こまつ座 第149回公演『夢の泪』が、4月6日(土)、東京・紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYAにて開幕した。

本作は、井上ひさしが2003年に新国立劇場のために書き下ろした「東京裁判三部作」の第2作目(第1作『夢の裂け目』、第3作『夢の痂』)。戦争と東京裁判を当時の市井の人々の生活を通して見つめ、戦争の責任は誰にあるのか、東京裁判は何を裁いたのかという問いに切り込んだ本作がこまつ座で初上演される。

日本人として避けては通れない硬質な問題を提起しながらも、笑いと音楽をふんだんに盛り込んだ本作。ラサール石井、秋山菜津子のほか、瀬戸さおり、久保酎吉、粕谷吉洋、板垣桃子、藤谷理子、前田旺志郎、土屋佑壱、朴勝哲(ピアノ)が出演する。

併せて、舞台写真と演出・栗山民也、出演・ラサール石井、秋山菜津子からの開幕コメントが公開された。

<コメント全文>
■演出・栗山民也
何度もベルリンの街を歩いた。日本での生活で、気持ちが完全に萎えてしまうような時は、迷うことなくベルリンへと向かった。その街は間違いなく記憶の刻まれた場所で、行くたびに過去の様々な人や風景の記憶が、目の前にはっきりと現れる。
『夢の泪』の初日を前に、劇中の心に強く残った言葉のうち「ほんとうの日本史が書かれる」というひとつのセリフが、何度となく頭の中を巡る。
この国は、自分たちのほんとうの歴史にちゃんと向き合ってきたのだろうか。稽古をしながら考えた。 朝、テレビをつけるとどこも瓦礫の街。この地球の上の現実の風景だ。この公演は、ただ過去を描いたものではない。今、何を見つめるべきか、そんな問いが見えてくるとても大事な作品に思う。何かと出会える場になりますように。

ラサール石井 / 伊藤菊治 役
いよいよ初日、沢山稽古したにも関わらず、これほど不安で緊張する初日は長い演劇人生でも初めてです。
今日は朝に鎌倉の井上先生のお墓参りして来ました。一緒に行きましょうと申し上げたので、劇場にいらしてると思います。頑張りまーす!

■秋山菜津子 / 伊藤秋子 役
稽古も後半に入った頃、演出の栗山さんが仰った 『いま、こんな戯曲はどこにもないよ。』という言葉が、初日が近づくにつれ、ひしひしと身体で感じ始めているところです。
そのような貴重な作品を多くの方に観ていただきたい、若い方にも知ってもらいたいと心から願っております。そして、キャスト、スタッフのパワーをもって観客の皆様にこの作品をしっかりとお届けできるよう、頑張るのみです。

<公演情報>
こまつ座 第149回公演『夢の泪』

2024年4月6日(土)~4月29日(月・祝)
会場:東京・紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA

作:井上ひさし
演出:栗山民也

■出演
ラサール石井 秋山菜津子 瀬戸さおり 久保酎吉 粕谷吉洋 板垣桃子 藤谷理子 前田旺志郎 土屋佑壱 朴勝哲(ピアノ)

■全国公演
所沢公演:5月8日(水) 14:00
会場:所沢市民文化センターミューズ マーキーホール

山形公演:5月11日(土) 14:00
会場:川西町フレンドリープラザ

チケット情報:
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=2346184

公式サイト:
http://www.komatsuza.co.jp/program/index.html#467

『夢の泪』