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 コーヒーには様々な健康上の利点が報告されているが、カフェインには覚醒効果があることから寝る前に飲むと眠れなくなってしまう。

 コーヒーは好きだけど、カフェインが苦手な人や、いつでもコーヒーを楽しみたい人は、カフェインを取り除いた「デカフェ」コーヒーを飲むという選択肢もある。

 だがデカフェコーヒーは果たして安全なのだろうか?

 アメリカのデカフェコーヒーの場合、コーヒー豆からカフェインを取り除く過程で発がん性が疑われる化学物質を使用している場合があり、健康被害が出てからじゃ遅いとアメリカ食品医薬品局(FDA)に使用禁止を求める嘆願書を提出している団体もあるという。

【画像】 コーヒーからカフェイン除去に使用する化学物質

 問題の化学物質は「塩化メチレン(ジクロロメタン)」という有機溶媒で、機械の油の洗浄など、産業界ではさまざまな用途に使われる有機溶剤だ。

 これにコーヒーの生豆を入れるとカフェインが取り除かれるので、アメリカなどの一部の国では、「デカフェ」コーヒーを作る際に使用されることがある

 ちなみに日本では、塩化メチレンの使用は認可されていない

 塩化メチレンは沸点が低いため、脱カフェインの過程や、その後の焙煎などによって、最終的にできるデカフェコーヒーにはほとんど検出できない程度にしか残らない。

・合わせて読みたい→カフェイン耐性と遺伝子と関連性。コーヒーの摂取量は遺伝子によって決められている可能性(英・伊・オランダ研究)

 それでも、人体に接触すると炎症を引き起こすほか、中枢神経の抑制や、肝機能障害を起こすといった毒性が知られている化学物質だ。

 さらに発がん性も強く疑われており、国際がん研究機関によるリスク評価では「ヒトに対する発がん性がおそらくある」とされている。

 このような毒性から日本では、塩化メチレンでデカフェを作ることは認められていないのだ。

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アメリカではまだデカフェの塩化メチレンの使用が禁止されていない

 またアメリカでも、塩化メチレンは連邦政府が2019年にペンキ剥離剤としての使用を禁止するなど、一部を除きほぼ全面的な使用禁止が検討されている。

 だが少なくとも現時点において、デカフェの製造に塩化メチレンの使用は禁止されていない。

 現在の法律では、「カフェインレス・ローストコーヒーおよびカフェインレス水溶性コーヒーエキス(インスタントコーヒー)に含まれる量が10ppm(0.001%)を超えない」限り、塩化メチレンの使用が認められている。

[もっと知りたい!→]ほうれん草を食べた人に幻覚などの健康被害。汚染物質混入の恐れ

 もちろんアメリカ人もこうした状況を好ましく思っているわけではない。

 たとえば、昨年末にいくつかの団体が、カフェインレスコーヒー製造における塩化メチレンの使用を禁止するよう食品医薬品局に請願書を提出したという。

 環境防衛基金のマリア・ドア氏は、現在の法規制について「何十年も前のものであり、明らかに時代遅れ」と、CNNの取材に対して語る。

ごく微量な塩化メチレンかもしれませんが、もっと安全な脱カフェイン法があり、実際にそれが行われているのですから、あえて塩化メチレンを使う必要はありません
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海外でデカフェを飲みたくなったら

 繰り返すが、日本では塩化メチレンによる脱カフェインが認められていないので、国内産のデカフェコーヒーはほぼ安心だ。

 だが、もし海外でカフェインレスコーヒーを飲みたくなったら、気になる人もいるかもしれない。そんな時は、製品の製造法をチェックしてみよう。

 「スイスウォーター・プロセス(Swiss Water Process)」という脱カフェイン法ならは、塩化メチレンを使用しないので、そう明記された商品ならば安心であるそうだ。

 日本国内で海外のデカフェを買うときも、どのような方法でデカフェにしているのかを表示確認するか、店員さんに聞いてみるとよいかもしれない。

References:Decaf Coffee Contains a Horrifying Poison, Experts Say / Could decaf coffee cause cancer? Experts weigh in | CNN / written by hiroching / edited by / parumo

 
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コーヒーからカフェインを取り除いた「デカフェ」の安全性は?