キリンビバレッジは、東京・表参道にて4月2日にオープンした「GOOD GREEN TEA STAND」を、4月9日より「NAMACHA GREEN TEA STAND」として再オープンするのに先駆け、メディア向けの「NAMACHA GREEN TEA STAND」アンベール式を開催した。

「GOOD GREEN TEA STAND」は、おいしさにこだわったグリーンティーを上質で洗練された空間で無料提供。緑茶に関心がある人にもそうでない人にも、たくさんの人に緑茶のおいしさや楽しみを伝えることを目的とした施策となっている。アンベール式においてグリーンティーの正体がリニューアルされた「キリン 生茶」であることが公開され、4月14日まで「NAMACHA GREEN TEA STAND」として展開される。

容器・パッケージ・中味すべてを大刷新して、4月9日より全国で発売される「キリン 生茶」だが、これまで、グリーンティーの正体を隠しての提供されていたことについて、「先入観なく、圧倒的な生茶のおいしさを伝えたくて、このような取り組みを行った」と話すキリンビバレッジ 執行役員 マーケティング部長の成清敬之氏。今回のイベントを通して、「緑茶という日本のソウルドリンク、その良さにもう一度気づいていただきたい」とイベント開催の経緯を説明した。

○■新・生茶の戦略について

アンベール式に続いて行われたランドテーブルでは、成清氏が引き続き登壇し、「2024年 新・生茶の戦略について」を紹介。生茶戦略の上位概念となる、2024年のキリンビバレッジにおけるマーケティング戦略については、「お客様の毎日に、おいしい健康を。」というパーパスを軸に、「お客様のニーズを捉えた“キリンならでは”の新たな価値創造を通じて、飲料市場の魅力化を推し進めていきたい」とし、注力する領域として、「ヘルスサイエンス」「午後の紅茶」「生茶」の3つを挙げる。

「生茶」は、緑茶カテゴリーの拡大を牽引していくブランドとして、「本年は大きくブランドの再生を実現していきたい」という成清氏は、まずはその前提となる市場状況を解説。2023年の出荷箱数は、無糖茶カテゴリー全体で前年比98.9%、中でも緑茶カテゴリーは98.4%と減少しており、「この傾向は一過性のものではなく、縮小が続いている厳しい市場」だと危機感を募らせる。

数字の厳しさに加えて、消費者の意識も変化しており、緑茶としてのおいしさへのニーズ(物性価値)が、製品、ブランドに関わらず一定程度満たされたことによって、各ブランドの差別性が弱まり、コモディティ化が進行することで、ペットボトル緑茶への期待が低下。結果として、あまり味の違いを考えることなく「価格重視」の傾向が強まっており、「価格や容量だけの戦いになると市場そのものが縮小してしまい。緑茶という大事なカテゴリーが社会に新たな価値をなかなか生み出せなくなる」と警鐘を鳴らす。そして、この危機感が、今回の“生茶”のリニューアルに踏み切らせたという。

成清氏は「どうすればペットボトル緑茶(生茶)のおいしさを伝えられるか?」ではなく、「ペットボトル緑茶は、現代のお客様にとってどんな存在になり得るのか?」と発想を転換。「今の時代のお客様の価値観や飲用実態を踏まえて、お茶の本質的な価値を磨きながら、ペットボトル緑茶に新しい価値を加えることで、もう一度、魅力的な市場にできる」との見解を示した。

そこで、量や価格だけで勝負するのではなく、「日常に近い存在であるからこそ、おいしさはもちろん、お客様の生活を彩る“モノとしての価値”をつくり魅力を高めていく」ことを2024年の戦略方針として設定。

成清氏は「コロナ禍でお客様が豊かな気持ちを感じる瞬間が極端に落ち込みましたが、その後、少しずつお客様は前向きな気持ちを取り戻しつつあります。そのお客様の背中を押せるような、一日の中で、少しでも豊かな時間を作れるような、お客様の毎日に取り込める飲料で新たな価値を創造し、日本のお客様の一日を豊かなものにしていきたい」と改めて強い意気込みを明かした。
○■新・生茶のリニューアル概要

続いて、キリンビバレッジ マーケティング部 ブランド担当の飯高宏美氏が「2024年 新・生茶のリニューアル概要について」を紹介。今回のリニューアルコンセプトは、「『飲んで満たされる』『持っていて満たされる』毎日の生活を彩ってくれる新しいペットボトル緑茶」となっており、「Life Tea」という言葉をテーマに、「お客様の生活に寄り添い、お客様の生活を彩る、新しいペットボトル緑茶」を目指していくとした。

