テレビアニメ「ザ・ファブル」(毎週土曜深夜0:55-1:25、日本テレビ系ディズニープラスで全話見放題独占配信)の第1話「お引っ越し」が4月6日に放送され、メインキャストを務める興津和幸沢城みゆきが繰り広げる掛け合いに、ファンがSNS上で絶賛する声が多く上がった。(以下、ネタバレがあります)

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■「ザ・ファブル」とは

同作は、南勝久による同名人気コミックをアニメ化したもので、殺しの英才教育を施された“殺しの天才”通称・ファブル(CV:興津)が、ボス(CV:小村哲生)から「1年間誰も殺してはならない」という指令を受け、“佐藤明”として人殺しをしない暮らしを送る姿を描く物語。岡田准一主演で2作実写映画化され、大きな注目を集めた。

第1話では、いつものように“プロ”として殺しの仕事をこなしてボスの元に戻ってきた最強の天才殺し屋ファブルが、ボスから1年間の休業とその間の殺し禁止を命じられる。組織が懇意にしている大阪のヤクザが用意した住処に向けて、ファブルは助手兼運転手の佐藤洋子(CV:沢城)と共に車で向かう――。

初回ということもあり、冒頭の戦闘シーン以外は激しい展開のないストーリーだが、それが逆に実力派声優2人のポテンシャルを余すところなく楽しめる“希少な回”となった。ボスから1年間の休業を告げられ、急きょ“兄妹”として暮らすことになった2人は、これまで互いの素性すら知らなかったため、大阪へ移動する車の中で互いの人間性に触れていく。その様子を、2人の声優が実にコミカルに演じ、“裏社会の人間”ながら親しみやすいキャラクターとして表している。

沢城といえば「ルパン三世」の峰不二子役の印象も強いだろうが、不二子とは全く違った芝居で佐藤洋子を好演。不二子のようなセクシーで甘い感じの口調とは一線を画す、テンポ感がよく、なじみ深い話し方をしており、「声は沢城さんだけど、本当に沢城さんだよね?」と思わず確認してしまうほど。「沢城みゆき峰不二子」のイメージの強い方は、ぜひ視聴して彼女のポテンシャルの高さを感じてほしい。

■低い声と抑揚のない演技で“無敵の殺し屋”を表現

一方、興津は“社会性が全くない”ファブルを、低い声と抑揚のない演技で表現。“殺し”しかしてこなかった特異なキャラクターを、あえて機械的に無機質に演じることで浮世離れした雰囲気を演出。一定のリズムを崩さず、高低差のないAIのような話し方を保ちながら、大好きなお笑い芸人・ジャッカル富岡(CV:福島潤)が出演している番組を見る時だけ大笑いするというギャップを見せ、“変人”感もしっかりと表現。その振り幅の大きさが、よりキャラクターの深みを描き出している。

特に第1話での見どころは、そんな実力派声優2人の掛け合いだ。「変わり者のファブルを細かくツッコんでいく洋子」という会話劇に、視聴者は爽快感のある気持ち良さを感じながら引き込まれた。例えば、パーキングエリアで出会った2人組の車上荒らしに絡まれたファブルが一瞬で2人を倒してしまうと、洋子は「あー!!!」と声を上げて、「昨日言われたばっかりでしょ! 車上荒らし程度の弱い子いじめて~!」と世間的にはズレたせりふで注意するなど、2人のやりとりだけで楽しませてくれた。

SNS上でも「面白かった!」「声優ってすげぇ。アニメってすげぇ。キャラクター達に会いたくなりました」「声優さんがやっぱりすごい」「めっちゃ面白い! 沢城さんの洋子と興津さんの明のやりとりが好き!」などと絶賛する声が多く見られ、放送直後にはトレンド入りするなど、大きな反響があった。

◆文=原田健

組織で相棒を務める洋子と共に大阪へ引っ越しをする”ファブル”/(C)南勝久・講談社/アニメ「ザ・ファブル」製作委員会