1本もできてないです。

――いいネタを作るために心がけていることを教えてください。

屋敷:ひねり出すしかない。だから毎回怖いです。もうないんじゃないかなという感じです。

嶋佐:なんとか間に合っているという感覚。芸人の単独って奇跡なんですよ。1週間前に全然できてないというのがざらです。

屋敷:でも、今のところ、今年やばかったなという年はないので、今年もそうなると信じたいです。面白いものにできるよう頑張ります。

――今回のツアーのポスターは白塗りがインパクト大ですが、どういう意図でこういうビジュアルに?

嶋佐:毎回全然違いますが、今年はマリリン・マンソンのジャケットをたまたま見て、マリリン・マンソン風にしてみました。かっこいいかなと思って。

屋敷:白塗りは落とすのが大変でした。耳の穴とかも塗ったので。なるべく肌色のところが見えないように。

嶋佐:デーモン閣下とかマリリン・マンソンさん大変だなと。こんだけメイク毎回して落としているんだと。

屋敷:コウメ太夫さんも。なかなか落ちないんですよね。肌荒れるやろうなと思いました。

○「こんな風になりたい」というのは考えないように

――来年15周年を迎えますが、今後どのようになっていきたいと考えていますか?

屋敷:まずは病気とかせず生きていることが大前提で、最悪芸能界をやめていてもいいんですが、本当は芸能界やめたくなかったのにやめなあかんことになってもうたというのが一番悲しい。機嫌よくやっていればどうなっていてもいいです。誰みたいになっていたいと決めてしまうと、そうなっていないときにつらいので、こんな風になりたいというのは考えないようになりました。そのときそのとき機嫌よくやれていたらいいなと思います。

嶋佐:10年後、20年後、どうなっているかわからないですけど、いろんな意味でダサくなっていないように、くらいですね。単独ライブも、やめたほうがいいという判断になれば全然。60歳で単独やっているってダサいと思ったらやめますし。ダサい芸人になっていないといいなと思います。

屋敷:お互い思っていることがズレてきたら悲しいですね。こっちはやりたいけど、こっちはやりたないとか。

――今は単独ライブを頑張りたいというのはお二人とも同じ思いですか?

2人:そうですね。

ニューヨーク単独ライブ 「そろそろ、」公演日程
7月6日・7日 東京・銀座ブロッサム7月17日・18日 愛知・中日ホール、7月30日 宮城・電力ホール、8月3日・4日 福岡・よしもと福岡 ダイワファンドラップ劇場、8月8日・9日 大阪・TTホール
(酒井青子)

画像提供:マイナビニュース