俳優、声優、YouTuberとして幅広いフィールドで活躍中の染谷俊之の魅力に迫るWEBザテレビジョンの連載「月刊染谷WEBマガジン」。毎月、深掘りインタビューを敢行し、仕事の近況からプライベートまで、事務所NGギリギリの質問をぶつけて“染様(染谷俊之の愛称)”を丸裸にします。第28回は、4月9日(火)に開幕する舞台「MANKAI STAGE『A3!ACT2! ~WINTER 2024~」について聞きました。

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■プライベートでも仲がいい植田圭輔&和田琢磨と共演!

──まず素朴な疑問ですが、4月の舞台なのになぜ「WINTER」公演なのでしょうか?

A3!」の舞台は基本的に1年間続くシリーズになっています。僕が所属する春組の公演(2023年5~6月)から始まって、夏組(8~9月)、秋組(11~12月)と続いて、今回の冬組公演でフィナーレを迎えます。なぜ冬公演がこのタイミングになったのかは、僕にも分かりません。恐らくいろいろな大人の事情かと(笑)。

──染谷さんが出演されるのは、春組公演以来ですか?

そうです。夏、秋と出ていなかったので、春からもう1年くらい経っているに「えっ!? まだ冬終わっていないんだ」って僕自身も驚きました。僕はサポートメンバーとして出演するんですが、今回で1年間続いた「ACT2!」が終わるので、しっかり演じたいと思います。

──今回メンバーの変更などはあるのでしょうか。

昨年の僕ら春組の公演で、冬組の月岡 紬役の荒牧慶彦くんが卒業して、定本楓馬くんに代わりました。彼がホームグラウンドである冬組公演に出演するのは今回が初めてです。あとは、同じく冬組の植田圭輔くんが今回で卒業になります。

──染谷さんは植田さんと仲がいいですが、卒業にあたって何かお話しはされましたか?

僕が今、舞台の最中(※注1)なので直接会って話はできていませんが、LINEはちょくちょくしています。「A3!」では、2人は関わり合いが深い役どころなので、卒業するのはやっぱり寂しいですね。

※注1:インタビューは2024年2月下旬に行いました

──ストーリーとしては、どんな内容になりますか?

基本的に「ACT2!」には劇中劇が2つあり、その劇中劇を描くまでの物語となります。今まで劇中劇の主演をやっていなかったメンバーが各組に2人いて、彼らが主演を務めるのが「ACT2!」の共通テーマです。例えば、春組公演では第一幕を立石俊樹くんが演じる茅ヶ崎 至、第二幕を古谷大和くんが演じるシトロンが主演を務めました。同じように今回は、北園 涼くんが演じる高遠 丞と、植田圭輔くんが演じる御影 密(ひそか)が主演の舞台となります。

──染谷さんを含めた春組はサポートメンバーですが、全員出演するのでしょうか?

いいえ、出演するのは6人中4人です。僕のほかは、横田龍儀くん(佐久間咲也役)、前川優希くん(皆木 綴役)、古谷大和くん(シトロン役)です。

──染谷さんはどうストーリーに絡んでいくのですか?

さっきも言いましたが、僕が演じる卯木千景と、植田圭輔くんが演じる密の間には過去に因縁があります。そうした背景から、密が主演を務めるまでのストーリーに深く関わっていきます。

──千景と密にはどんな因縁があるのでしょうか?

説明するのが難しいんですが、劇団に入団するまでは、2人はある同じ組織に属していて、一緒に行動していました。そのときにいろいろあって、密は記憶喪失になってしまい、記憶を失ったまま劇団に所属していました。でもそれを知らず、裏切られたと思った千景は、密に復讐するため春組に入ったんですが、誤解だったと気付いて、和解するというのが、以前までに描かれたストーリーです。そして、もう1人行動を共にしていた人物がいて、それが和田琢磨くん演じるオーガストです。彼は密を庇って死んでしまったと思われていたんですが、今回の物語でその真相が明らかになります。オーガストは実は生きているのか、それとも死んでいて今回は回想として出てくるのかは、観てのお楽しみです。

──和田琢磨さんとは、現在放映中のテレビドラマ「Solliev0(ソッリエーヴォ)」(毎週月曜23:30~/テレビ神奈川ほか)でも共演されていますよね。

和田琢磨くんとは、昨年の「カミシモ2(あいつが上手で下手が僕で シーズン2)」からずっと一緒です(笑)。このあとも「カモシモ3」(※注2)、「Solliev0」の舞台(8月)と共演が続いていきます。

※注2:染谷と和田の出演は2024年7月期のテレビドラマおよび11月の舞台の予定

■「冬組はバランスが取れたいいチーム。全員歌が上手いです」

──ここからは冬組メンバーについて。それぞれ過去に共演経験はありますか?

全員、以前の「A3!」で共演しています。昨年の春組公演に定本楓馬くんと北園 涼くんがサポートメンバーとして出ていて、他の4人(植田、田中涼星、上田堪大、輝馬)も、僕が初めて加わった一昨年の春公演で共演済みです。

──それぞれどんな人物でしょうか? まずは定本楓馬さんから。

楓馬は「A3!」以外にもいろいろな作品で共演しています。「FAKE MOTION-たったひとつの願い」(2021年)という卓球のドラマだったり、ドラマ「REAL⇔FAKE」のファイナル(2023年)だったり。すごく真面目ないい子で、先輩目線でいうと、どこに出しても恥ずかしくない(笑)。もちろん役者としてのポテンシャルも高いです。

──北園 涼さんはどうですか?

