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 本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えします。

 今回(2024年3月30日4月5日)は、13年ぶりの高い成長を見せる国内ITサービス市場、テクノロジー人材の将来展望、AR/VRヘッドセット市場のシェア、API攻撃が増加するWeb攻撃の動向、国内ローカル5G市場についてのデータを紹介します。

 国内ITサービス市場は2023年、前年比6%増の6兆4608億円となった。5%を超える成長は2010年以来、13年ぶりのこと。成長を牽引したのは、企業のデジタルビジネス強化に向けたマイグレーションやモダナイゼーション、デジタルイノベーションの実装需要の増加。なかでもITコンサル、システムインテグレーションなどのプロジェクトベース市場だ好調だという。好調な市況は2024年以降も続き、2023~2028年は年間平均成長率(CAGR)4.8%で推移し、2028年には8兆1495億円規模になると見込む。

 テクノロジー人材の将来に関する展望。エンジニアの役割は歴史的転換期にあり、テクノロジーを駆使してビジネスそのものを革新する「クリエイター的エンジニア」への転身が求められるとする。PoCも「技術を評価するためのPoC」という位置づけから「人が技術を経験する機会としてのPoC」に変化。企業の60%が、PoCを通じて「社内の人材がその技術を使いこなせるか」を試すようになるため、PoCの成否は人や組織の能力が大きく影響すると見る。

 2023年の国内のAR/VRヘッドセット市場の動向。総出荷台数は56万6000台で、そのうちARヘッドセットが4万8000台(前年比32.3%増)、VRヘッドセットが51万7000台(71.6%増)を占める。出荷台数が大きく増えたのは、ソニーPlayStation VR2PS VR2)」の発売が要因。ARヘッドセットではXREALなど比較的安価なコンシューマー向けデバイスが、VRヘッドセットではPS VR2、Metaの「Quest 3」などが好調だった。

 最新の脅威レポート「インターネットの現状(SOTI)|影に潜む脅威:攻撃トレンドで API の脅威を解き明かす」より、日本のデータをまとめた。2023年通年、すべてのWeb攻撃のうちAPIを標的としたものは23%(世界は29%)だった。最も攻撃を受けた業界は製造業で、Web攻撃全体の約57%をAPI攻撃が占めた。次はゲーム業界で約29%をAPI攻撃が占めたという。同社は「API攻撃がセキュリティ上無視できないことを示している」とまとめている。

 国内ローカル5G市場(ローカル5G対応デバイス、インフラ、関連アプリケーションに対する支出)の予測。市場規模は2023年に100億円を超え、実証実験フェーズから商用フェーズへの移行が見られた。それに伴って、一般のICT市場と同様に、海外のインフラベンダーやデバイスベンダーの活動が活発化しつつあるとする。市場は2023~2028年の期間、CAGR 43%と急速に成長し、2028年には672億円規模になると見込む。

Web攻撃の23%がAPIを標的に、エンジニアの役割に転換期、ローカル5G市場は商用フェーズに移行、ほか