リニューアルのポイントは「パッケージ」「中味」「コミュニケーション」の3つで、ボトルもデザインも大きく刷新された「パッケージ」のコンセプトも「Life Tea」。この「Life Tea」について、「緑茶は日本人にとって普段から慣れ親しんでいる飲み物で、我々はソウルドリンクのような存在ではないかと考えている」という飯高氏。

「今のペットボトル緑茶に関しては、コモディティ化が進んでおり、緑茶としての魅力が少し薄れてしまっている状態」といった危機感から、「今を生きる現代の人に、どういったお茶の姿があるのかというところから突き詰めて考えました」とパッケージのコンセプトを説明する。

これまでの「グリーンエコボトル」から新たに採用された新ボトルとなる「ライフティーボトル」は、「お客様の生活に彩りを与えるような存在になるという思いが込められています」という飯高氏。大きな特長は、ビンのようなボトルシェイプで、洗練された佇まいを目指して、流線形の「鶴首」を採用。さらに、ボトル形状の変更にともなって、重量も20gから18gへと軽量化されており、プラスチック量削減の取り組みにも繋がっている。

そして、パッケージは、緑茶としてのおいしさは担保しながらも大刷新。緑茶は緑という固定概念を外した「白色のラベル」、ロゴなどの要素を絞ることで「シンプルで生活になじむデザイン」、そして緑茶としてのおいしさを伝えるための「おいしさの象徴である“雫”」。特にこの「雫」は、茶葉のいいところがぎゅっと詰まっているイメージとなっている。

今回のリニューアルでは、パッケージの大刷新が大きなポイントとなっているが、やはり「最後はおいしさとしての評価が求められる」という飯高氏。そして、それが評価されない限り、緑茶としての根本的な価値の向上には繋がらないことから、「中味」についてもしっかりレベルアップ。

生茶の特長である「あまみ」を生かしながら、より緑茶としてボリューム感のある味わいを出すために、新技術「凍結あまみ製法」を採用。こちらは緑茶の抽出液を一度凍結させることで、新茶のようなあまみを凝縮させる技術となっている。この新技術を使い、あまみという特定の部分を増幅させることによって、製品全体で新茶のようなあまみを感じることができるという。さらに、味の厚み、豊かな香り、コク感に寄与する微粉砕茶葉が約3倍に増量されている点も注目しておきたい。

そして「コミュニケーション」については、4月9日の発売にあわせて新CMを放映。4月9日からは高畑充希が出演する新TVCM「登場」篇および「Good Day, Good Tea」篇、4月16日からは鈴木亮平が出演する新TVCM「登場」篇が全国で順次放映される。またCM楽曲には松任谷由実(荒井由実)の「やさしさに包まれたなら」が使用される。
○■「GOOD GREEN TEA STAND」から「NAMACHA GREEN TEA STAND」へ

生茶ブランドを伏せて、こだわり抜かれたグリーンティーを提供する専門スタンド「GOOD GREEN TEA STAND」は、緑茶だから“和”の雰囲気とはせずに、カフェのような佇まいで、新しい世界観を構築。この施策を実施した理由は、「もう一度緑茶の魅力に振り向いてほしい」との思いから。ペットボトル緑茶に対する関心が薄れて、我々メーカーがどんなにおいしさを訴求しても、それだけでは振り向いてもらえない状況を打破するために、「あえてブランドを隠し、あえてカフェ風の佇まいにして、緑茶を入口としないことで、より多くのお客様に魅力を感じていただきたかった」と飯高氏は振り返る。

4月2日のオープンから4月7日までの来場者は、延べで約4,300人。アンケートでは、普段あまり緑茶を飲まない人も緑茶のおいしさを感じており、味に対する満足度は96%、今までの緑茶のイメージと変化した人が89%、また飲みたいという人が97%という結果に。「少しでも緑茶の魅力が復活するような施策になればと思っていたが、緑茶の新しい魅力に気づいていただける機会になったのでは」と、現時点での印象を述べた。

「日本人にとって緑茶はソウルドリンクのような大事な存在であり、その文化に敬意を払いつつ、次世代の方にしっかり継承していくためには、生茶のような新しいチャレンジが必要」という飯高氏。緑茶の入口がペットボトルになりつつある現代において、「ペットボトル緑茶の価値を向上させることが、緑茶の価値向上に繋がる」との見解を示し、「生まれ変わった生茶とこのPR施策がその一助になれば」と締めくくった。

「NAMACHA GREEN TEA STAND」は4月14日まで東京・表参道のZeroBase表参道にて開催(4月10日は店休日)。生まれ変わった「キリン 生茶」をぜひ試してみよう。
(糸井一臣)

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