涼はミュージカル刀剣乱舞」などに出ているのですが、何といっても歌が上手い。身長が高くて、あと、彼の何がすごいかというと体力ですね。彼を見ていて、「お芝居に体力ってあるんだな」と思わされました。

──どういう体力でしょう?

長い公演をやっていると、例えば「驚く」や「怒る」といった演技に新鮮味がなくなっていくものです。でも彼は毎回全力で演じていて、常に新鮮なんです。別に他の役者が手を抜いているわけではなく、そうした新鮮さを保つのってすごく難しいはずなんですけど、彼にはその体力があります。だからこそできるんだなと感心しています。

──続いて植田圭輔さん。彼の話はこれまでもたくさん聞いています。

植ちゃんとはプライベートでも会いますし、特に仲がいいですね。彼の家にも遊びに行ったことがありますし、一緒に「ワンピースカードゲーム」で遊んでいます。今回で「A3!」を卒業しますが、その話を事前に直接報告してくれて、すごく嬉しかったですね。彼にとっても「A3!」は思い入れの強い作品で、卒業することを寂しがっていました。

──有栖川 誉役の田中涼星さんは?

めちゃくちゃいい子です。僕も好きですし、植ちゃんがすごく可愛がっています。お芝居に対してしっかりとした考えを持っていて、熱量を感じます。プライベートでは、普通に会話していておもしろい。話の起承転結がしっかりしていて、最後にしっかりオチを付けてくれる。振ったら、ちゃんと笑いを取ってくれる。冬組の中では一番年下で、愛されキャラですね。

──雪白 東役の上田堪大さんはどんな方ですか?

彼もミュージカルの出演が多くて、本当に歌が上手い。声が透き通っていて、聞き入ってしまいます。僕の1歳下なんですけど、僕から見てもすごく大人というか、普段から落ち着いた振る舞いをしている印象ですね。

──最後にガイ役の輝馬さんは?

輝馬はわりと付き合いが長いんですよ。年下(2歳下)ですが、「テニミュ」(ミュージカルテニスの王子様」)では先輩です。そのときは被ってはいなくて、初めて共演したのは「刀剣乱舞」の初演(2016年)でした。彼はめちゃくちゃ変わっています。ひと言でいうと、ぶっ飛んでいる。これ以上のコメントは差し控えますが、とにかく人間としてのポテンシャルが高いヤツです(笑)。

──外から見ていて冬組はどんなチームですか?

バランスが取れていて、本当にいいチームだと思います。あと、みんな歌が上手いので、歌のシーンが多いんですよ。だから「Aステ(ステージ)」じゃなくて「Aミュ(ミュージカル)」だよねって、みんなで言っているくらいです。6人全員で歌うシーンは必見です。

■「A3!」メンバー間でブームの「ワンピースゲーム」。冬組最強のメンバーは?

──「A3!」といえば、稽古中や公演期間中の休憩時間に、出演者同士で「ワンピースカードゲーム」をやるのが流行っているという話(染谷俊之が2023年を振り返る「デビュー15年目で初のキスシーンがありました。感想は…」)を以前にお聞きしました。ブームはいまだに継続中ですか?

そうですね。元々「冬組」から広まった遊びなので。ただ、僕自身は最近ちょっとやれていないです。舞台「メイジ・ザ・キャッツアイ」(2024年2~3月)では、他に誰もやっている方はいないので。でもその間に新弾(最新弾のカード)が出ていたので、購入して新しいデッキをつくって、「早く誰かと戦いたいな~」とウズウズしていました(笑)。

──冬組では誰が一番強いんですか?

(北園)涼ですね。彼は大会にも出まくっていて、1人だけマジでガチ勢です。でもデッキの相性もあって、実は以前に戦ったときは勝ったり負けたりしていました。通算の勝率はさすがに彼の方が上です。

──やはり今回も「ワンピースカードゲーム」が楽しみですね!

いいや、さすがにそれだけが目的ではないですよ(笑)。まずはいい舞台をファンのみなさんに見ていただくのが大前提です。その上で、息抜きとしてちょっと楽しめたらいいなとは思っています。こんなにみんなで、一つのことに熱中しているカンパニーは他にはないですし。

──では、最後に作品の見どころをお願いします。

今回、和田琢磨くんが演じるオーガストが初めて明らかになります。これまでも名前だけはずっと出ていて、僕が入ったときから「オーガストが──」というセリフはあったんですけど、ついに具現化して出てくるので、僕と植田圭輔くんとの3人の絡みも含めて、楽しみにしていただければと思います。作品全体としては、春から始まったシリーズが、いよいよ今回で終焉を迎えます。フィナーレにふさわしい、冬組ならではの魅力が詰まった公演になると思います。僕自身もしっかりサポートしていきますので、楽しんでもらえたら嬉しいです。

取材・文=河合哲治郎

「A3!」や植田圭輔&和田琢磨について語る染谷俊之/撮影=渡邊明音/スタイリスト=岩田友裕/ヘア&メーク=中元美佳