堤真一溝端淳平らが出演するシス・カンパニー公演『カラカラ天気と五人の紳士』が4月6日、東京のシアタートラムで開幕した。

【舞台写真】溝端淳平の見つめる先、ホームの向こうは客席

 本作は日本の不条理劇を確立させた第一人者として人気が高い劇作家の別役実が1992年に初めて上演した作品だ。今回は2023年のシス・カンパニー公演「いつぞやは」でも話題をよんだ気鋭の若手、加藤拓哉が演出に挑む。

 「五人の紳士」には堤、溝端に加え、主演ドラマが放映中の野間口徹、久しぶりの舞台出演となる小手伸也、昨年から舞台出演が続く藤井隆、女性2人組は劇団☆新感線の高田聖子、中谷さとみが演じる。徳高真奈美が奏でるヴィオラの音色が響くホームのような舞台。ある日ある所に「棺桶」を担いで5人の紳士がやってくる物語が、2024年の今、どう舞台上に描かれるのか。公演ポスターに描かれた「1本の電柱」は何を指しているのか。

 開幕を迎えた本作より堤、溝端からコメントが届いた。

堤真一(紳士5)
不条理劇の経験は過去にもありましたが、別役実作品は初めて。実は、最初に台本を読んだ時、途中でワケがわからなくなってしまって、思わずパタンと台本を閉じてしまったんです(笑)。でも、最後まで読むと、別役さんの死生観が浮かび上がってくるのを感じました。それに今回、稽古の初期段階でじっくりと本読みに時間をかけて皆で話し合えたことが大きくて、これは決して「不条理」ではなく、「普通の会話」なんだという共通認識をもてるようになりました。その会話を皆で成立させていけば、自ずと世界観が見えてくると思っています。ご期待ください。

溝端淳平(紳士2)
いつかご一緒したかった加藤拓也さん演出で、いよいよ別役作品をやらせていただけることに、身が引き締まるような感覚とうれしさがありました。稽古場では、百戦錬磨の先輩方のお芝居へのアプローチを間近で感じられ、本当に贅沢な時間を過ごしていました。そんな中で、自分もしっかりと役の個性や存在感を作らなければ、と色々と考えていたのですが、削ぎ落としていく加藤演出では、「何もしないこと」を求められ模索の日々。ただ、その作業は同時にとても楽しく刺激的で、今は自分でも予想もしていなかった世界に行けるような気がしています。

『カラカラ天気と五人の紳士』より(左から)徳高真奈美、野間口徹、溝端淳平、小手伸也、堤真一、藤井隆 撮影:宮川舞子