大谷はトラブルも受け止め、前に進もうとしている(C)Getty Images

 ドジャース大谷翔平が調子を上げてきた。4月8日(日本時間9日)に敵地で行われたツインズ戦に「2番・DH」で先発出場、初回の1打席目を二塁打とすると3打席目にも二塁打を放ち、メジャー挑戦後では自己最多となる5試合連続のマルチ安打を記録。さらに第4打席、7回二死の場面で対戦した元広島、ロッテでもプレーした経験を持つ右腕、ジャクソンスライダーを捉えるとボールはぐんぐんと伸びて左翼スタンド前段に飛び込んだ。

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 打球速度106・9マイル(172キロ)、飛距離376フィート(約115メートル)、打球速度38度という一発となった。

 開幕8試合ノーアーチが心配されたのはつい最近だったが、急速に状態を上げてきている。3日(日本時間4日)本拠地のジャイアンツ戦で今季1号を放つと、直近5試合で3発と4月にして早くも量産体制に入りつつある。

 一方で開幕からここまで大谷にとっては怒涛の日々だった。日本ハムエンゼルス時代から信頼を置いてきた水原一平元通訳が違法賭博に関わっていたことが発覚。韓国で行われたパドレスとのオープニングゲーム後に球団を解雇された。

 メジャー挑戦時から常にそばにいて二刀流を支えてきた「盟友」を失い、大谷自身大きなショックを受けた。

 それでも前に進むしかない。8日に行われたツインズ戦に臨む前に報道陣のインタビューに応えた大谷は”水原氏のいない日々”について、こう語っている。

 報道陣から専属通訳不在となったことの影響を聞かれると現在は遠征に出ていることもあり、特に不便は感じないとしながらも「今のところは自分で球場に来て、何かをやったり練習をしたりとかというところで、もちろんチームの皆さんのサポートもありますし、コーチ陣、フロントのサポートもすごく感じているので。そこを今すごくありがたいなと思っています」と周囲のサポートに感謝の気持ちを示した。

 大谷は3日(日本時間4日)のジャイアンツ戦で放った今季初アーチの際にもロバーツ監督からの声がけなど周囲のケアに感謝していた。

 そして、渦中の人となった水原氏の行方は未だ知れず。大谷自身の口座から巨額資金が違法賭博の胴元に流れていた事件をめぐっては、不透明な部分も残る。一時は大谷自身の関与も疑われるなど神経をすり減らす日々を送る中で、いかに集中力を保ったのか。この点についても大谷は質問に応えている。

 報道陣からグラウンドにおいての集中力をいかに保っているか聞かれると「野球をやる時に、特にそのことを考えてはいないですし、変な話、やってきた技術だったりというのは、基本的には変わらないと思うので、それをまずは信じて」と毅然とした態度を示しながら、こう続けた。

 「グラウンドの中で100%表現するというのが僕の仕事なので。そこはグラウンドの外で何があっても変わらないところかなと思います」
 
 昨年は日本人選手初の本塁打王に輝き、自身2度目のMVP二刀流としてキャリアを重ねるなど前人未踏の道を切り開いてきた。今回自身を襲ったスキャンダルは様々な形で非常に大きなハレーションを巻き起こしたが、そこに揺らぐことはないとした。これこそ大谷の真骨頂だろう。

 直近5戦で3発と勢いをつけてきた。打率は・352まで上昇、OPSも1・075、本塁打松井秀喜氏の持つ日本選手歴代最多175本にあと1本と迫る。

 苦しみを糧とした大谷が今シーズン、よりパワーアップすることは間違いないだろう。強力ドジャース打線の顔となるべく、今後も打ちまくる。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

「グラウンドの外で何があっても変わらない」 早くも今季3号をマークした大谷翔平が語った”水原氏がいない日々”