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「これからの活動が楽しみ」と誠子さん(写真:高野広美)

所属事務所の吉本興業から発表された。誠子さん(35)は吉本とのマネジメント契約を終了しフリーで、渚さん(39)は引き続き吉本に所属して活動を続ける。

誠子さんが芸人を志す原動力となったのは容姿へのコンプレックスだった。

「妹が美人なんですが、私はモテへんし、自分に勝手なコンプレックスがあって。なにか漠然と『自分が輝けるものはないかな?』って考えてたときに『M-1グランプリ』(朝日放送系)を見て『これや!』って」

尼神インターは芸歴1年目から、当時の大阪吉本の若手芸人が主戦場としていた劇場「baseよしもと」の舞台に立つなど、順調なスタートを切った。

「19歳のときに初めて『base』のメンバーになったときはめちゃくちゃ嬉しかったですね。素人の時から憧れていた劇場だったんで。しかもアジアンさん以来10年ぶりぐらいに女性コンビがメンバーになったんですよ」

誠子さんが演じる「いい女」や「ぶりっ子キャラ」に対し、ビシビシとぶっきらぼうにツッコむ渚さんとの掛け合いがウケて、メディアへの露出も増えていった。なかでも誠子さんのキャラを世の中に印象付けてくれたのは「2人の先輩のおかげ」だと話す。

「先輩方から、ほんこんさんに似てるって言われて。ほんこんさんがいなかったら私、テレビに出れてないんじゃないかってぐらい(笑)。

1番最初は雨上がり決死隊さんの番組に呼んでもらったときに宮迫(博之)さんが私のことを『メスほんこん』っていじってくれて。それが現場でめっちゃウケたんですよ。だからほんこんさんと宮迫さんは恩人なんです」

誠子さんが華やかな容姿だと、自分たちのネタは成立しない。

「私、メーク映えするタイプなんですよ。だからネタをやるときはよりウケる可能性があるほうを選ぼうと思って、メークは薄目にファンデーションだけで、アイメークはしたことなかったです」

そういった努力や芸人仲間からのいじりもあったことでキャラが確立し、2018年に主演ドラマの仕事が舞い込む。

「『ブスだってI LOVE YOU』(テレビ朝日)というドラマで。私しかその役はいないんじゃないかと(笑)。最初にドラマの主役が決まったことを聞いたときは『よっしゃー!』ってなりました。

でも、家に帰って一人になって冷静になると『芸人としては嬉しいけど、女性としてはどうなんや』って(笑)」

当時でも“ブス”という言葉は「コンプライアンス的にギリ(笑)」だったという。しかし、’20年前後ぐらいから容姿いじりがよくないという風潮が出始め、確実に時代が変わったと感じ始めた。

「バラエティ番組で女性芸人がいじられることによってSNSで『かわいそう』って声が出始めたんです。そこぐらいから先輩方も配慮して露骨な容姿いじりをされなくなって。やっぱり先輩も対応してはるなと思って。

前は仕事に出かけるときは『女性らしさ』をおうちに置いてきてたんです。でもその時期ぐらいから『ちょっとだけ一緒に現場に行ってみる?』みたいになってきて(笑)」

昨年は新ヘアスタイルをSNSに投稿したり、20キロの減量に成功したことが話題となった。

「コロナ禍をきっかけに料理をするようになって。食事制限で無理なく、リバウンドなく痩せられました。

私が髪の毛を切ったことをSNSに投稿すると『かわいいです』ってコメントが来たり、『私も挑戦してみました』って、私と同じ美容院に行くコがめっちゃ多くて。

一般の女性からしたら私は等身大のような感じで、親近感があるみたい。『誠子さんが勇気出して変わろうとしてるんだったら私も挑戦してみます』みたいなコメントもすごく多くて。『美容や料理が好き』という、今まで出してこなかったこともSNSで伝えることに意味があると思うようになりました」

今後も芸人は続けていく。

「大好きなお料理とお笑いを掛け合わせたイベントをやってみたい。好きなことを掛け合わせて新しいエンタメが生まれたらなと。

自分もみなさんも楽しめてワクワクするような、直接会ってコミュニケーションが取れるイベントをやっていこうと思うので会いに来てくれたらうれしいです」

PROFILE

誠子

1988年生まれ。兵庫県神戸市出身。高校卒業後、NSC大阪校に入学し、同期の渚と尼神インターを結成。2024年に解散。料理家の荒谷未来さんとともにライフスタイルブランド「merci(メルシー)」を立ち上げる

インタビューマン山下

1968年香川県生まれ。1992年世界のナベアツ(現・桂三度)とジャリズム結成、2011年に解散。同年、オモロー山下に改名し、ピン活動するも2017年に芸人を引退しライターに転身。しかし2021年に芸人に復帰し現在は芸人とライターの二足のわらじで活動している。