山本由伸

アメリカメジャーリーグロサンゼルス・ドジャース山本由伸が、日本時間7日にイリノイ州シカゴリグレーフィールドで行なわれたシカゴ・カブス戦に先発した。

 

■日本でも早朝から生中継

5回を80球、被安打3、奪三振8、与四球3、無失点の内容で、チームも大谷翔平の2安打や、マックス・マンシータイムリーなどで援護。山本の後に投げた4人のピッチャーも1失点と踏ん張って、4−1でドジャースが勝利し、山本がメジャーデビュー3試合目で嬉しい初勝利を挙げた。

日本は日曜日だったこともあり、NHKが早朝から地上波の生中継で対応したことから、日本でもたくさんのファンがリアルタイムで山本の初勝利を祈りながら観戦していたようで、SNSでは朝早くから「山本由伸」関連のワードが上位を独占していた。

 

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■満塁ピンチに

特筆すべきは1回と2回に招いてしまった満塁のピンチの場面だろう。

初回は先頭のイアンバップに2球目を打たれて二塁打にされてしまうと、日本では4打数1安打という対戦成績だった2番の鈴木誠也との注目の対決は3−2とカウントを悪くして四球に。3番のコディ・ベリンジャーには鈴木の好走塁もあり、ショートへの内野安打となり、無死満塁の大ピンチに。

 

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■3回以降は完璧なピッチング

開幕戦の悪夢が過ぎる中、ベンチは「1点は仕方がない」ダブルプレーシフトを指示する。

しかし、ここから山本のギアが一気に上がって、クリストファー・モレル、ダンスビー・スワンソン、マイケルブッシュという中軸を3者連続三振に斬ってとり無失点で切り抜ける。

2回も二死から味方のエラーもあり満塁のピンチを招くも、ベリンジャーにカーブで見逃し三振を奪うとマウンド上の山本は吠えていた。3回以降は鈴木からも空振り三振を奪うなどランナーを1人も許さない完璧なピッチングを披露している。

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■魔球のカーブが今後も重要に

この日は最速156キロのストレートに、カーブスプリットを中心とした変化球で組み立てていく日本でも見られた山本本来の配球だったが、初回は完全にスプリットを見切られており、ボール先行でカウントを悪くしてしまったことにより、ピンチを招いてしまった。

そこからギアを上げた山本が多用したのが、魔球と言ってもいいカーブだ。オリックス時代も先発に転向してからは、ストレートとフォークに磨きをかける一方で、カーブを勝負球として使って三振の山を築いている。

メジャーでもカーブが決まり出すと、ストレートやスプリットなど他の変化球の効果も高くなるだけに、今後もカーブでカウントを取れるかどうかが、山本のバロメーターを測る上で重要になってくるはずだ。

 

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■怪我なく世界一のピッチャーへ

ネット上では「メジャー初勝利おめでとう」の声とともに「素晴らしいカーブボール」「満塁のピンチを無失点で抑えたのは素晴らしい」「8奪三振お見事」など山本を称賛する数多くの書き込みが見られた。

この日は80球ともう1イニングは行けそうな内容だったが、ドジャースの首脳陣はしばらく慎重に起用をしていく方針のようだ。

メジャー1年目でいちばん怖いのは怪我をすること。山本はトミー・ジョン手術を受けることなくここまでやって来ただけに、大きな怪我をすることなく世界一のピッチャーを目指してもらいたい。

 

■執筆者プロフィール

どら増田
どら増田:1973年神奈川県横浜市出身。幼い頃に初代タイガーマスクに衝撃を受けてからプロレスや格闘技を見続けている。同じく幼い頃から見ていたプロ野球は紆余曲折を経て2010年からオリックス・バファローズを応援。

音楽やエンタメ、グルメなどのイベントプロデュースの仕事をしていたが、2014年からスポーツライターの道へ。

横浜在住にもかかわらず京セラドーム大阪を中心にオリックスを現場取材する傍ら、新日本プロレススターダムRIZINなどプロレス・格闘技の現場取材をしつつ多媒体で執筆している。

2018年にはスカイAで放送されたオリックス山本由伸と当時はキックボクサーだった那須川天心の神童対談実現に尽力した。ペンネームの由来はレジェンドレスラー藤波辰爾ドラゴンから来ており、取材を通じて藤波本人から公認を貰っている。

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