アメリカで精彩を欠いた筒香。かつての輝きを日本で取り戻せるかは大いに注目される。(C)Getty Images

 報道が事実だとすれば、話題沸騰となるのは必至だ。今年3月にMLBの名門ジャイアンツから自由契約となっていた筒香嘉智の獲得調査に巨人が動いているという。

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 2019年にメジャーリーグ移籍を決めて以来、約5年間でレイズやパイレーツなど7球団を渡り歩いてきた筒香。そんな32歳のスラッガーの動静を巡っては、古巣DeNAからの関心も伝えられたが、現時点では捲土重来を期する日本球界の盟主が有力視されているという。

 たしかに補強ポイントという視点において筒香は、巨人のそれに合致する。

 阿部慎之助監督の下、新体制を発足させた巨人だが、どうにも“火力不足”が否めない。メジャー通算178発の実績を引っ提げ、オフに“目玉補強”として加わったルーグネット・オドーアは首脳陣からの2軍での再調整指令をまさかの拒否。開幕3日前に電撃退団した。

 さらにベテランの梶谷隆幸は左ひざの違和感によりファームで調整を強いられ、丸佳浩もコンディション不良に見舞われる非情事態となっている。オフに中田翔が退団したことを考えても、日米通算223本塁打の筒香の加入はフロントにとってもお眼鏡にかなうものになり得る。

 一方で不安がないわけではない。というのも、メジャーに行ってからの筒香は以前のような迫力を失っているのだ。とりわけ深刻だったのは直球への対応である。

 もっとも、渡米前から筒香は「速球」を苦手としていた。ただ、DeNA時代は、当時の日本球界における平均球速が144キロ前後であったためにどうにか対応できていたのだが、平均球速が跳ね上がるメジャーでは、案の定、苦戦した。

 1年目となった20年の4シームに対する打率はなんと.167。21年(.221)と22年(.225)はやや改善させたが、それでもせいぜい2割前半。4シームに絞らず、いわゆる速球系(4シーム、2シーム、カッターシンカー)に球種の幅を広げても、打率は20年が.156、21年が.225と低迷。最後にメジャープレーした22年には.163と1割台に逆戻りしている。

 また、守備と走塁も懸念点だ。メジャーで最も重要視されていると言っても過言ではない貢献度を表す指標「WAR」(打撃、走塁、守備、投球を総合的に評価して、選手の貢献度を表すもの)で、筒香のそれはなんと「-0.2」(Baseball-Reference版)。現時点で起用の可能性がポジションとなっているのは左翼だが、指名打者制ではないセ・リーグだけに、不安は拭えない。

 もっとも、筒香のメジャーリーグでのサンプルは決して多くはない。さらにいえば、日本球界、ひいてはセ・リーグに戻ることで、かつての猛打を発揮する可能性だってある。

 いずれにしても、報道を見る限り、現時点で筒香の日本球界復帰は確実だろう。獲得球団は実績に裏打ちされた可能性と、野球の本場で浮き彫りになった不安材料を天秤にかけ、大きな決断を下す必要がありそうだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

巨人入り有力視の筒香嘉智が抱える懸念 やはり拭えぬ速球への深刻な対応難と貢献度「-0.2」が示す不安